第百二六話 第七王女ツグミ
今晩は。
投稿です。
そのユトランの瞳が無頼を捉える、続きが早く聞きたいのだ!
「そう、心配するなユトランさん。ツグミさまは一度婚約破棄をされている」
「え?」
そう、異世界定番の婚約破棄だ!
ただし、破棄したのはバンブではなく、第七王女ツグミさまだ!
「昔の話しだ。ゼンリンは、これから塔を攻略するであろう当時のチキンキャロット家当主とより強いパイプが欲しくて、第七王女ツグミさまとバンブの婚約を決定した。資金援助も公然とできるからな」
「それって、政略結婚?」
「そうだ……グビグビ」
七本目のワインを呑み干すレイン団長。
「このワイン、辛口か?政略結婚はよくあることだぜ、いや殆どが政略結婚だ」
「それは偏見だ、レイン団長」
「ファルコンキャロット家当主ファントム・ザ・無頼さまの言葉とはお思えんが?グビグビ」
「ふふっ、皆をまとめるのが本家の役割だ、誤解はない方がいい」
レインはバンブとユトランの視線が気になってしょうがない。
昼間、南区ブンドル全学校の見学に行ったことはルンルンから聞いている。
しかしユトランもバンブも何も言ってこない。
まぁ簡単に話せる内容でもないが。
(その内、話しが出るか)
そう思い、もう一人の人物を見る。
ギルマスのデテイだ。
(コイツは確か卒業生だったな?先輩だがある程度は知っているはず、後で締め上げるか?)
酒に酔って物騒な事を考えているレイン団長。
各自それぞれの思惑が交差し合うチキンキャロット家の食堂。
「バンお兄ちゃん……その……ツグミさまって……婚約破棄?……なにがあったの」
「ああ、僕が小さい頃一度あった話しさ」
どんな話し?と聞きたいが怖くて聞けないユトラン。
でも聞かなければ、絶対今夜眠れないっ!
(はうぅ……)
「婚約が決り、王都で顔合わせの時、婚約破棄された」
「!」
「ああ、あの話かぁ……あの話しも結構盛り上がったよなぁ、ギルドの回覧にも……!」
ギロ。
デテイを睨むバンブ。
「わりぃ……グビグビ……」
ユトランの視線がバンブに刺さる。
バンブが軽く口を開く、バンブにとって重い話ではないのだ。
これは過去のことで、今となっては何とも思っていない話し。
「初顔合わせの時、一言、第七王女ツグミさまが言ったのさ、王女である私がなぜ位を下げないといけない、と。格下の借金まみれの貧乏貴族が気に入らなかった、それだけだよユトラン。当時の僕はあまりにも小さすぎて、なんのことだかまったく理解していなかったよ、それで終わりさ……なに?レイン団長?」
「だがバンブ、お前その場で泣いただろ?」
「!……まぁね(なぜ知っている!?)」
「え?どうして?」
「言ったろ?僕は小さかったって、なんか綺麗な女の子に怒られた気がして、悲しくなって泣いたのさ」
「え?」
言葉を失うユトラン。
「友達に会いに行こうと親に言われて会いに行ったんだ、僕的には友達と聞いて嬉しかったんだけど、その……欺された結果さ」
「そんな……」
(え?バンお兄ちゃん?お父さんやお母さんに欺されたの!?)
小さな子になんてことを。
そしてじんわりと怒りが込み上げてくるユトラン。
(友達?バンお兄ちゃんを責めた?泣かした?小さなバンお兄ちゃんを!?)
暴走するユトランの想像力!
ユトランは小さな子供のバンブを想像し脳内創造した。
小っちゃい手、とてとてとコケそうに走るバンブ。
クルクルとした可愛い眼、一生懸命喋る姿。
新しいお友達、と聞いて喜ぶ小バンブ。
全てが愛おしい存在。
そのバンブを泣かした?
判決が下される!
(……第七王女ツグミ、許すまじ!)
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第百二七話 宣言 です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




