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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第百五一話 その時     

こんばんわ。

投稿です。


 バンブが教室に到着する少し前。

 ユトランは困惑していた。

 バンブを探したが、見当たらないのだ。


 ……むっほ?どうしたストライプ?……


「……なんで……いないの?……」


 ……むっほ、むっほ、残ったからじゃ……


「……なんで残ったの?」

「おい、まさか俺達を逃がすためか!?」


 雨天が小さなおじさん達に詰め寄る。


 ……そうじゃが……


 一瞬躊躇い、雨天は行動に移った。


「ベリナ、俺は戻るぞ!ユトちゃんを頼む」

「え?戻るのかよ?」

「今回、雨天は部外者でぇす」

「戻ったって何もできないぜ?」


 ……何を慌てる?むっほ、むっほ……

 ……いまさら戻ってどうするつもりじゃ?……


「あ……わ、私が戻ります……私が原因ですし……」


 今更ながら青くなる委員長。

 つい、一緒に逃げてしまったのだ。


「委員長はここにいろ、相手が相手だ!」

「いえ……でも……私が元凶です……ああ、どうしよう……バニッシェンさんが……」


 走り出そうとする雨天、それを小さなおじさん達が一言で止めた。


 ……愚かな……

 ……だからお前は王になれぬ……


「!!!!!!!!!!」


 時間が停止したように止まる雨天。

 その顔は険しく、小さなおじさん達を睨んだ!


「……なんだと?……いま、なんと言った?……」


 ……ここで待つがよい……

 ……戻ってはダメだ……

 ……我らがあるじ殿が逃がしたのだぞ、任せて待て……

 ……黒レースも静かに待つがよい……

 ……主の粋を無駄にするのか?……

 ……一度逃げたのだ、戻ってはダメだ……


「しかし!」


 ……戻ってきたら、礼を言え、世話になったと……

 ……今回は、それでいい……


「い、いい分けないだろ!」


 ……むっほ?そうか?……

 ……主は気にしないと思うが……


 そう言って、小さなおじさん達は消えていく。

 気にしないとは言われても、逃げたのはよくない。

 ユトランはショックだった。

 置いて逃げた。

 ユトランにとっては塔に置いて逃げた、と同じなのだ。

 仲間を置いて逃げた。

 その目から、大粒の涙が零れ出す。


「……ご、……ごめんなさい……バ……バンお兄ちゃん……」


 驚き寄り添うベリナとメヘ。


「おいおい、そこまで気にするなよ?戦場じゃないんだぜ?まぁ後味は少しはワリぃけどよ。バンも止めなかったし」

「……うう……でも……ユト……ユートニアは……逃げて……しくしく……」


 メヘは優しくユトランの頭を撫でる。


「大丈夫でぇす、お兄さまは怒ったりしませんよ、多分、ユトが残ろうとしたら走れ、と言ったはずでぇす」

「……うう……うわーん……」


 ……おい、雨天!お前早速転入生の女の子、泣かしたのかよ!?……

 ……ひでぇヤツだなぁ!……


「いや、お、俺は!?……な、泣くなよ、ユトちゃん!俺、困るよ!」


 その様子を見て、嫉妬し始めるベリナ。


「ホント、ユトはお兄ちゃんが好きなんだなぁ、バンのヤツが羨ましいぜ!あたいもユトみたいな妹が欲しい!」


 半ば本音のベリナ。

 一瞬、赤く腫れた目でベリナを見るユトラン。

 その視線でベリナは気づく。


「え?……おい、ユト……バンって兄上じゃ……ない……のか?」

「……うん……ホントのお兄ちゃんじゃない……うう、どうしよう……嫌われた?……」

「は?」


 ……どういうことだ?……


 クラス全員の耳と目が、一斉にユトランの口元に向く!


 ……え?先生の話ではバニッシェン・ハートさんとユートニア・ハートって?……

 ……何かとんでもない複雑な事情があるのでは?……


 学生達の想像力が爆発した!


 ……3ヶ月の短期間?……

 ……血の繋がらない兄と妹!?……

 ……なんだよそれ!……

 ……ギルマスのデテイさんの親戚って?……

 ……ど、どんなパターンがある!?……

 ……親の離婚と再婚?……

 ……おいおい、ここまでにしておこうぜ、ユートニアさんが可哀想だ……

 ……そうそう、詮索はなし!……


 学生達の考えをよそに、ユトランは思う。

 仲間を置いて逃げたのだ、これはいけない、嫌われた?どうしよう……

 新しい友達、憧れの学校、バンお兄ちゃんと登校!……浮かれすぎた?

 涙が溢れ出る。

 ユトランの生活の中心は塔だった。

 どんな酷い扱いを受けても、仲間を置いて逃げることはなかった。

 お互いに利用する間柄でも置き去りはダメだ。

 それをしてしまった……激しい後悔の念が湧き上がる。


「うう……ダメだ……失格だよ……」


(こんなんじゃ、塔を制覇したって告白できないよ!見捨てて逃げるなんて!気づきもしないなんて!)


「うわーん」


 そしてそこに現れるバンブ。


「え?ユトラン?どうしたの!?」


 今回はここまでです。

次回サブタイトルは未定です。

投稿も未定です。

毎回ご愛読ありがとうございます。

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