第二話 49階で
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5名のパーティー。
全て生還したが、メンバーは彼女を許さなかった。
あと一歩で49階が攻略出来たのだ。
49階のエリアボス、ブラックキラースパイダー。
巨大な昆虫型の魔物だ。
膨大な体力、それを残りHP10まで削った!
あと、一撃で倒せる!
パーティーメンバーは確信した。
クライマーズ49!
次は50だ!
50になれば、ギルドや城からの報償金!称賛の数々!
これで一生遊んで暮らせる!
それどころか貴族の末席に、男爵や子爵の位だって夢ではない!
メンバーのリーダー、魔法剣士がスキルを発動させる!
クリティカル攻撃だ!
その会心の一撃を決めようとした瞬間!白魔道士ユトランの弓矢がリーダーの脚を撃ち抜いたのだ!
「がっ!?」
「え?ユトラン!?」
「このバカッ!お前何をッ!」
周囲を抑えていた魔力が途切れる!
溢れ出すブラックキラースパイダーの子蜘蛛達!
魔法使いの炎も、重戦士のガードも、最早無意味である。
数千の子蜘蛛が波のように襲いかかる!
「退避っ!退避だ!」
「喰われるぞ!下へ!45階へ急げ!」
そう、五階ごとに設置されている緊急脱出魔法陣。
使用にはブンドルの管理王族に大金を支払わなければいけないが、今はもうそれどころではない!
「このクソユトラン!お前が払えよ!」
「そ、そうよ!あんた、なんてことしたのよっ!このクズ!」
「あと、あと一歩だったのに!あと一撃だった!」
「で、でも脚の回復は……」
「当り前だ!急げ!喰われるぞ!」
次々に燃え出す封印の呪符!
この呪符で子蜘蛛の動きを封印していたのだ。
「これまでの準備、いったいどれだけの金を使ったと思っているんだ!」
そしてこのパーティー、無事に45階に到着し、地上に生還した。
そして最初にやったことは白魔道士ユトランの全財産没収と粛正という名のリンチである。
「リーダーこの場合、殺しても罪にはなりませんぜ、ヤッちまいましょう!」
「そうよ、目障りだし、みせしめに消しましょうよ!」
「殺せばそれでお終いだ、生かして金を貢がせよる、おい、ユトラン、毎月金貨10枚だ!」
「……」
「リーダー、コイツ泡吹いて、白目むいてますぜ」
ドゴッ!
蹴り飛ばされる白魔道士ユトラン。
ゴロゴロ。
声も出なければ、動きもしない。
「ギルドに行くぞ、回復役の募集と今後の方針相談だ」
「あれ?強く蹴りすぎたかな?息してねぇや」
「知るか、行くぞ!」
周囲の者達は、誰もユトランを助けなかった。
それどころか、このユトランの一件は瞬く間に噂になり、一気に広まった。
「……ひゅ……ひゅ……がはっ、ごほごほっ」
血の塊を吐き出すユトラン。
息を吹き返したユトランは、残った僅かなMPを使い切り、どうにか歩き出す。
そして辿り着く裏路地の水飲み場。
流れ出る水に手を付ける。
指先に命じる、再生しろ、回復しろ、と。
するとボンヤリと光り出すユトランの両手。
(やった、どうにか手が再生し始めた!これで水が飲める……)
ここは裏路地とはいえ公共の水飲み場だ、ユトランとしては、直接湧き水を飲むのは抵抗があったのだ。
(ユトラン……血で汚れているし、皆が使う水飲み場、綺麗に使わないと……)
「!?」
後!気配が!?
ドゴッ!
「ガッ……」
石畳を転げ、再び血まみれになる。
「おい、公共の場、汚すんじゃねぇよ」
(……誰?)
ゾロゾロと現われる男達。
……ホントにヤッていいのか?……
……ああ、自由にしていいらしいぜ……
……殺してもいいのか……
……騎士団や警備隊は?……
……塔でリーダーの脚を射抜いた、それで攻略失敗……
……こんな女一人消えても、誰も気にもしないさ……
「……ど、どちらさまです?」
……ギャハハハハ……
……どちらさま!?……
……いかれてるなコイツ……
「お前、パーティークビになったんだってな?」
「……はい」
「リーダーに売られたんだよ、お前をメチャクチャにして埋めろって話しだ」
「!」
「まずはお楽しみタイムだ、自分で脱ぐのと、俺達に脱がせてもらうの、どちらがいい?選びな」
「……ユトランは……どちらもイヤです」
次回サブタイトルは 第三話 聖なる矢 です。
近日投稿予定です。
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