第三〇話 下調べの2日目
今晩は。
投稿です。
バンはベッドの中で考える。
取敢えず数体のゴーレムは確保できるだろう。
どこまで自身の技が通用するのか?
最初は塔ではなくこの森で集団戦の練習でもするか?
色々な考えがバンブの脳内を巡る。
(ああ、ロックさんには感謝だなぁ)
彼は協力を約束してくれた。
「可能な限り努力する、それしか言えん!」
「半分」
「俺の所持のゴーレム2機と整備中の1機、3機はどうにかする!これでどうだ?」
「「ありがとうございます」」
「それでバンブ、ユトちゃんにも話しがあるのか?」
「はい。でねユトラン、塔は誰でも登れるの?」
「え?」
「規制とかないの?」
「おい、バンブ!お前何も知らないのか!?」
「はい、塔自体については詳しいのですが、それ以外は知りません」
「バンお兄ちゃん、塔は何処かのギルドに入らないと登れないの」
「え?誰が決めたの?」
「誰が決めたか知らないけど、そう言う決まりなの」
ここでバンブは見逃さなかった。
一瞬のロックの表情。
怒りにも似た険しい表情だった。
「何処かのキルドって?」
応えたのはロックだ。
「オリオン・ドリオンの塔のクライマーズギルドのどれかだ、上部ギルドが3つ、その下に3つづつ、9つのギルドがある」
「ん?全部で12?」
「そうだ、ユトちゃんはその9つあるギルドの一つに所属していた」
「上部ギルドって?」
「お宝管理をしているギルドさ」
「!」
「塔内で得たお宝は、マジックボックスを使って所属ギルドに飛ばされる、そこで毎月のギルドの会員費やら塔の管理費なんかを差し引かれ、残ったお宝がクライマーズに渡される。もちろんそのまま担いで生還出来れば、すべてそいつのモノだ」
「……ロックさん、それおかしくない?塔の管理費ってなんだよ!」
「そういうシステムを作り上げたんだ、一般のギルド所属では塔に登れない」
「独占じゃん!」
「そうだ、三大ギルドが独占している。これが現状だ」
「じゃぁ騎士団は?」
「アイツらは別、王都所属だから」
「おかしいよ、塔は誰のモノ?所有者は?」
「それが分からないから、いいように独占しているのさ」
「初心者は?」
「ベテランのクライマーズが付き添うことになっている」
「それでもお金がいるんでしょう?」
「ああ、入会金と諸経費銀貨……確か5枚だ、続けるならさらに硬貨が必要だ」
「王さまは?」
「昔からの習わしだ、それに塔からの献金や政治家を送り込んで王都でも一定の権力を保持している……簡単に、手は出せないのさ」
「ユトランは塔に登ってどうだったの?」
「……わ、私は……」
「バン!ユトちゃんにはもっと気を使え!このアホ!」
「あ……ご、ごめん」
そう、ユトランにとって、塔はいい思い出なんか一つも無い場所なのだ。
ゴロン。
ベットで転がるバンブ。
「うう、ごめんよユトラン。酷い目に遭っていたのに……!?」
ドアの向こう側に気配!?
コンコン。
「バン様、あたいだよルンルンだ、起きているだろ?」
「どしたん?ルンルン?開けていいよ」
なんだ?珍しいなぁとか思っているバンブ。
魔槍の位置を確認する。
キィ、と軽い音を立て、開かれる木製のドア。
ドアの前に立っていたのはユトランである。
「え?」
その後にルンルン。
ユトランはデカい枕を握り締め、神妙なお顔である。
「え?ユトラン?」
「……」
「あのな、バン様……それが」
バンブは魔力を高める。
すると部屋全体が明るくなる。
「どうしたの?」
ユトランはバンの顔を見ると、ススッとルンルンの後に隠れた。
「バン様、それがサ、部屋が広すぎて怖いんだと」
「え゛?」
「いつもは塔の瓦礫の隙間とか、ギルドの狭い寮で寝ていたらしくて……魔力感知が広範囲に広がりすぎて眠れないらしい」
「……」
なにそれ?という言葉をゴックンと飲み込むバンブ。
それがユトランの日常なのだ。
ロックは言った。
ユトちゃんにもっと気を使え、と。
約束もある。ユトランを大事にするという約束。
そしてバンブは感じとことのない猛烈な焦りのような、悔しさのような感情を味わう。
(アイツらは……このユトランと寝食を共にし、塔の48階を制覇して……新たな階層に挑んだのか!?)
そこに俺はいないんだ。
当り前のことだけど。
(なんだこの感情!?)
バンブはその感情が何なのかまだ気づかない。
奴等はユトランとパーティー組んで塔に挑んだ。
そしてそんなユトランをアイツらは……。
(今更ながら許せんな)
「でな、バン様、この部屋で寝ていいか?」
「…………………え゛?」
次回サブタイトルは未定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




