第二五話 皆でご飯
今晩は。
投稿です。
外は雨が続いていて、怖いです。
手に石鹸の泡を山のように乗せ、身体を優しく洗うユトラン。
「いい香りです、こんな石鹸初めてです」
「だろ?これ、あたいが作ったんだぜ」
「えええっ!?」
「お庭の花(薔薇です)を使って作ったんだ」
「す、凄いです!……」
「ん?」
「先程のお話ですが……」
「……」
「ユトランはバンお兄ちゃんに命を救われました。本当は酷い目に遭って死ぬはずでした」
ざばーっと石鹸を流すユトラン。
「!」
「バンお兄ちゃんは恩人です。それにこんな綺麗なお風呂や石鹸、住むところまで……ロボウさんやルンルンさんとも巡り会えました。今日の朝、オリオン・ドリオンの塔で目覚めて、その夜はお城のお風呂に入っています」
しずしずと巨大な湯船に沈んでいくユトランの眩しい脚。
「城?小さな屋敷だぜ?」
「ユトランにとっては大きなお城です!……うう、やっぱり温泉は最高ですぅ……」
「んじゃ、バン様は王子さまってところか?」
「……そうですね、ユトランを救い出してくれた王子さまです……今度はユトランの番です、出来ることを全力でします」
「結果、塔攻略に成功して、一瞬でフラれても?」
「はい、かまいません。悔しくて悲しくて大泣きするかもですけど、バンお兄ちゃんの夢ならオリオン・ドリオンの塔の攻略、お付合いします……たぶん、それはユトランのためにもなると思います」
喋りながら、湯船から上がり、脱衣所へ向う二人。
「……自分のためにもなるかぁ……」
「はい……それに」
「それに?」
「ユトランは北区、ダウンタウンの生まれです、こんな大きなお城の貴族さまと結ばれるとは思えません」
二人は綺麗に身体を拭き上げ、着衣し始める。
「あ!?」
「どうした?」
「……ストライプです」
「ストライプ、イヤかい?色違いで、あたいとお揃いだけど?」
「…いえ、イヤじゃありません」
「生れた場所とかバン様は気にしないと思うけど……相応しくないと?あ、髪、乾かしてやるよ!」
「あ、ありがとうございます……バンお兄ちゃんとは、世界が違いすぎます」
「それでも夢に付き合うと?」
「はい」
(ああ、こいつは本気でバン様が好きなんだな……合格かな、匂いも変わったし)
そう、獣人族は匂いで判断する。
どんなずる賢く非道な人族でも、匂いは隠せない。
虚言は独特の匂いが漂うのだ。
(真摯ないい匂いだ、信じるに足る白魔道士、合格だな)
「あ、夢で終らせるつもりはありませんから」
「おお、いい返事だ……お?時間が?急ぐか、ご飯の用意がある」
「手伝います!」
「……」
「どうかされましたか?」
「ユトランさまは不思議だな」
「え?」
「今日出会ったのに、なんだか昔から知ってるみたいだぜ」
「そ、そうなのですか?」
「ああ、前世は親友か姉妹、もしかしたら母娘だったのかもな」
言葉にしてみると、なぜかしっくりくるルンルン。
「ええっ!?」
「あんだよ?あたいとの繋がり、イヤなのか?」
「いや、ユトラン、前世とか生まれ変わりとか、信じない方なので」
「え?そうなのかい?」
「はい、でも、もしそうならステキですね、ホラーお姉ちゃん」
「えっ!?」
ルンルンは見た。
「あ!」
ユトランの肩に乗っている小さなお姉さん妖精を。
「ご、ごめんなさい、イヤでしたか?でも妖精さんが……」
「……フ、フン、ま、まあいい、それよりご飯だ!」
また一人、魂を撃ち抜かれた者が増えた。
厨房に向う二人。
そこには、大量のオニギリが制作中であった。
「さぁ、みんなでご飯ですぞ、あと少しで出来ますぞ!」
「え?バン様とロボウが作ったのか!?」
「ああ、そうだよ!」
オニギリパーティーの始まりである。
今回はここまでです。
次回サブタイトル、投稿は未定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




