第百五九話 英雄譚
今晩は。
投稿です。
(後ろにバンお兄ちゃんがいるの!?恥ずかしいよう……三つ編み、おかしくないかなぁ)
などと思いながら教科書に目を落とす。
「……5?……」
(58ページだよ)
隣の男子生徒が黒板を見ながら呟く。
小柄で素早さ特化の学生に見える。
明らかにユトランよりも小さい。
しかしその目は勝ち気で鋭く、野性味に溢れていた。
その様子を後ろから冷めた目で見ているバンブ。
(……誰だこいつ、忍か?)
「あ、ありがとう……!?」
大きく見開かれるユトランの目!
ガタン!椅子が鳴る!
「ん?どうしたユートニア君?誰かが消しゴムでも投げたか?」
手にチョークを持ったコジロ先生。
……しないよ、そんなこと……
……コドモじゃあるまいし……
口々に不満を吐き出す生徒たち。
「いや、するだろお前ら!」
「い、いえ……あの……この英雄王さんって……魔法が……?」
「おお、兄妹そろってラプラスに興味ありかぁ!先生はうれしいぞ!」
バンブはそんなユトランと先生の会話を聞きながら、第3の人物に話しかけていた。
(なんでここに鬼の目がいる?)
(……)
(あ、勤務中は私語禁止か?)
応えはない。
だが確実にいる、どこかはわからないが。
(お願いがあるんだけど、いいかな?聞こえていない?)
(……)
(鬼の目は、魔法に似て非なる特殊能力の持ち主だろ?僕の考えが読めるはずだけど?そう無頼に聞いたが?)
(……)
(基本、君たちが監視だけって知っているけど、凄い強さだろ?ちょっといいかな?ダメかい?)
(……)
(委員長の家族の監視、保護を頼みたい)
(!)
微かな反応を感じ取るバンブ。
(相手はこの街の貴族だろう?きっと家族を狙う、委員長を苦しめて殺す気だ)
(……)
(人を使うだろうな、委員長の家族、子供、老人男女関係なく強姦して殺す、クライマーズ48のリーダーと大差ない。いや、権力と金が潤っている分性質が悪いか?)
(……)
(お門違いか?そうだね、僕の両親が破滅して死んでいく様を見ていた君達だ、監視者、命令は絶対で見ているだけの存在だ、世の中には君達のような一族も必要なのだろうけど……)
(……バンブ様以下、ユトラン様、メヘ様、雨天様、渡辺様、月光様は監視対象、レインも騎士団として動いています)
(!)
(月光様のご家族は、騎士団とギルド・クラギがガードしています、ご心配無用かと)
(クラギが?)
(男爵家はクラギとことを構えております)
(……ありがとう、話してくれて)
ここで雨天と目が合った。
(気づかれた!?いや、気配で目が合っただけか?クラギとモメてる?デティさんは何も言ってなかったけど……)
さらに委員長ってツキカゲっていうんだ、とか考えながら思いを巡らすバンブ。
(騎士団の護衛が付く?委員長って何者だ?ああ、血かな?……おそらく王都かどこかの貴族の血が入っている?もしくは委員長の能力か?)
気配なしの一撃で、襲撃先輩を撃破した蹴り。
(Sランク傭兵の僕が焦ったし。とりあえず、学校帰り辺りが危ないかな?ん?)
「そこで、ラプラスが塔に向かうことになったんだ」
(え!?しまったああああああああああああ!?聞き損ねたぁ!?)
とんでもなく後悔するバンブ。
教科書58ページには英雄と呼ばれたラプラスは魔法が無効であった、との一行しか記述がないのだ!
ちらり、と後ろを向くユトラン。
その顔は嬉しそうである。
「?」
ノートをチラ見せする。
そこにはびっしりと紐?のような文字が記してあった!
(速記!?いつの間に!?)
「ふふんっ」
ユトランの笑顔が輝いて見えるバンブ!
(どんな勉強しているんだ!?誰が教えている?)
はい、ロボウとルンルンです。
今回はここまでじゃ。
次回サブタイトルは 第百六十話 英雄譚その2 の予定です。
毎回ご愛読、ありがとうございます。
次回もお楽しみに。




