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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第十四話 電車にて     

今晩は。

投稿です。


 不思議な現象である。

 呼び名が変わっただけで、こうも変わるか?と言うほど二人の間柄は、急接近した。

 まるで本当の兄と妹のように振舞い始めたのだ。

 もし輪廻転生があるのなら、この二人、前世は本当に兄と妹か、もしくは夫婦だったのかもしれない。それほど仲がよく、息が合うのだ。


「では、まずはお家にご招待だ、屋敷はブンドルの東地区なんだ」


「え?南区じゃないの?」


 南区は貴族中心の住宅区なのだ。

 中央区は王族で、オリオン・ドリオンの塔は西区にある。

 北区はダウンタウンと呼ばれたり、暴区、外区、とか言われている。

 ギルドは各区にあり、塔周辺が一番多い。

 そして東区は傭兵区と呼ばれている、少々荒っぽい地区なのだ。


「歩く?電車に乗る?」


「え?お兄ちゃん、ユトランお金持ってないよ、それに電車なんて……」


「まかせな!」


 そう言ってバンブはキラキラ光るカードを見せる。


「うわぁ、特権カード!初めて見た!」


「まぁ落ちぶれ貴族だけど、カードは持ってるんだ」


 雷精の加護で動いている電動の大型輸送ゴーレム『電車』。20名程の人や荷物を運ぶことが出来るのだ。

 全区を周回している30機ほどのゴーレムで、ほぼ10分おきにやって来る。

 運賃はメチャクチャ高い。

 ただし貴族、及びクライマーズ50以上はタダである。

 あと、5歳以下の家族もタダ、それ以外は生活費に回した方が断然有意義である。

 運営しているのはブンドルの街や在住の王族ではなく、王都の国王である。


 なんと趣味で動かしているのだ。直接の管理はブンドルの王族なのだが、トップはこの国の王様なのだ。

 もちろん、趣味なので利益は度外視である。


 コトコト。


 のんびりした音が近づいてくる。


「ちょうど来た、乗ろう!」


「う、うん」


「どしたん?」


「ユトラン、服汚れているし……」


「気にするな、僕も結構汚れているよ!」


「え?で、でもこれって、王さまのお気に入りじゃ……」


「乗って喜べば王さまも嬉しいよ、きっと」


 電車に乗り込む二人。


 ピッ!


 カードに反応する魔振。

(作者注*魔振=マシン、魔力で振動する機械のことです)


「二人、東区まで」


「了解しました……ってバンブじゃねぇか?なんだ?デートか?」


 運転手が鏡越しにバンブに話し掛ける。

 乗客はバンブとユトランの二人だけだ。


「パーティーメンバーだよ!」


「おお、ついに登るか?10階までだったら相談にのるぜ、いつでもきな」


「ああ、その時はよろしくね」


(ねぇ、バンブお兄ちゃん、知り合いなの?)

(ああ、そうだよ)

(貴族の人?)

(違うよ、なんで?)

(え?だってお兄ちゃんのことバンブって)


「あん?あんたどこかで見たことあるぞ?」


「え?」


「ああ、ギルドの回覧かぁ、48階攻略で有名だぜ」


「!」


 一瞬で青くなるユトラン。


「あんたの元パーティー、評判よくねぇ、抜けてよかったな。バンブだったら大事にしてくれるぜ」


「え!?」


 今度は段々と赤くなるユトラン。


「俺はクライマーズ10、ゴーレムマスターのエフェクト・ロックだ、魔振のことならお任せを!」


「あ、ロックさん商売してる」


「自己紹介だ!」


「わ、私はクライマーズ48、白魔道士ユトランです」


「ひいいいっ!直に聞くとやっぱスゲぇ、48かぁ別世界だぜ!10階まで、とかカッコつけちまって恥ずかしいぜ!」


「ロックさん、口調が全然恥ずかしそうでないけど?」


 バンブが冷ややかに問う。


「そりゃ、おめぇ、俺サマは単騎、ソロで10階まで昇ったんだぜ!」


「え!?」


 驚くユトラン。


(不可能では?でもウソじゃないみたいだし?」


「ひ、一人で、ですか!?」


「そう、一人でだ、スゲぇだろ?」


「あ、始まった、ロックさんの自慢話!一人?ゴーレムと3人でしょ!」


「ゴーレムはカウントしないんだよ!それにゴーレムは人じゃねぇ、魔振だ」


「そ、それでも凄いです!」


「あー快感!48に凄いと言わせたぜ!バンブ、お前もガンバレよ!目指せ借金返済!まぁ俺の計算じゃ80階三往復したら返済かな?」


「え?」


 今度は青くなるユトラン。


「ユトラン、信じちゃダメだよ」


「え?そ、そうなの?」


 そんな話しをしながら電車は各駅に停車し発車する。

 誰も乗ってこない。


「大丈夫なの?ロックさん、この電車、技術は凄いけどお客が」


「利益は考えていないよ、こいつは国王さまの趣味さ」


「とんでもない趣味だね」


「ジオラマが好きらしいんだけど、こいつは一分の一サイズだからなぁ」


「ジオラマ?なにそれ?」


「何でも王都には150分の1サイズのブンドルの街が作ってあるそうだ」


「ごめん、ロックさんの話し、まったくわからないや」


「趣味の話し、国王の浪漫ってヤツだ!で、ユトちゃん、気づいたか?」


「!……はい」


「さすが48だな、降りたら気をつけな」


「え?なに?ロックさん?」


「おめぇは暢気(のんき)でいいなぁ?バンブ、窓の外見たか?」


「いや」


「ユトちゃんの元パーティーメンバーとすれ違ったぞ」


「!」


「気づいていたぜ、オーガみたいな顔していたぞ。いやあの顔はオーガに失礼だな、そんな顔していたぜ」


「……お兄ちゃん?」


「どうするよ?バンブ、手伝おうか?」


「いや、僕らで何とかします、それにロックさんゴーレムの運転があるでしょう?」


「あ、こいつ自走するんだ、ちょっと改造してね」


「ええっ!?いいんですか!?勝手にいじって!」


「こいつの基本設計は俺だ、王さま公認だよ。ほれ、着いたぞ東区だ。ユトちゃん、ここからバンブの屋敷まで歩いて10分くらいだ、それ以上時間が掛かったら怪しい、走って逃げな」


「え?」


「へ、変なとこ連れて行ったりしないよっ!人聞きが悪いこと言わないで下さいっ!」


「ははっ、毎度あり!またのご乗車を~」


 今回はここまでです。

次回サブタイトルは 第十五話 お家にご招待、でもその前に! の予定です。

毎回ご愛読ありがとうございます。

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