第百二九話 遺物
こんにちは。
3時です。
お茶の時間です。
「おお、有り難いぜバンブ、自由に使わせてもらう、で、ギルマスはどうするんだい?」
「!……俺はとにかく忙しい、3ヶ月はバンブとユトちゃんの保護者だし、塔から排出されたアイテムの管理もある。あと王都から派遣された調査団との話もあるし」
これが悩みの種だ。
塔から排出されたアイテム、要はこれは遺品なのだ。
塔内の忘れ物、落とし物もあるが大半は遺品である。
通常、装備品や貴重なアイテムは仲間や上位クライマーズが回収して持ち帰るのだが、遙か上階で全滅したクライマーズのアイテム、装備品は回収されない、いや回収できないのだ。
当たり前のことだが、上階の敵は下階も強い。より強いクライマーズでないと上階への挑戦は死である。
そう、力無き者、及ばざる物は死、である。
ドリオンの塔で67階まで上ったパーティーがある。
そしてそこで全滅した。
装備品、アイテムはそのままである、誰も回収できないし、放置だ。
遺族は遺品を欲しがったが、ただ塔を眺めるだけだ、こうしたパーティーは無数にある。
もう戻れないと分かって、ひたすら上階を目指したパーティーも数多くいるのだ。
回復役の死亡、アイテムの不足、食料確保ができなくなった、それぞれの障害で全滅するパーティー。
その放置されたアイテムが、ドリオンの塔攻略によってリセットされたのだ。
ドリオンの塔から排出される装備品、アイテムは膨大だった。
数千年分の上位装備、アイテムが塔から戻されている。
そして遺族達は、チキンキャロット家当主殿クライマーズ198に感謝した。
それは遙か先祖の遺品であったり、家族の形見。
「中にはとんでもない物あるグビグビ」
ワインをガブ飲みするレインが喋り出した。
かなり酔っているようだが、言葉はハッキリしていた。
「まぁ私は立場上、塔返還の遺物に立ち会っているが、南の国の宝剣がでてきた」
「!」
驚く無頼。
「本物か?」
「ああ、鑑定士全員間違いないと」
「バンお兄ちゃん、南の国の宝剣って?」
「50年ほど前に消えた王位認証の剣だ、だよねロボウ?」
「はい、消えた宝剣、隠された宝剣としてお話しが残っています」
「そんな宝剣が見つかったの!?」
ユトランは素直に見つかってよかったね、と思う。
しかし現実はちょっと違う。
「噂では当時の王子がかってに持ち出し、無謀にもドリオンの塔に挑戦、そのまま死んだらしい」
「なにそれ!?」
「ここからが大問題だ、それから南の国は王位継承が乱れた。認証の剣、王の証としての剣がないのだ、当時の南の国の者達は我が国に剣の返還を求めた」
「え?」
驚くユトラン。
「しかし、あくまで噂だ、確かめようがない、そこで南の国の騎士団を塔に招待したのだが、これも全滅、結局剣は不明のままだ」
「それが出てきたと?」
「ああ、今南の国は内乱で荒れている、この剣の所有者が王だ、さてどうする?クライマーズ198、バンブ」
「ぼ、僕に聞かないでよ!」
「だよな、これもゼンリンと貴族会、元老院が話し合っている」
(え?見つかって大変なの?ユトラン、よかったね、としか思わないけど……)
「……あの、レインお姉ちゃん、それだけなの?他には?」
「お?いい質問だ、他にも似たような話が多分、数千年分ある」
「!!!!!!!!!!!!」
「西の小国に短剣を返した、鑑定士が言うには150年程前の戦士の短剣だそうだ。今はこの戦士の子孫が騎士団長になっている。バンブ、お前も傭兵なら知っているだろう?あの勇敢なタンバ騎士団だ。そこでバンブに感謝状が来ているぞ、それと借金の返済に充ててくれと金塊も」
「!!!!!!!!!!!!」
結果、そうなっただけでバンブとしては戸惑いしかないのだ。
「まだまだあるぞ、この手の話し」
「えええっ!?」
予想しなかったこと、さすがにこれは予想できなかった。
めんどい、ただ面倒い。
バンブはそう思った。
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第百三十話 大金 の予定です。
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