第十三話 爆誕
今晩は。
投稿です。
今回は原稿用紙一枚分くらい長いです。
さて、返答に困るバンブ。
(お付合いとは何だ?よくわからん)
本音である。
女の子に興味はある。
メイドのアネイさんは優しいし、よく気づいてこまめに面倒を見てくれる。
クライマーズ8、格闘家メイドのアネイ・ルンルンさん。
29歳の派遣メイドさんで、派遣元はファルコンキャロット本家である。
十年前、本家から来た綺麗なお姉さん。
スタイル抜群だし、いい匂いがする。
お話ししていても楽しいし。
しかし、今のバンブは女性よりも借金返済が上位なのだ。
「お付合いがどんなのか、僕はよくわからない。借金返済で頭がいっぱいでね」
「そうなのですか」
「そうなんだけど、二人で塔をゼンクリしたら、お付合いの意味もわかるかも知れない。いいよ、攻略したら、ユトランさんと付き合う」
……むっほむっほ……
……確かに聞いたぞ……
「あの……」
「なんだい?」
「私を……私を大事にしてくれるのですか?」
「ああ、パーティーメンバーとして、一緒に皆で暮らす仲間として」
「……では私もバンくんを大事にしますね」
「!!……そ、それってパーティーに参加してくれるってこと!?」
静かに頷く白魔道士ユトラン。
高揚するバンブ!本当に嬉しそうである。
そして二人の様子をジッと見ている小さなお姉さん。
そのお姉さんの雰囲気が、ガラリ、と変わった!
ひっくり返ったのだ!
周囲に善とも悪とも言えぬ、妖気が漲り始める!
(汝、白魔道士ユトラン)
「!?」
(汝に魔法の言葉、言霊を授ける)
(え?お、お……お姉さん……?)
誰!?
違う!?
直感!
違う!お姉さん妖精じゃないっ!
誰?この方!?
明らかに存在が違う!
一瞬で真っ青になるユトラン。
恐怖を感じているのだ。
小刻みに身体が震え出す!
その異変を素早く読み取るバンブ。
「どうしたの!?」
周囲の雰囲気が違う!
「精霊の囁き?大丈夫!?」
バンブの声はユトランに届かない!
(よいか、白魔道士ユトラン)
こくこく。
頷くことしか出来ないユトラン。
(召喚士バンブにこう告げよ………ボソボソ……よいな?必ずこう告げるのじゃ!)
「ええええええええええええっ!?」
「うわっ!?ど、どうしたの!? 」
今度は真っ赤になるユトラン!
涙目で耳まで赤い!
(よいかユトラン、かの者はお前を守護し、食べ物を与え、涙を拭く布を与え、安らぎを与えた、これより住むところ与え、毎日の食べ物も与えるという、お前の大好きな温泉まで与える、これを何と呼ぶ?仲間か?守護者か?)
「で、ですが……それはあまりにも……」
(お前の鍵は『感謝』ありがとうという言葉だ、バンブの鍵を汝に与える、必ず告げよ!)
「……む、無理です……」
(ゆるさん)
そう言ってフッ、と何かは消えてしまった。
「な、何を聞いたの!?」
(なんだこの変化!?ユトランさん、何を囁かれたんだ!?)
「ユ、ユトランさん、大丈夫!?」
「は、はい……」
「何を囁かれたの?今の、精霊の囁きだよね!?」
こくこく。
「び、びっくりしました……」
「僕もビックリだよ!まさか精霊の囁きに立ち会えるなんて!塔の精霊だろうか?」
ここで何か言いたそうにしているユトラン。
「あ、改めて宣言しますね……クライマーズ48、白魔道士ユトランはパーティー参加します」
「え?……あ、ありがとう!ユトランさん」
「……ユ、ユトランでいいです、これからは同じパーティーメンバーですし」
「じゃ、僕はバンブでもバンでもいいよ、これからよろしくね、ユトラン!」
「はい、こちらこそ、その……よろしく……お願いします……バ、バン……お兄ちゃん」
「え?」
「だ、だめですか?」
「……」
「あ、あははっ…………ダ、ダメですよねぇ?お、おかしいですよね、ほ、ホントに精霊さまだったのかしら?お兄ちゃんと呼べだなんて……」
真っ赤になるユトラン。
(……消えてしまいたいよう……ん?)
バンブは機能停止している。
「え?バ、バンお兄ちゃん?」
そしてなかなか再起動しない。
そう、ユトランの言葉はバンブの魂を確実に撃ち抜いたのだ!
バンブが熱望したもの、それは兄、姉。
子どもの頃、母に願った。
カッコいい兄が欲しい。
母はダメだという。
では優しい姉が欲しい。
これも残念と言う。
では、元気な弟か可愛い妹が欲しいと言った。
すると母はそれなら、と約束してくれた。
しかし母は、その約束を守ることなく病気で死んでしまった。
渇望したもの、それは弟、妹。
(え?俺、妹が……できたの?……妹が…)
元々生真面目なバンブ。
そのバンブは、ユトランの言葉を素直にそのまま受け取った。
「俺のことか……バン……お兄ちゃんって?……」
呟くバンブ。
頷くユトラン。
言葉にしてしまえば、しっくり収まるのだ。
まるでパズルの最後のピースがパチリ、と収まったように!
ここに(バンブにとっての)疑似最強妹キャラが爆誕した!
そう、彼女はこれから、兄の前に立ち塞がる塔の魔物や障害物(人物を含む)を片っ端からホーリーバーストで吹飛ばしていくのだ!
そして目指すはオリオン・ドリオンの塔、最上階!
お互い、欲しかったモノを与え合った二人。
二人の歯車が大きく動き始める!
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第十四話 電車にて です。
毎回ご愛読ありがとうございます。
作者補足*白魔道士ユトランの吹飛ばす基準は、ユトランにとって利益が有るか無いかです。バンブの意思は含まれません。そう、気に入らない奴等は片っ端から吹っ飛ばす、ボンバーガールです。




