第百六十話 英雄譚その2
今晩は。
投稿です。
寒いです。
「さてここで病に倒れた恋人を救うために、とうとうラプラスは塔に上る決意をする」
……なんでだよ?先生?……
……恋人さんも魔法無効かい?……
……塔の薬でしか治せない病気?……
バンブは後悔の塊である。
(どんな話だったのだろう!?文字が残っていない!?エルフの口伝!?)
「病気と伝わっているが、どうも呪いだったらしい、これは伝えているエルフの長老の話だが」
……おお、それは種類によっては解呪できないよな……
……誰が呪ったんだ?……
……英雄ラプラスこそ呪われているのでは?……
……だよな、それって遺伝しないのか?……
……遺伝?絶えないか?8000年前だろ?……
……一子相伝とか?……
……をい!それは武術だろ!……
……いや、言い伝えだろ?ホントにいたのか英雄ラプラスは?……
「ん?」
先生の表情に気が付くバンブ。
(なんか嬉しそうだな?どうして?)
「先生はうれしいぞっ!」
……は?……
……ナニがかな?……
「みんながラプラスについて考えてくれて!いいか、よく聞け我が教え子たちよっ!」
……なんだ?……なんだ?……
……いつもの熱血か……
「この広い世界に、もしかしたらラプラスのような人物がいるかもしれん!」
……いや、いないっしょ……
……聞いたことないよ……
……あの……はい……先生の話聞いてください、授業中です……
「想像しろ!いいか、そいつは孤独だ!もしかしたら成人できず、ちょっとした怪我や戦いで命を落とすかもしれん!」
……だよな……
……いるのかしら?魔法無効……
「他者に思いを馳せろ!理解は難しいが、君達には、そこにいることを認める人物になってほしいっ!」
……めんどくね?……
……難しいよ……俺の家、ビンボーだし……
……センセー余裕ないよ、日々の暮らしでMAXだよ!……
……宿題やら課題やら多いし……
ここでキラキラしたコジロ先生の目が、ユトランを捉える。
ユトランも目がキラキラである!
ユトランは声を大にして叫びたかった!
(っせんせいっ!います!います!後ろにいます!古代の英雄みたいな人物がっ!認めてくださっ!ユトランの大好きなバンお兄ちゃんをっ!)
後ろからユトランを見ているバンブ。
(ユトラン、なんか言いたそうだなぁ、横の奴も動きが一瞬変だった……おい、もしかして君が鬼の目か?)
半ば冗談のように尋ねてみる。
ビクッ!と動く斜め前の男子生徒。
(……わかりやすい……でも冷酷非情の鬼の目としては失格では?)
隣席の鬼の目は感動していた。
認めてください、と言うユトランの言葉に。
鬼の目一族は影の一族だ。暗躍し、誰も認めない歴史の裏に潜む一族。
まだ若い鬼の目は、誰かに認めてほしいのだ。
(確かに失格ですね)
氷のような冷たい女性の声。
一瞬、魔物か!?と思うバンブ。
(魔物?あながち間違っていませんよ、ふふっ)
(上司か)
バンブの言葉は軽く無視される。
(その者はまだ修行の身、若くて経験が浅い。あまり試すでない、よいか?分家当主どの)
(……気づかぬふりをしろと?ああ、わかった)
できるかな?同級生だし、とか考えているバンブ。
3ヵ月は短いようで長い。
(それから分家当主どの、今夜話がある。寮に伺うがよろしいか?)
(夜?鬼の目が直々に?)
(夜這いではない、安心されよ)
(!)
そして消える気配。
バンブはまたしてもラプラスの話を聞き損ねる!
(うおおおおっ!……運命は、僕にラプラスの伝説を聞かせたくないのか!)
ここでコジロ先生が委員長を指名する。
「委員長、書いた文章を読んでみろ」
「え……はい?……よ、読むのですか……」
大きく見開かれる委員長の目!
「書き記したものは5名、どのように記したか聞きたい、教壇からは見えるのだよ!」
残り4名(ユトラン含む)、パタン、と筆記具一式を隠すがすでに遅い。
「残り4名は自分の文章と比べるだけでいい、委員長、聞かせてくれ」
最初は戸惑ったが、カタン、と椅子を鳴らし立ち上がる委員長。
「……はい」
バンブは委員長に意識を向ける。
「英雄王ラプラス、当時のブンドル国の王、これはエルフの口伝による」
「さて補足説明だ、8000年前、ブンドルは独立国家であったといわれているが、これも口伝だ。別の資料には現在の王都らしき存在が記されている」
委員長は続ける。
今回はここまでよ。
次回サブタイトルは 第百六一話 英雄譚その3 の予定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




