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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第十三話 爆誕     

今晩は。

投稿です。

今回は原稿用紙一枚分くらい長いです。


 さて、返答に困るバンブ。


(お付合いとは何だ?よくわからん)


 本音である。

 女の子に興味はある。


 メイドのアネイさんは優しいし、よく気づいてこまめに面倒を見てくれる。

 クライマーズ8、格闘家メイドのアネイ・ルンルンさん。

 29歳の派遣メイドさんで、派遣元はファルコンキャロット本家である。

 十年前、本家から来た綺麗なお姉さん。

 スタイル抜群だし、いい匂いがする。

 お話ししていても楽しいし。


 しかし、今のバンブは女性よりも借金返済が上位なのだ。


「お付合いがどんなのか、僕はよくわからない。借金返済で頭がいっぱいでね」


「そうなのですか」


「そうなんだけど、二人で塔をゼンクリしたら、お付合いの意味もわかるかも知れない。いいよ、攻略したら、ユトランさんと付き合う」


 ……むっほむっほ……

 ……確かに聞いたぞ……


「あの……」


「なんだい?」


「私を……私を大事にしてくれるのですか?」


「ああ、パーティーメンバーとして、一緒に皆で暮らす仲間として」


「……では私もバンくんを大事にしますね」


「!!……そ、それってパーティーに参加してくれるってこと!?」


 静かに頷く白魔道士ユトラン。

 高揚するバンブ!本当に嬉しそうである。

 そして二人の様子をジッと見ている小さなお姉さん。

 そのお姉さんの雰囲気が、ガラリ、と変わった!


 ひっくり返ったのだ!


 周囲に善とも悪とも言えぬ、妖気が漲り始める!


(汝、白魔道士ユトラン)


「!?」


(汝に魔法の言葉、言霊を授ける)


(え?お、お……お姉さん……?)


 誰!?

 違う!?

 直感!

 違う!お姉さん妖精じゃないっ!

 誰?この方!?

 明らかに存在が違う!


 一瞬で真っ青になるユトラン。

 恐怖を感じているのだ。

 小刻みに身体が震え出す!

 その異変を素早く読み取るバンブ。


「どうしたの!?」


 周囲の雰囲気が違う!


「精霊の囁き?大丈夫!?」


 バンブの声はユトランに届かない!


(よいか、白魔道士ユトラン)


 こくこく。


 頷くことしか出来ないユトラン。


(召喚士バンブにこう告げよ………ボソボソ……よいな?必ずこう告げるのじゃ!)


「ええええええええええええっ!?」


「うわっ!?ど、どうしたの!? 」


 今度は真っ赤になるユトラン!

 涙目で耳まで赤い!


(よいかユトラン、かの者はお前を守護し、食べ物を与え、涙を拭く布を与え、安らぎを与えた、これより住むところ与え、毎日の食べ物も与えるという、お前の大好きな温泉まで与える、これを何と呼ぶ?仲間か?守護者か?)


「で、ですが……それはあまりにも……」


(お前の鍵は『感謝』ありがとうという言葉だ、バンブの鍵を汝に与える、必ず告げよ!)


「……む、無理です……」


(ゆるさん)


 そう言ってフッ、と何かは消えてしまった。


「な、何を聞いたの!?」


(なんだこの変化!?ユトランさん、何を囁かれたんだ!?)


「ユ、ユトランさん、大丈夫!?」


「は、はい……」


「何を囁かれたの?今の、精霊の囁きだよね!?」


 こくこく。


「び、びっくりしました……」


「僕もビックリだよ!まさか精霊の囁きに立ち会えるなんて!塔の精霊だろうか?」


 ここで何か言いたそうにしているユトラン。


「あ、改めて宣言しますね……クライマーズ48、白魔道士ユトランはパーティー参加します」


「え?……あ、ありがとう!ユトランさん」


「……ユ、ユトランでいいです、これからは同じパーティーメンバーですし」


「じゃ、僕はバンブでもバンでもいいよ、これからよろしくね、ユトラン!」


「はい、こちらこそ、その……よろしく……お願いします……バ、バン……お兄ちゃん」


「え?」


「だ、だめですか?」


「……」


「あ、あははっ…………ダ、ダメですよねぇ?お、おかしいですよね、ほ、ホントに精霊さまだったのかしら?お兄ちゃんと呼べだなんて……」


 真っ赤になるユトラン。


(……消えてしまいたいよう……ん?)


 バンブは機能停止している。


「え?バ、バンお兄ちゃん?」


 そしてなかなか再起動しない。

 そう、ユトランの言葉はバンブの魂を確実に撃ち抜いたのだ!


 バンブが熱望したもの、それは兄、姉。

 子どもの頃、母に願った。


 カッコいい兄が欲しい。


 母はダメだという。


 では優しい姉が欲しい。


 これも残念と言う。

 では、元気な弟か可愛い妹が欲しいと言った。

 すると母はそれなら、と約束してくれた。

 しかし母は、その約束を守ることなく病気で死んでしまった。


 渇望したもの、それは弟、妹。


(え?俺、妹が……できたの?……妹が…)


 元々生真面目なバンブ。

 そのバンブは、ユトランの言葉を素直にそのまま受け取った。


「俺のことか……バン……お兄ちゃんって?……」


 (つぶや)くバンブ。

 (うなず)くユトラン。


 言葉にしてしまえば、しっくり収まるのだ。

 まるでパズルの最後のピースがパチリ、と収まったように!


 ここに(バンブにとっての)疑似最強妹キャラが爆誕した!


 そう、彼女はこれから、兄の前に立ち塞がる塔の魔物や障害物(人物を含む)を片っ端からホーリーバーストで吹飛ばしていくのだ!

 そして目指すはオリオン・ドリオンの塔、最上階!


 お互い、欲しかったモノを与え合った二人。

 二人の歯車が大きく動き始める!


 今回はここまでです。

次回サブタイトルは 第十四話 電車にて です。

毎回ご愛読ありがとうございます。


作者補足*白魔道士ユトランの吹飛ばす基準は、ユトランにとって利益が有るか無いかです。バンブの意思は含まれません。そう、気に入らない奴等は片っ端から吹っ飛ばす、ボンバーガールです。


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