第二一話 バンブの秘密、ユトランの能力2
今晩は。
投稿です。
そう、ユトランに問題がある。
(うう、まったく思いつかないし、わからない……ユトランのどこに問題が?)
悲しい眼で、バンブを見上げるユトラン。
「わかんない、教えて、バンお兄ちゃん」
「ユトランの本格魔法は……」
「格魔法は?」
「魔法防御無視なんだよ」
「え?」
ぽかん、とするユトラン。
それが何かしら?だから何?
「ユトランは、相手の魔法防御を無視して攻撃、回復することが出来る稀な白魔道士ということ」
「?」
「僕は特異体質で魔法が効かないんだ」
「はいっ!?」
ここでようやく話しを、呑み込み始めるユトラン。
(魔法が効かないなんて?何それ!?)
「今まで、塔に登らなかったのは、そのためさ。誰も僕を回復できないんだ」
「そ、そんな!?だってバンお兄ちゃん……」
「事実だよ。傭兵の仕事は受けていたけど、僕の使い所が難しい。Sクラスと言われているけど、怪我をしたら傷薬や飲み薬、ブンドルの湧き水で回復を待つしかないんだ」
「え?じゃバンお兄ちゃんは全部の魔法が無効なの!?」
「その通り。あまりの魔法防御力の高さに、回復魔法までバンするんだ」
「え?じゃユトランは?」
「ユトランはそんな僕を回復、強化出来る唯一の存在さ。ユトラン、キミの本格詠唱魔法は、魔王や勇者にも傷を与えることが出来る。実はとんでもない存在なんだよ、なんせ防御無視だから」
「またまたぁ、バンお兄ちゃん言い過ぎだって!」
とか言いながら、もし、ユトランの魔法が本当に防御力無視の魔法だったら!?
「……バンお兄ちゃん、ちょっと怖いかも……」
「今まで、あのパーティーが49階まで昇れたのは、ユトランの貢献が大きいと思うよ」
「……な、ならば……」
「なんだい?」
「ならば、ユトランの格魔法はバンお兄ちゃんを傷つけることが出来るの?」
お、鋭い!バンブは思った。
「出来るよ、ユトランは唯一、僕を魔法で倒せる存在さ」
「…………」
「あ、なんか考えている?」
何を考えている?
バンブは先読みをしてみる。
どこでユトランの能力に気が付いたか、いつ知ったのか?
この能力を知っているからパーティーに誘ったのか?
そんなところかなぁ?
それとも、魔王や勇者の魔法攻撃はどうなの?とか?
もちろん、彼らの攻撃も、ドラゴンのブレスも、魔法攻撃なら僕には効果無しなんだよなぁ。
あまりにも魔法防御が高くて、回復魔法まで効果が無いなんて、悲劇だよ。
などと考え、色々と答えを用意し始めるバンブ。
白魔道士ユトランが重い口を開く。
「……でね」
「え?」
「……浮気しないでね」
「え゛?」
浮気とは?
なんで浮気?どこから浮気?
「もし、バンお兄ちゃんが浮気したら、ユトラン、本気のホーリーバースト撃つかも」
「え゛?」
なぜ浮気?そもそもお付合いは、オリオン・ドリオンの塔攻略後では!?
「その時は、死なないでね……」
なんで浮気に繋がるんだ!?
死なないでね!?
殺すの!?
ユトランの考え、さっぱりわからんっ!
そして見えてくるチキンキャロット家の正門。
錆びだらけの、ちょっと傾いた門。
その門の前には、2名の人物が待っていた。
「お帰りなさいませ、坊ちゃん」
そう言って深々と頭を下げる黒服の老紳士。
右腕はなく、左目も凝った金属のアイパッチでガードされている。
その容姿にちょっと怖くなるユトラン。
「よう、バン様お帰り!あんだい?その女?ナンパのお持ち帰りかぁ?」
身長178㎝、とんでもないプロポーション。
見るからに獣人族の女性が獰猛な目つきでユトランを睨む。
……その容姿に……ちょっと、いやかなり青くなるユトラン。
(え?スイカ?バ、バンお兄ちゃん!?飛び出そうなんですけど?服のサイズが合ってないんですけど!?)
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第二二話 お屋敷にて の予定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




