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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第十七話 意外と強い 2     

今晩は。

投稿です。


 戦いに集中し始めるクライマーズ48のメンバー達。

 もう周囲の声は聞こえない。


 そして、突然、鳥の鳴き声のような甲高い声が響き渡った!

 魔法使いの高速詠唱だ!


 ……(本気でいくわよぉ、私の攻撃を無効化ぁ?ザけんなぁ!)……


 その速い詠唱は、最早悲鳴である!

 瞬時に魔法陣が現われ、炎の魔法が発動する。

 次々に魔法陣から飛び出す燃えさかる矢状の魔力!


 ゴウッ!


 熱風は周囲を歪め、バンブに襲いかかる!

 詠唱はまだ終らない!


「お、お兄ちゃん!四大属性攻撃よ!」


 悲鳴のような詠唱は次々に魔法陣を生みだす!

 火、水、風、雷、魔法陣から各属性のエネルギー体が飛び出す!

 まず、最初に飛んできた7本の炎の矢だ!


「よっ!」


 軽い掛け声で魔槍の一振り!


 ボウッ!


 炎の矢は一振りで消え去る!


 ……さすが魔槍ね、でも次はぁ?……


 ニヤける魔法使いの女。

 だが内心は驚いている。信じられないのだ、手応えがないのだ!

 魔法攻撃が効いていない?

 残りの水、風、雷がバンブに襲いかかる!


 鋭い水の魔力が7本、唸る風の魔力が7本、触れない雷の魔力が7本、全てバンブにヒットする!


 ドオオオオオッ!


 粉塵が巻き上がり、高エネルギーの衝突に周囲の空間が歪む!


 ……はい、終わりぃ……


「バカめ、全部で28本の属性攻撃だぞ!最初の7本は囮だ!見事に引っかかった!ははっ!」


 ……次もいくわよぉ!……


 魔法陣に魔力が集まり、再び攻撃が!

 目標は白魔道士ユトラン!


 ヒュン!


 巻き上がる粉塵の中から、槍を振るう音。

 その一振りは魔法陣を斬り、一瞬で四大属性攻撃を終らせた!

 驚いたのは魔法使いだ。


 ……え?……魔法陣を……斬った!?……


 魔法攻撃は一瞬で終る。


 ……え?攻撃はヒットしたのに!?……

 ……おい、あいつ無傷だぞっ!?……

 ……ユトランの魔法防御か!?……


 次に驚いたのは白魔道士ユトランだ。


(ユトランの魔法防御?違う、ユトランの魔法防御はお兄ちゃんに弾かれた?)


 フッ、とユトランの肩に現われる小さなお姉さん妖精。


(気づいた?)


(お兄ちゃん、ユトランの魔法をはじいた!)


(簡易呪文は、バンブに通用しないわ。本格呪文じゃないと効果無いわよ)


(でも、属性魔法攻撃は、高速詠唱の本格呪文よ、それが効果無いなんて?どう言うこと?あ、でも路地裏ではユトランの呪文、効果があった!)


(ごめんなさいね、私達小さな妖精は『答え』は言えないの、問題定義はできるけど。このナゾ、自分で解いてみなさい)


(バンお兄ちゃん、なにか隠している!)


(ふふっ、そう、バンは何か隠している。でも問題はそれだけじゃないの)


(?)


(ストライプ、あなたにも、あるのよ)


(え?ユトランにも!?)


 ここでパーティー48の作戦が崩れた。

 属性攻撃の後、前衛戦士による双剣の高速連撃、3番手の重戦士のシールドアタック、最後にリーダーのクリティカル攻撃で仕留めるはずだった。


 オーガクラスはこうして仕留めるのだ。

 人族相手には使わない作戦である。

 なぜなら、オーバーキルになるからだ。

 必勝パターンだったのだが、そのパターンが崩れた!


 ……チッ……

 ……あいつ、魔法攻撃が効かねぇ!?……


「クッ、ならば!セット、ゴーレム!物理攻撃メイン!」


 リーダーが指示を出すが、遅かったようだ。

 舌打ちをする前衛の戦士。

 剣と槍では間合いが違うのだ。

 次の攻撃で魔槍を払おうとしたが、あっさりと剣をたたき落とされ、石突きで吹っ飛ばされる!


 ……がっ!?……


 普通はここで白魔道士の防御・攻撃補正で、魔槍と対等に戦えるのだが、今はクライマーズ48に白魔道士はいない。

 吹っ飛ばされた先は、ゴミの回収場所であった。


 そこにはミミックの亜種、ミミッコが待っていた。


 東区のお掃除担当モンスター。

 きれい好きで人懐っこい宝箱型モンスターである。

 ゴミを見つけてはパクパクと食べ、消化出来ないものは集積所で吐き出すというモンスターだ。

 ミミッコは東区限定で数十匹が徘徊している。


 東区はブンドルの街一の歓楽街。ほっとけば、一日でゴミに埋もれるくらい雑多な街なのだ。

 そして暴区(北区)程ではないが、犯罪も多い。

 ミミッコは掃除担当だが、一部、治安維持にも協力している。


(作者注:この子達は時々夜の居酒屋で、傭兵さん達とお酒とか呑んだりしています。体長1m程で、ちょっと怖いのですが、傭兵さんと東区をこよなく愛するモンスターです)


 そこに吹っ飛ばされた前衛の戦士。


 ぱっくん。


 見事丸呑みされる。

 どうやら、東区の悪口を言ったのを聞いていたようである。


 1m四方の箱に、どうやって2m近い前衛戦士が、丸呑みされたかはわからない。

 物理的に不可能だ。

 しかし、確実に彼は消えた!

 そして!


 オエエエエエッ。


 そして、マッパで吐き出される前衛戦士。


 ……え?……


 茫然自失である。

 何が起きたのかまったくわからない。

 わかるのは石突きの衝撃で動けないということ、装備(下着含む)が一瞬で消えたこと。

 そして何処かに走り去るミミッコ。

 きっと装備の換金に行ったのであろう。


 ……ケケケケケッ……


 ミミッコの笑い声が木霊する。


 今回はここまでです。

次回サブタイトルは 第十八話 意外と強い3 の予定です。

毎回ご愛読ありがとうございます。


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