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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第一話 追放、白魔道士の少女!

今晩は。

見つけて下さりありがとうございます。

よろしければ、ご一読下さい。


 オリオン・ドリオンの塔、それは地上321階と言われている巨大な塔だ。


 この塔は170階で二つに分かれ、高い方がオリオン、低い方がドリオンと呼ばれている。

 ドリオンは198階でどちらの塔も、今だ人類は攻略していない。

 ドリオンの最上階には最高の武器が、オリオンには世界を統べる力が眠っていると言われている。

 誰が作ったのか、いつから存在しているのか、まったく不明の超古代遺跡。

 それがオリオン・ドリオンの塔だ。


 そしてこの世界にはもう一つ有名な塔がある。

 それは、最上階は星の世界に繋がっていると言われる伝説の塔、ラインハトルの塔だ。


 こちらは伝説で、塔の存在自体が確認されていない。

 記録の中にしかない塔なのだ。


 ある学者は、実はラインハトルの塔は、オリオン・ドリオンの塔のことで、ラインハトルの塔は実在しない、と言い、またある賢者はオリオンの最上階には、ラインハトルの塔の鍵が眠っていると言う。

 諸説あるが、このラインハトルの塔はどこにも見当たらない。

 長寿のエルフも、大地に詳しいドワーフも、森のオークも知らないのだ。

 いや、そもそも妖精族は塔に感心を持たないのだ。


 そう、塔に挑んでいるのは人類ばかり。


 ちょっとそこのドワーフさん、あんた何故攻略に参加しないんだい?


「え?世界を統べる力があるって?統べてどうすんだよ、面倒くね?」

「そうそう、それより日々の暮らしだよ」


 そう答えるドワーフの夫婦。

 そこのエルフさんは?


「塔の攻略?」


 あ、軽蔑の視線?


「知っているのか?あの塔は呪いの塔だぞ」


 え?


「あの塔は罠だ、いったい、幾人の戦士達があの塔で命を落とした?」


 命?なかりの人達が命を落としたのでは?


「あの塔は欲に塗れた者を喰う、巨大な魔物だよ」


 魔物ですか?


「そうさ、塔内の魔物は倒しても、ある程度時間が経過すると復活し続ける、この意味分かるか?素材を無限に手に入れることができるんだぜ、見ろよ欲深い人族がまた塔に挑んでいる」


 そう、今日もその塔に挑む無数のパーティーが!


「さて、何組生還出来るか。俺達エルフは塔の攻略よりも、森での狩りや木の実の採取を優先させるね」


 ラインハトルの塔についてはどう思います?


「……意味が無いね、では失礼するよ」


 森に消えていくエルフ。

 森には静かなエルフの村があるのだ。


 そしてこちらは騒がしいオリオン・ドリオンの塔。

 塔の周囲には数万人の人々が暮らしている。

 あらゆるモノが揃って、混沌としている塔の周囲。


 人々はその街を欲望の街、ブンドルと名付けた。

 このお話しは、ブンドルの街から始まる。


 ずるずる、トボトボと白魔道士が歩いている。

 唇が切れ、目の周囲は青い。

 服もボロボロでスタスタと鼻血が溢れている。


「……うっく……ひっく……」


 身長は150センチほど、その身長より大きな木の杖を大地に刺しながら歩いている。

 黒い髪は酷く痛み、埃まみれだ。

 どう見ても暴行された後。

 しかし誰も声を掛けないし、すれ違う人々は気にもしないようだ。

 それどころか、避けて通っている。


 ……あいつだぜ……

 ……ああ、例の白魔道士……

 ……ひでぇヤツだよなぁ……


「……うっ……」


 ……最悪じゃねぇか……

 ……もう誰もパーティーに誘わないだろうなぁ……


 白魔道士は隠れるように大通りから裏路地に入り、小さな水場に辿り着く。

 ここ、ブンドルの街は湧き水が多いのだ。

 エルフの話しによると、これも罠なのだそうだ。

 良質の飲み水。

 人々を集め、塔に挑ませている、とのことだ。

 しかし、一体、誰が何のために?

 勿論、エルフは知らないし、知ろうともしないだろう。


 白魔道士が水場に訪れると、そこにいた数人の人々はサッ、と水場から消えた。


(……頑張った……つもりだけど……うっく……もう、ダメかなぁ……)


 そう彼女は先程パーティーをクビになったのだ。

 それどころかパーティーのリーダーからボコボコにされ、メンバーから殴られ、蹴られ、ツバを吐きかけられ、叩き出されたのだ。


(は……はやく……回復……MP……MP……)


 振るえる血だらけの手で、水をすくい口元に持ってくる。

 しかし折れた指は上手く動かず、水を飲むことが出来ない。


「……う……う……痛いよう……」


 白魔道士ユトラン、15歳の女の子。

 両親は塔の攻略で死んでしまい、孤児である。

 回復魔法と弓を得意とするクライマーズだ。


 クライマーズとはオリオン・ドリオンの塔に挑む冒険家の総称。

 冒険家達は攻略した階数をその総称の後に付け、自己紹介する。

 例えばこの白魔道士ユトランだったら、クライマーズ・48・白魔道士ユトラン。

 48階まで攻略した、となる。


 現在のブンドル騎士団攻略階数が70階までであり、この49階は強者の階数と言っていいだろう。

 遙か昔、ブンドル騎士団が280階まで到達したと記録にあるが、今現在のブンドル騎士団は70階までだ。

 そしてこの70階のスコアは、現在の最高スコアである。

 普通は20階まで行ければ一財産あるのだ。


 ただし、生還出来れば、の話しだ。


 彼女は49階の攻略戦に失敗し、パーティーは総崩れになった。

 そして地上帰還と共に、白魔道士としての責任を問われたのだ。

 結果は、この現状である。

 折れた指を見つめ、涙を流す白魔道士ユトラン。


(の……飲めない……な、ならば……)


 湧き水に手を付け、呪文を唱える。

 魔力に満たされた湧き水は、ユトランの呪文に反応し、その指を再生し始める。

 そう、彼女はMPゼロの状態なのだ。


 魔力であるMPは自然回復するのだが、白魔道士や魔法使いはその消費量が激しいのだ。

 そしてこの湧き水は良質の水であり、MPを回復させる唯一の水でもある。


次回サブタイトルは 第二話 49階で です。

週一回か二回の投稿になると思います。

今回は第一回目なので連続投稿です。

第二話は30分後くらいに投稿予定です。

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