第二九話 下調べの1日目
今晩は。
投稿です。
すみません、一日遅れました。
ユトランがやって来たその夜、バンブとユトランはロックの工房、研究室を訪ねた。
「どうした?二人揃って?あ、コーヒー飲むか?」
(……広い……それにゴーレムが沢山、電車も1、2、3……8台も!)
「ユトちゃん、珍しいか?」
「はい、武器や防具の工房は見たことありますが、ゴーレムは……凄いですね」
「で?バンブ、何の相談だ?お前ブラックでいいのか?」
「はい、ユトランは?」
「飲みます!ユ、ユトランは砂糖沢山入れてくださいっ!」
「「太るぞ」」
一瞬で世界が凍り付いた。
少なくともヤロー二人はそう感じた。
「……お兄ちゃん達、今後絶対女の子に対してその言葉使わないで……言っちゃダメな言葉だよ、いい?」
「「……はい」」
(バンブ、防御無視の魔法攻撃は脅威だよな)
(はい、ロックさん。だって魔王、勇者、ホーリードラゴンにだって効果覿面ですよ)
「……なんか言った?」
「「いえ」」
コーヒーの香りが漂い始める。
「適当に座ってくれ、あとオイルとか汚れるから気をつけな、ほれ、苦いコーヒーと甘いコーヒーだ」
二人は礼を述べ、コーヒーカップを受け取る。
バンブは当り前のように受け取ったが、ユトランはコーヒーカップに目を付けた。
(……市販のカップじゃない、これ年代物じゃないかしら)
クライマーズ48のユトラン。
そこそこの鑑定眼も持っているのだ。
(何者だろう、ロックさん。王さまの直接雇用?それにこのコーヒー……)
バンブは一口飲む。
「ロックさんのコーヒーはいつ飲んでも美味しいや、お店開きませんか?」
「ははっ電車の整備やゴーレム開発で手がいっぱいだよ。で、塔についてか?」
「あ、分かります?」
「はい、ユトランにも質問がある」
「え?ユトランにも?バンお兄ちゃん?」
沢山のゴーレムを眺めていたユトランが、振り向く。
「なんだ?皆の前では話せないことか?」
「まぁ色々と……」
「塔についてはお前が一番詳しいんじゃないのか?」
(え?)
ユトランがバンブをジッと見つめる。
「まぁ父さんのレポートは一通り読んでいますからね」
「!」
「ユトちゃん、このことはナイショだぜ、狙われる恐れがあるからな」
「は、はい」
「まぁそのレポートも全部売り払われたからなぁ、あ、整備しながらでいいか?」
「はい」
「で、何が聞きたい?」
「まずはルンルンです」
「ルンルンさん?」
ユトランの頭上に『?』マークが浮かび上がる。
なんでルンルンさん?
「ルンルンは獣人族、普通人族以外は塔に挑まない。それなのにルンルンは塔に何度か挑んでいる、そして止めてしまった。その訳、ロックさんは知ってる?」
「知ってどうする?」
「獣人族は強靱だ、パーティーに加えたらとんでもない戦力になる」
「ほう、中々の本気だな、だがルンルンはダメだ、やめておけ」
「なんで?」
気まずそうなロック。
「ロックさん、何を知っているんです?」
「……獣人族の寿命は平均20年、ルンルンは今幾つだ」
「え?30?」
「……ルンルンは29だ」
「バンお兄ちゃん、ホラーお姉ちゃんにXXXをXXXされてXXxてされるかも」
「ひいいっ!?お、恐ろしいこと言わないでよ!ユトラン!」
「女性の年齢間違えるのなんて、許されないの!それも上に間違えるなんて!」
「……ごめん」
(お?バンのヤツ、もう尻に敷かれ始めていないか?)
「ルンルンは止めておけ、あいつは塔に入ると暴走する」
「暴走!?」
「そうだ、わけは言えん。そのうちルンルンが話すだろう……いや、話すのは酷かな。今はダメだがそのうち話してやる。ルンルンに関して話せるのはここまでだ」
「……分かった。ルンルンのパーティー加入は諦める」
「ルンルンの?」
「でねロックさん」
「うわぁ、やな予感。俺はダメだぜ、車掌の仕事がある」
「そうなの?」
「そうだよ!」
「ならゴーレム、貸せるだけ貸して!」
「……はぁ?」
(バンのヤツ!こっちが本音か!?)
「貸して!」
「な、何言ってやがる!?お、おい、バン!知っているか?」
「何を?」
「ここの備品、その他あるヤツ全部、国王様の所持品だ!そのコーヒーもコーヒーカップも!ゴーレムだと!?簡単に貸せるか!」
「え?黙ってりゃ分かんないよ、きっと!」
ニコニコ笑顔のバンブ。
その手には、いつの間にか現われている魔槍。
絶句するロック。
「コケエエエッコッコオオオオオッ」
「?……何だ?ニワトリか?」
それは本格詠唱の高速版、高速詠唱の声だ。
あまりの速さに、トリが鳴いているように聞こえるのだ!
「ホ、ホーリーバーストの本格高速詠唱!?」
「わおっ、初めて聞いたよ、ホーリーバーストの本格高速詠唱!」
感心するバンブ。
笑顔のユトラン。
「お、おまえらっ!?脅迫する気か!?」
「「え?お願いですよ」」
二人の声は綺麗にハモった。
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第三〇話 下調べの2日目 の予定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




