第十七話 意外と強い 2
今晩は。
投稿です。
戦いに集中し始めるクライマーズ48のメンバー達。
もう周囲の声は聞こえない。
そして、突然、鳥の鳴き声のような甲高い声が響き渡った!
魔法使いの高速詠唱だ!
……(本気でいくわよぉ、私の攻撃を無効化ぁ?ザけんなぁ!)……
その速い詠唱は、最早悲鳴である!
瞬時に魔法陣が現われ、炎の魔法が発動する。
次々に魔法陣から飛び出す燃えさかる矢状の魔力!
ゴウッ!
熱風は周囲を歪め、バンブに襲いかかる!
詠唱はまだ終らない!
「お、お兄ちゃん!四大属性攻撃よ!」
悲鳴のような詠唱は次々に魔法陣を生みだす!
火、水、風、雷、魔法陣から各属性のエネルギー体が飛び出す!
まず、最初に飛んできた7本の炎の矢だ!
「よっ!」
軽い掛け声で魔槍の一振り!
ボウッ!
炎の矢は一振りで消え去る!
……さすが魔槍ね、でも次はぁ?……
ニヤける魔法使いの女。
だが内心は驚いている。信じられないのだ、手応えがないのだ!
魔法攻撃が効いていない?
残りの水、風、雷がバンブに襲いかかる!
鋭い水の魔力が7本、唸る風の魔力が7本、触れない雷の魔力が7本、全てバンブにヒットする!
ドオオオオオッ!
粉塵が巻き上がり、高エネルギーの衝突に周囲の空間が歪む!
……はい、終わりぃ……
「バカめ、全部で28本の属性攻撃だぞ!最初の7本は囮だ!見事に引っかかった!ははっ!」
……次もいくわよぉ!……
魔法陣に魔力が集まり、再び攻撃が!
目標は白魔道士ユトラン!
ヒュン!
巻き上がる粉塵の中から、槍を振るう音。
その一振りは魔法陣を斬り、一瞬で四大属性攻撃を終らせた!
驚いたのは魔法使いだ。
……え?……魔法陣を……斬った!?……
魔法攻撃は一瞬で終る。
……え?攻撃はヒットしたのに!?……
……おい、あいつ無傷だぞっ!?……
……ユトランの魔法防御か!?……
次に驚いたのは白魔道士ユトランだ。
(ユトランの魔法防御?違う、ユトランの魔法防御はお兄ちゃんに弾かれた?)
フッ、とユトランの肩に現われる小さなお姉さん妖精。
(気づいた?)
(お兄ちゃん、ユトランの魔法をはじいた!)
(簡易呪文は、バンブに通用しないわ。本格呪文じゃないと効果無いわよ)
(でも、属性魔法攻撃は、高速詠唱の本格呪文よ、それが効果無いなんて?どう言うこと?あ、でも路地裏ではユトランの呪文、効果があった!)
(ごめんなさいね、私達小さな妖精は『答え』は言えないの、問題定義はできるけど。このナゾ、自分で解いてみなさい)
(バンお兄ちゃん、なにか隠している!)
(ふふっ、そう、バンは何か隠している。でも問題はそれだけじゃないの)
(?)
(ストライプ、あなたにも、あるのよ)
(え?ユトランにも!?)
ここでパーティー48の作戦が崩れた。
属性攻撃の後、前衛戦士による双剣の高速連撃、3番手の重戦士のシールドアタック、最後にリーダーのクリティカル攻撃で仕留めるはずだった。
オーガクラスはこうして仕留めるのだ。
人族相手には使わない作戦である。
なぜなら、オーバーキルになるからだ。
必勝パターンだったのだが、そのパターンが崩れた!
……チッ……
……あいつ、魔法攻撃が効かねぇ!?……
「クッ、ならば!セット、ゴーレム!物理攻撃メイン!」
リーダーが指示を出すが、遅かったようだ。
舌打ちをする前衛の戦士。
剣と槍では間合いが違うのだ。
次の攻撃で魔槍を払おうとしたが、あっさりと剣をたたき落とされ、石突きで吹っ飛ばされる!
……がっ!?……
普通はここで白魔道士の防御・攻撃補正で、魔槍と対等に戦えるのだが、今はクライマーズ48に白魔道士はいない。
吹っ飛ばされた先は、ゴミの回収場所であった。
そこにはミミックの亜種、ミミッコが待っていた。
東区のお掃除担当モンスター。
きれい好きで人懐っこい宝箱型モンスターである。
ゴミを見つけてはパクパクと食べ、消化出来ないものは集積所で吐き出すというモンスターだ。
ミミッコは東区限定で数十匹が徘徊している。
東区はブンドルの街一の歓楽街。ほっとけば、一日でゴミに埋もれるくらい雑多な街なのだ。
そして暴区(北区)程ではないが、犯罪も多い。
ミミッコは掃除担当だが、一部、治安維持にも協力している。
(作者注:この子達は時々夜の居酒屋で、傭兵さん達とお酒とか呑んだりしています。体長1m程で、ちょっと怖いのですが、傭兵さんと東区をこよなく愛するモンスターです)
そこに吹っ飛ばされた前衛の戦士。
ぱっくん。
見事丸呑みされる。
どうやら、東区の悪口を言ったのを聞いていたようである。
1m四方の箱に、どうやって2m近い前衛戦士が、丸呑みされたかはわからない。
物理的に不可能だ。
しかし、確実に彼は消えた!
そして!
オエエエエエッ。
そして、マッパで吐き出される前衛戦士。
……え?……
茫然自失である。
何が起きたのかまったくわからない。
わかるのは石突きの衝撃で動けないということ、装備(下着含む)が一瞬で消えたこと。
そして何処かに走り去るミミッコ。
きっと装備の換金に行ったのであろう。
……ケケケケケッ……
ミミッコの笑い声が木霊する。
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第十八話 意外と強い3 の予定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




