第百二五話 週刊王都芸能
こんにちは。
お昼です。
ご飯の時間です、食後の読書をどうぞ。
「ユトランさん、落ち着いて」
そう言って宥め始めたのは無頼である。
「これは建前だよ、バンブの知らない話しだ」
「……建前?知らないお話し?」
ピタリ、と止まる本格高速詠唱。
そして、ハッ、と我に返るユトラン!
「え?あ?」
「ユトさま、大丈夫か?」
ルンルンが寄り添い、そっと肩に手を置く。
「姫の話は聞いただろ?生贄にされる女の子を一人でも減らしたいんだ」
我には返ったが疑う深くなったユトラン。
簡単には引き下がらない。
「……どうかしら?王都には後宮があるって書いてあったけど」
「書いてあった?」
そう言ってバンブを見る無頼。
「どこに書いてあった?なに?その書物?」
バンブは心当たりがない。
そもそも貴重な書物は全て売り払われ、何も残っていないのだ。
「いいかいユトランさん、王都の後宮はちゃんとした目的がある、あれはあれで大事なことだ」
「でも無頼さん、男の子ってお嫁さんや恋人以外にも他の女の子と……」
「他の男は知らんが、バンブは誠実なヤツだと思うが?コイツは浮気とか不誠実な行為にむいていないし、毛嫌いしている」
「……」
無言でチビチビとお酒を呑むロック。
なぜかレインと眼を合わせない。
「でも有名になったら、クマトラ?」
「熊?」
「蜂トラだったかな?」
「?」
グビグビワインを呑みながらレインが一言。
「もしかしてハニトラか?ギョクギョク……かぁうめぇこのワイン!」
「そうそれです!分かっていても欺されるとか……沢山の女の人とその……あ、遊びたいとか……」
ここでバンブが斬込む。
「ユトラン、どこの知識?」
「本に書いてあったの、ユトラン勉強したの」
「何の本!?どんな勉強!?」
ここでルンルンが一言漏らす。
「あ!」
「ルンルン?あ?何?あって?思い当たること!?」
日頃冷静なバンブがかなり慌てている。
そう、ユトランはもうバンブにとって大切な存在なのだ。
ただの回復役ではない。
変な方向に行ってほしくない!
「ユト、私の週刊誌読んだ?」
「週刊誌!?」
面白おかしく、虚実織りなす書物。
末梢神経を刺激し暗い欲望を増長させたり満たしたり、そんなモノばかり。
あ、全てバンブの感想です。
バンブは週刊誌を嫌っている。
そう、没落貴族はいい話のネタなのだ。
借金の山、塔に狂った狂気の貴族、チキンキャロット家当主。
育児放棄の母親、貴族とは?
散々家族のことをあることないこと書き殴られ、死亡説まで流されたバンブ。
貴族から傭兵に身売りし、戦地で死亡。
そんな週刊誌、今度はユトランまでも毒され犠牲者に!?
あ、全てバンブの感想です。
「衣装タンスの裏にあったの……何だろう?って思って……」
「わりぃ、私が読んでたヤツだ、週刊王都芸能」
「王都芸能?あれかルンルン、バン様はゴシップがお嫌いですよ、すぐに処分しなさい」
「でもよ、ロボウ、結構面白いんだ」
「ユトランさまが誤解されておられる、悪書ですぞ」
まとめ役の本家が割って入る。
そう、本家の役割は重く多肢に渡る。
小さな問題から大きな悩みまで。
誰でも相談、本気で解答、それが本家なのだ。
「本家として一言言っておく、虚言に惑わされるな、あえて楽しむ余裕が欲しいモノだな」
「え?あの本は嘘なのですか?ユトラン、ホントのことばかりだと……」
本家の無頼が白ワインを一口飲み、諭すように答える。
「ウソもある、ホントもあるのだ、それを楽しむ本だ。ある意味大人の本だ。それから婚約者は第七王女のツグミさまだ」
「「!」」
驚くロボウとルンルン。
「ツグミさまぁ?」
「なんと!恥知らずな!」
「恥?どういうことですか?」
そう言いながら心配の固まりの眼で、バンブを見るユトラン。
「あの人か」
「……あの……女性……?」
(ユトランの知らない女の人、バンお兄ちゃんの過去の女性?)
ユトランの瞳に再び影が宿り始める。
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第百二六話 第七王女ツグミ です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




