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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第十二話 ユトランの条件     

今晩は。

投稿です。


 ふっ、とユトランはまた質問したくなった。

 その考えは、普段ユトランなら考えつきもしなかったものだ。


「……返済した後は、どうするのです?」


「え?」


「その後です」


「……それは……考えていないよ」


 途中で死ぬかも知れない?


「途中で死ぬかも知れないから?」


「ユトランさん、君はストレートだね、その通り、まずは借金返済が一番。塔で死ぬかも知れないから先は考えていないよ」


 ……協力してあげたい。

 でも!


「ユトランにメリットがありません、でも助けてもらった恩があります」


 ……そのセリフ、いいわぁ……さぁ、ここで条件よ!……


 メリットがない、と言ってもユトランの気持ちは早々と決っているのだ。

 協力する、なぜならユトランは恩を返したいし、バンブの優しさと悲しさに触れたからだ。


「条件……」


 ここで小さなお姉さんをチラ見するユトラン。


 ……そうね、ここはストレートにいきましょう!……


(ストレート?直球ですか?)


 ……そう、フォーシームよ!告白よ!……


(えええっ!?)


 ……助けてくれたあなたに、少なからず好意を抱きました、あなたのことがもっと知りたいです、私の気持ちを受け止めてくれるのでしたら、パーティーに参加します……どう?……


「むり」


 ……なんで?……ちょっとストライプ!大きい声でているわよ!……


「断られたら、立ち直れません。それに……」


 ……それに?……


(それに……好意を駆け引きに使いたくないです。私の素直な気持ちを駆け引きの材料にしたくありません。バンブくんはお母さまとお父さまを亡くしているし、可哀想です)


 ……!……

 ……むっほむっほ、よく言った……

 ……あっぱれ、みごとなり……


「君のメリットかぁ……お家とご飯を提供できるよ、あ、あとお風呂も!ちなみにお風呂は温泉だよ」


「え?」


(お風呂!?それも温泉!?)


 お風呂大好き温泉大好きの白魔道士ユトランは、もう落ちたも同然である!


「贅沢はできないけど、屋敷の一室を使っていいよ、提供する」


「え?」


「塔での取り分は頭割り、でどう?」


「え?」


(一つ屋根の下……男の子と女の子……え?)


「あ、屋敷には執事が一人とメイドさんが一人いるよ、僕は一人っ子だったし、今はこの3人で暮らしている」


「……」


(妖精さんの言うとおりだ!)


「ユトランさんがよければ、だけど?どう?それから僕と君は対等だよ、貴族とか関係ない、これが僕のパーティー待遇だけど、他に何かある?」


 ……むっほむっほ、バンブ、家とご飯、お宝は山分け、もう一声、何か欲しいのう……


「え?もう一声?」


 ……そうじゃ、パーティーを組むとなると家族以上の絆ができるぞ……

 ……まぁ絆は、パーティー次第じゃが……

 ……パーティーによっては、クズみたいなパーティーもあるがなぁ……


「あとは……」


「え?まだあるのですか!?」


「君を大事にする」


「……………………」


 停止するユトラン。


(私を大事に?え?プロポーズ!?指輪とか出てきませんよね!?)


 ユトランの運命のデスティニー思考が炸裂した!


 そして白魔道士ユトランは思い詰めた。

 今までのことを深く考え始めたのだ。

 無くなった自分の両親のこと、一人残った自分。

 前のパーティーメンバー、塔から帰ってきた弓と杖。

 ギルドから紹介されたパーティー。

 ああ、バンくん話しによると、もうこの時点で私は囚われの身だったんだ。

 散々利用されていたんだ。


 今度はバンくんが私を利用するのだろうか?

 そうかも知れない、でもあの『あり』という言葉を信じてみたい。


 小さな動物達、妖精さん。

 綺麗なハンカチーフ。美味しいたこ焼き。

 トドメが温泉にご飯!


(バンくんに出会って、私、変わった?なんか上書きされた?何だろう?眠っていたモノが目覚めた?)


 その時、小さなお姉さんの眼が輝き、優しくユトランの髪を撫でた。


「あ……」


 そして条件を思いつく。


「ユトランからの条件、いいかしら?」


(あれ?なんだか私の声じゃないみたい!?)


「!……いいよ、どんな条件なんだい?」


「オリオン・ドリオンの塔、全階制覇したら、ユトランとお付合いしてください」


「え!?」


「貴族のあなたとダウンタウンのユトランです、一日……いえ半日でフってもらっても構いません、ユトランに……夢を見させて下さい」


「夢?」


「そう、もしかしたら貴族のあなたと、お付合いできるかも知れない、という夢を」


 そう、結果はどうなるかわからないけど、この人のために最上階を目指そう。

 ユトランは決心した。


 そして、肩にちょこんと乗っている小さなお姉さんを見るユトラン。


(……なにかユトランにしました?)


 ……べ、別にぃ……


(眼を逸らしましたね?)


 ……あら?そうかしら?……


 今回はここまでです。


次回サブタイトルは 第十三話 爆誕 の予定です。

毎回ご愛読ありがとうございます。

このお話し、面白いですか?

MAYAKOは楽しんで作っていますが。

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