第百五一話 その時
こんばんわ。
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バンブが教室に到着する少し前。
ユトランは困惑していた。
バンブを探したが、見当たらないのだ。
……むっほ?どうしたストライプ?……
「……なんで……いないの?……」
……むっほ、むっほ、残ったからじゃ……
「……なんで残ったの?」
「おい、まさか俺達を逃がすためか!?」
雨天が小さなおじさん達に詰め寄る。
……そうじゃが……
一瞬躊躇い、雨天は行動に移った。
「ベリナ、俺は戻るぞ!ユトちゃんを頼む」
「え?戻るのかよ?」
「今回、雨天は部外者でぇす」
「戻ったって何もできないぜ?」
……何を慌てる?むっほ、むっほ……
……いまさら戻ってどうするつもりじゃ?……
「あ……わ、私が戻ります……私が原因ですし……」
今更ながら青くなる委員長。
つい、一緒に逃げてしまったのだ。
「委員長はここにいろ、相手が相手だ!」
「いえ……でも……私が元凶です……ああ、どうしよう……バニッシェンさんが……」
走り出そうとする雨天、それを小さなおじさん達が一言で止めた。
……愚かな……
……だからお前は王になれぬ……
「!!!!!!!!!!」
時間が停止したように止まる雨天。
その顔は険しく、小さなおじさん達を睨んだ!
「……なんだと?……いま、なんと言った?……」
……ここで待つがよい……
……戻ってはダメだ……
……我らがあるじ殿が逃がしたのだぞ、任せて待て……
……黒レースも静かに待つがよい……
……主の粋を無駄にするのか?……
……一度逃げたのだ、戻ってはダメだ……
「しかし!」
……戻ってきたら、礼を言え、世話になったと……
……今回は、それでいい……
「い、いい分けないだろ!」
……むっほ?そうか?……
……主は気にしないと思うが……
そう言って、小さなおじさん達は消えていく。
気にしないとは言われても、逃げたのはよくない。
ユトランはショックだった。
置いて逃げた。
ユトランにとっては塔に置いて逃げた、と同じなのだ。
仲間を置いて逃げた。
その目から、大粒の涙が零れ出す。
「……ご、……ごめんなさい……バ……バンお兄ちゃん……」
驚き寄り添うベリナとメヘ。
「おいおい、そこまで気にするなよ?戦場じゃないんだぜ?まぁ後味は少しはワリぃけどよ。バンも止めなかったし」
「……うう……でも……ユト……ユートニアは……逃げて……しくしく……」
メヘは優しくユトランの頭を撫でる。
「大丈夫でぇす、お兄さまは怒ったりしませんよ、多分、ユトが残ろうとしたら走れ、と言ったはずでぇす」
「……うう……うわーん……」
……おい、雨天!お前早速転入生の女の子、泣かしたのかよ!?……
……ひでぇヤツだなぁ!……
「いや、お、俺は!?……な、泣くなよ、ユトちゃん!俺、困るよ!」
その様子を見て、嫉妬し始めるベリナ。
「ホント、ユトはお兄ちゃんが好きなんだなぁ、バンのヤツが羨ましいぜ!あたいもユトみたいな妹が欲しい!」
半ば本音のベリナ。
一瞬、赤く腫れた目でベリナを見るユトラン。
その視線でベリナは気づく。
「え?……おい、ユト……バンって兄上じゃ……ない……のか?」
「……うん……ホントのお兄ちゃんじゃない……うう、どうしよう……嫌われた?……」
「は?」
……どういうことだ?……
クラス全員の耳と目が、一斉にユトランの口元に向く!
……え?先生の話ではバニッシェン・ハートさんとユートニア・ハートって?……
……何かとんでもない複雑な事情があるのでは?……
学生達の想像力が爆発した!
……3ヶ月の短期間?……
……血の繋がらない兄と妹!?……
……なんだよそれ!……
……ギルマスのデテイさんの親戚って?……
……ど、どんなパターンがある!?……
……親の離婚と再婚?……
……おいおい、ここまでにしておこうぜ、ユートニアさんが可哀想だ……
……そうそう、詮索はなし!……
学生達の考えをよそに、ユトランは思う。
仲間を置いて逃げたのだ、これはいけない、嫌われた?どうしよう……
新しい友達、憧れの学校、バンお兄ちゃんと登校!……浮かれすぎた?
涙が溢れ出る。
ユトランの生活の中心は塔だった。
どんな酷い扱いを受けても、仲間を置いて逃げることはなかった。
お互いに利用する間柄でも置き去りはダメだ。
それをしてしまった……激しい後悔の念が湧き上がる。
「うう……ダメだ……失格だよ……」
(こんなんじゃ、塔を制覇したって告白できないよ!見捨てて逃げるなんて!気づきもしないなんて!)
「うわーん」
そしてそこに現れるバンブ。
「え?ユトラン?どうしたの!?」
今回はここまでです。
次回サブタイトルは未定です。
投稿も未定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




