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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第百二五話 週刊王都芸能     

こんにちは。

お昼です。

ご飯の時間です、食後の読書をどうぞ。


「ユトランさん、落ち着いて」


 そう言って宥め始めたのは無頼である。


「これは建前だよ、バンブの知らない話しだ」

「……建前?知らないお話し?」


 ピタリ、と止まる本格高速詠唱。

 そして、ハッ、と我に返るユトラン!


「え?あ?」

「ユトさま、大丈夫か?」


 ルンルンが寄り添い、そっと肩に手を置く。


「姫の話は聞いただろ?生贄にされる女の子を一人でも減らしたいんだ」


 我には返ったが疑う深くなったユトラン。

 簡単には引き下がらない。


「……どうかしら?王都には後宮があるって書いてあったけど」

「書いてあった?」


 そう言ってバンブを見る無頼。


「どこに書いてあった?なに?その書物?」


 バンブは心当たりがない。

 そもそも貴重な書物は全て売り払われ、何も残っていないのだ。


「いいかいユトランさん、王都の後宮はちゃんとした目的がある、あれはあれで大事なことだ」

「でも無頼さん、男の子ってお嫁さんや恋人以外にも他の女の子と……」

「他の男は知らんが、バンブは誠実なヤツだと思うが?コイツは浮気とか不誠実な行為にむいていないし、毛嫌いしている」

「……」


 無言でチビチビとお酒を呑むロック。

 なぜかレインと眼を合わせない。


「でも有名になったら、クマトラ?」

「熊?」

「蜂トラだったかな?」

「?」


 グビグビワインを呑みながらレインが一言。


「もしかしてハニトラか?ギョクギョク……かぁうめぇこのワイン!」

「そうそれです!分かっていても欺されるとか……沢山の女の人とその……あ、遊びたいとか……」


 ここでバンブが斬込む。


「ユトラン、どこの知識?」

「本に書いてあったの、ユトラン勉強したの」

「何の本!?どんな勉強!?」


 ここでルンルンが一言漏らす。


「あ!」

「ルンルン?あ?何?あって?思い当たること!?」


 日頃冷静なバンブがかなり慌てている。

 そう、ユトランはもうバンブにとって大切な存在なのだ。

 ただの回復役ではない。

 変な方向に行ってほしくない!


「ユト、私の週刊誌読んだ?」

「週刊誌!?」


 面白おかしく、虚実織りなす書物。

 末梢神経を刺激し暗い欲望を増長させたり満たしたり、そんなモノばかり。

 あ、全てバンブの感想です。

 バンブは週刊誌を嫌っている。

 そう、没落貴族はいい話のネタなのだ。

 借金の山、塔に狂った狂気の貴族、チキンキャロット家当主。

 育児放棄の母親、貴族とは?

 散々家族のことをあることないこと書き殴られ、死亡説まで流されたバンブ。

 貴族から傭兵に身売りし、戦地で死亡。

 そんな週刊誌、今度はユトランまでも毒され犠牲者に!?

 あ、全てバンブの感想です。


「衣装タンスの裏にあったの……何だろう?って思って……」

「わりぃ、私が読んでたヤツだ、週刊王都芸能」

「王都芸能?あれかルンルン、バン様はゴシップがお嫌いですよ、すぐに処分しなさい」

「でもよ、ロボウ、結構面白いんだ」

「ユトランさまが誤解されておられる、悪書ですぞ」


 まとめ役の本家が割って入る。

 そう、本家の役割は重く多肢に渡る。

 小さな問題から大きな悩みまで。

 誰でも相談、本気で解答、それが本家なのだ。


「本家として一言言っておく、虚言に惑わされるな、あえて楽しむ余裕が欲しいモノだな」

「え?あの本は嘘なのですか?ユトラン、ホントのことばかりだと……」


 本家の無頼が白ワインを一口飲み、諭すように答える。


「ウソもある、ホントもあるのだ、それを楽しむ本だ。ある意味大人の本だ。それから婚約者は第七王女のツグミさまだ」


「「!」」


 驚くロボウとルンルン。


「ツグミさまぁ?」

「なんと!恥知らずな!」

「恥?どういうことですか?」


 そう言いながら心配の固まりの眼で、バンブを見るユトラン。


「あの人か」

「……あの……女性(ひと)……?」


(ユトランの知らない女の人、バンお兄ちゃんの過去の女性(ひと)?)


 ユトランの瞳に再び影が宿り始める。


 今回はここまでです。

次回サブタイトルは 第百二六話 第七王女ツグミ です。

毎回ご愛読ありがとうございます。

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