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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第四話 朱槍の少年     

こんにちは。

投稿です。

次回はたぶん週末になると思います。



「待って、ダメだよ水飲み場を壊したら」


「!?」


 固まるユトラン。


(振り向けない、彼奴らから目を放したら……)


 トコトコと足音が近づき、その声の主はユトランの前に出る。

 それは、ユトランより少し大きな少年だった。

 前に出るとき、横顔をチラ見した。

 黒い髪に黒い眼、そしてその容姿に似合わない武器。


「朱槍?」


 とにかくデカい槍を装備しているのだ。


「そう、朱槍だよ、白魔道士さん、カッコいいだろ?ちょっと待っててね」


「?」


「お兄さん達、女の子一人に酷いことするね?」


「まだ、未遂だ」


 リーダーらしい大男が答える。


(ウソだ、ユトラン一回蹴られた)


「未遂?今から実行するんでしょう?いや、蹴っているよね?」


「……」


 少年の力量を測るリーダー格の男。


(あの槍、ハッタリか?)


「おや?もう三人しかいないよ、やめたら?」


「なんだと!?」


 振り向くリーダー格の男。

 そこには全員揃っていた。


「スキありっ!」


「おわっ!?」


 目を逸らした瞬間、朱槍が唸った!


 バチコーン!


 横殴りに吹っ飛ぶ男達!

 空中に舞う三人、逃げ出す三人、武器に手を伸す二人。

 舞った三人は手足が変な方向に曲がっている。


 とんでもない一撃である!


(三人は逃げたか、あと、二人!)


 そしてこの少年は、白魔道士ユトランを素早く朱槍に引っ掛けた!


「え?」


「せーの!」


「え?」


 フワリ、と浮くユトラン!


「え?」


「えいっ!」と、かけ声一言。


 水飲み場に向って投げ飛ばしたのだ!


「んっきゃあああああっ!?」


 ドボーン!


 吹き上がる水飛沫!


「な、な、なにするですかぁ!ゲホゲホッ!」


「援護して!」


 少年は、武器を構えた二人の男共に向って走り出す!


「気をつけろ!こいつ魔槍使いだっ!」


 小さな男の子が、槍の一振りでデカい大人、三人も吹っ飛ばしたのだ!

 それも一撃で三名戦闘不能状態!


「あ、やば」


 少年は戸惑った。


(逃げ出したと思ったのに!)


 逃げた三人が、戻ってきたのだ!

 ……仲間を連れて。


「え?1、2、3……5人も連れてきた……逃げるか?……んっ!?」


「防御と素早さを上げました!これで槍はもっと軽く扱えます!」


「ありっ!(作者注*ありがとうの略です)」


 今度は白魔道士ユトランが驚く番だ!


「……あり?……ありがとう?」


(わ、私に!?このユトランにあり?)


 散々、グズだ!のろまだ!といわれ続けてきたユトラン。

 前パーティーでは道具以下の扱いだったのだ。

 役に立っているのかなぁ、自問する日々。

 賃金だって生活がやっと出来るくらい。

 そう、殆どパーティーメンバーに取られてしまっているのだ。


 搾取され、最低賃金以下での重労働、そして追放、クビ、いらない宣言。

 更に、殺して埋めるとまで言われた。


「……そんな私に、ありがとう……ですか?」


 少年に熱い視線を送る白魔道士ユトラン。


「おーい、見ていないで他にも援護してぇ~」


 そう言いながら、次々に新手を叩きのめす魔槍使いの少年!


「ん?」


 白魔道士ユトランをチラ見すると……!?

 ユトランは泣いていた。


「え゛?どしたん!?」


 お顔をぐしゃぐしゃにして泣いていたのだ。


「……あり……こ、こんなに優しい言葉……ユ、ユトランは……うくっ……は、初めてです……うれしいです……」


「は?ありがと、で泣くの!?」


「あなたは……あなたは、ユトランの初めての男の子です……」


「え?」


「………………………ぽっ」+もじもじ。


「ち、ちょっと待ったぁあああ!?言い方かえてぇ!」


「言い方ですか?ではあなたは、ユトランの運命のデスティニーです!」


「更に分からんっ!それより援護を!」


 キイイイッン!


 いなされる朱槍!新手に、用心棒クラスがいたのだ!


「おい、小僧、お前中々の使い手だな?」


(チッ、強いなこのおじさん!なんでこんな強者が!?)


次回サブタイトルは 第五話 約束 です。

次回投稿は週末予定です。

できればそれまでにもう一回くらい投稿したのですが。

毎回ご愛読ありがとうございます。

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