第十二話 ユトランの条件
今晩は。
投稿です。
ふっ、とユトランはまた質問したくなった。
その考えは、普段ユトランなら考えつきもしなかったものだ。
「……返済した後は、どうするのです?」
「え?」
「その後です」
「……それは……考えていないよ」
途中で死ぬかも知れない?
「途中で死ぬかも知れないから?」
「ユトランさん、君はストレートだね、その通り、まずは借金返済が一番。塔で死ぬかも知れないから先は考えていないよ」
……協力してあげたい。
でも!
「ユトランにメリットがありません、でも助けてもらった恩があります」
……そのセリフ、いいわぁ……さぁ、ここで条件よ!……
メリットがない、と言ってもユトランの気持ちは早々と決っているのだ。
協力する、なぜならユトランは恩を返したいし、バンブの優しさと悲しさに触れたからだ。
「条件……」
ここで小さなお姉さんをチラ見するユトラン。
……そうね、ここはストレートにいきましょう!……
(ストレート?直球ですか?)
……そう、フォーシームよ!告白よ!……
(えええっ!?)
……助けてくれたあなたに、少なからず好意を抱きました、あなたのことがもっと知りたいです、私の気持ちを受け止めてくれるのでしたら、パーティーに参加します……どう?……
「むり」
……なんで?……ちょっとストライプ!大きい声でているわよ!……
「断られたら、立ち直れません。それに……」
……それに?……
(それに……好意を駆け引きに使いたくないです。私の素直な気持ちを駆け引きの材料にしたくありません。バンブくんはお母さまとお父さまを亡くしているし、可哀想です)
……!……
……むっほむっほ、よく言った……
……あっぱれ、みごとなり……
「君のメリットかぁ……お家とご飯を提供できるよ、あ、あとお風呂も!ちなみにお風呂は温泉だよ」
「え?」
(お風呂!?それも温泉!?)
お風呂大好き温泉大好きの白魔道士ユトランは、もう落ちたも同然である!
「贅沢はできないけど、屋敷の一室を使っていいよ、提供する」
「え?」
「塔での取り分は頭割り、でどう?」
「え?」
(一つ屋根の下……男の子と女の子……え?)
「あ、屋敷には執事が一人とメイドさんが一人いるよ、僕は一人っ子だったし、今はこの3人で暮らしている」
「……」
(妖精さんの言うとおりだ!)
「ユトランさんがよければ、だけど?どう?それから僕と君は対等だよ、貴族とか関係ない、これが僕のパーティー待遇だけど、他に何かある?」
……むっほむっほ、バンブ、家とご飯、お宝は山分け、もう一声、何か欲しいのう……
「え?もう一声?」
……そうじゃ、パーティーを組むとなると家族以上の絆ができるぞ……
……まぁ絆は、パーティー次第じゃが……
……パーティーによっては、クズみたいなパーティーもあるがなぁ……
「あとは……」
「え?まだあるのですか!?」
「君を大事にする」
「……………………」
停止するユトラン。
(私を大事に?え?プロポーズ!?指輪とか出てきませんよね!?)
ユトランの運命のデスティニー思考が炸裂した!
そして白魔道士ユトランは思い詰めた。
今までのことを深く考え始めたのだ。
無くなった自分の両親のこと、一人残った自分。
前のパーティーメンバー、塔から帰ってきた弓と杖。
ギルドから紹介されたパーティー。
ああ、バンくん話しによると、もうこの時点で私は囚われの身だったんだ。
散々利用されていたんだ。
今度はバンくんが私を利用するのだろうか?
そうかも知れない、でもあの『あり』という言葉を信じてみたい。
小さな動物達、妖精さん。
綺麗なハンカチーフ。美味しいたこ焼き。
トドメが温泉にご飯!
(バンくんに出会って、私、変わった?なんか上書きされた?何だろう?眠っていたモノが目覚めた?)
その時、小さなお姉さんの眼が輝き、優しくユトランの髪を撫でた。
「あ……」
そして条件を思いつく。
「ユトランからの条件、いいかしら?」
(あれ?なんだか私の声じゃないみたい!?)
「!……いいよ、どんな条件なんだい?」
「オリオン・ドリオンの塔、全階制覇したら、ユトランとお付合いしてください」
「え!?」
「貴族のあなたとダウンタウンのユトランです、一日……いえ半日でフってもらっても構いません、ユトランに……夢を見させて下さい」
「夢?」
「そう、もしかしたら貴族のあなたと、お付合いできるかも知れない、という夢を」
そう、結果はどうなるかわからないけど、この人のために最上階を目指そう。
ユトランは決心した。
そして、肩にちょこんと乗っている小さなお姉さんを見るユトラン。
(……なにかユトランにしました?)
……べ、別にぃ……
(眼を逸らしましたね?)
……あら?そうかしら?……
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第十三話 爆誕 の予定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。
このお話し、面白いですか?
MAYAKOは楽しんで作っていますが。




