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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第二六話 賑やかな食卓     

今晩は。

投稿です。



「これは何です?」


 オニギリを初めて見るユトラン。


「これはロボウの国の食べ物さ」

「バンお兄ちゃん、なんて言う料理なの?お名前は?」

「オニギリだよ」

「鬼斬り!?つ、強そうな名前!」

「一個、食べてみる?味見に!これは中に梅干し、こっちは鰹節でこっちが焼き明太子」

「それと今作っているのが、塩昆布ですぞ」


 にぎにぎ。

 器用にロボウがご飯を、ふっくらと握る。


 かなり高齢に見えるロボウ。

 オニギリを握る手は血管が浮き出て、シワシワである。

 しかし口調も立振舞いも、衰えをまったく見せない。


「メンタイ……?」


 知らない食材名ばかりで戸惑うユトランる。


「……バ、バンお兄ちゃんのお勧めは?」

「梅干しかなぁ、あ、種は抜いてるよ」

「種?」


 ノリに巻かれた小さなオニギリ。

 それを手にした瞬間!

 ユトランの想像力が暴走し始めた!


「ぱく」

「どう?」

「お、美味しいっ!?」


(おいしいっ!き、きっとこれは伝説の英雄の食べ物だったに違いない!そうよ!だって鬼を斬るんだよ!?これを食べて、英雄は鬼退治に行くんだ!片手で持てそうだから、旅の途中、皆に配るんだろうなぁ)


「ユトラン?」


(鬼さん達は気性が荒く、強くて大きくて乱暴だから、皆困っているんだ!そこで……)


 ここでユトランはルンルンを見る。


「ユトランさま?」


(力強い人狼族に鬼斬りを与えて……)


 ロボウとチラ見するユトラン。


(知恵の詰まった人族にも与えて)


 そしてバンブを見る。


(チキン?うーん、人鳥族にも与えて家来にする!そして鬼さんを懲らしめるのよ!それから鬼さん達を諭して皆で仲良く暮らす!これはそんな英雄譚の食べ物!)


「おーい、ユトラン?帰っておいで!」

「え!?あ?ご、ごめんなさい!鬼斬りって凄い食べ物なんですね!」

「おお、そうじゃよ!」


 自国の食べ物を誉められて、とても嬉しいロボウ。


(いや、絶対なんか勘違いしているぞ、ユトランは!)


 そう思うが、口には出さないバンブ。


「んじゃぁ、あたい肉焼くね!森で魔鹿を獲ったから」

「あ、手伝います!ホラーお姉ちゃん!」


 「「!?」」


「ルンルンでいいよ、ユトランさま!恥ずかしいぜ!……みんなの前で……」


(坊ちゃん、ユトランさまは人たらしですか?あのルンルンが恥ずかしい!?)

(精霊の囁きだろ、欺すことはナイと思うけど)


「では私もお手伝いを致しましょうかな」

「あ、ロボウはオニギリを頼むよ!肉と他の料理は分けて調理しないと!料理の基本だぜ!」

「え?どうなるの?ホラーお姉ちゃん?」

「お腹痛くなるし、トリとかだったら麻痺が出たりする。魔鹿(まじか)とか魔猪(まいのしし)なんかの生肉は特に要注意だぜ」


 ここでロボウが一言。


「マジかぁ」


「……」←バンブ。

「……」←ルンルン。

「え?」←ユトラン。

「あひゃひゃひゃひゃ」←ロボウ。


 独特な笑い声で、笑い出すロボウ。

 渋いクールなスタイルが台無しである!


(なぁルンルン、ロボウのヤツさぁ、これがなければ渋くてカッコいい執事なんだけど)

(ですよねぇ、バンブ様)


「?」←まだわからないユトラン。

「あ!」←わかったらしい。


 そして笑い出すユトラン!


「あははっ!うふふふふっ!」

「え?」


 驚くバンブ。


「バ、バンお兄ちゃん!だって魔鹿とマジかぁ、よ?うふふっ」


 中々笑いが止まらない二人。


(え?ユトラン、ロボウと同じ感覚?)


「ロボウ様って、面白い方ですね!」

「ロボウで結構ですぞ、あひゃひゃひゃひゃ」


(バン様、まだ笑っているよ)


「んじゃ、あたいはこっちで肉切って焼くぜ」


 そして綺麗に調理され、一口大に焼かれた魔鹿が大皿に列ぶ。


「さぁ食べようか!」


 そして綺麗に声を合せる4人。


「「「「精霊よ、今日の糧に感謝します!いただきますっ!」」」」


 ブンドルの街の住人達は、食事前に必ず感謝の言葉を述べるのだ。


 4人での賑やかな食事。


 場所は厨房のすみっこ、やや大きめのテーブルだ。

 食堂は勿論あるのだが、広すぎるので今は使用していない。

 そこまで手が回らないのだ。


「!」

「どうしたの?ユトラン?」

「……誰か来ました」

「え?」


 食事中やトイレは無防備になりがちである。

 クライマーズ48のユトランは、食事中必ず簡易結界を張り巡らせる。

 それは塔内でも外でも同じである。

 次に反応したのはルンルンだ。


「あ、この匂い、大丈夫だよ」


 コツコツと足音が近づき、カチリ、とドアが開かれる。


 今回はここまでです。


次回サブタイトルは 第二七話 チキンキャロット家の住人達 の予定です。

毎回ご愛読ありがとうございます。

それから、登録ありがとうございます。

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