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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第百二一話 握られた手     

今晩は。

投稿です。



 そのバンブを心配そうに見つめるユトラン。


「まぁ、その後生れた当主さまの御子息は、入学されませんでしたが」


 案内役の先生はそう言って、鋭い眼でバンブを睨む。

 ユトランはその視線を疑った、いや確信した。


(バンブ・チキンキャロットってバレてる!)


 王都からの話しでは名は伏せている、とのことだったのだ。

 デテイの関係者として身を隠せ、と言う内容だったのだが。

 ここでユトランは疑い始める。

 この先生、ただの案内役じゃない、と。


(眼が怖いくらいに鋭いもん!)


 しかしバンブは、話しの内容が唐突すぎてその視線に気づかない。


「入学?それは……お金が無いからでしょう……あの借金まみれの没落した貴族がそんなことをしていたのですか……」

「バニッシェンさん、その言葉、訂正して下さい。我らの前でチキンキャロット家の侮辱は許しません」

「!」

「貴族街にありながら、この自由は校風は彼の方のお陰です、見たでしょう?授業風景を、聞こえますか?あの学生達の笑い声が!」


 バンブとしては考えが纏(まと)まらない。

 侮辱?侮辱とはなんだ?

 こっちはあのクズな当主のお陰で、借金の山だぞ!王都に身売り寸前だぞ!

 会話すら思い出せない存在なんだぞ!

 僕が生れる前から、学校を探していた?

 そんな教育熱心な奴だったのか?

 バンブにとって父親は憎悪の対象でしかない。

 しかし反射的にバニッシェンを演じるバンブ。


「そのような方でしたか、あまりよい印象はなかったモノですから。訂正します、失礼を致しました」

「私からの話は以上です、では快い返事を待っています」


 挨拶を終え、校門に向うバンブ達。

 ユトランはずっとバンブの手を握って離さない。

 手を放すと、バンブが何処かに行ってしまいそうな気がするのだ。


(大丈夫かな?大丈夫かな?バンお兄ちゃん……)


 ユトランの心はその繰り返しである。

 掛ける言葉も見つからず、一生懸命バンブの手を握るユトラン。


「大丈夫だよ、ユートニア」

「……そう?かな?」


 校門前、そこにはベリナ、メヘ、雨天、委員長が掃除をしていた。


「おい、いつも掃除をさぼる雨天が、んなとこでナニしてんだよ!」

「そうでぇす!そうでぇす!」


 冷ややか眼でメヘが抗議する。


「掃除だ!掃除!」


 雨天は小さな手箒で小石や落ち葉、枝などを適当に集めている。

 いや、よく見ると撒き散らしている!


「お前らこそナニしてんだ!東国コンビ!」

「あ、差別発言か?それ!」


 ベリナとメヘは、それぞれゴミ袋とちり取りを持ってウロウロしている。


「はい……あの……掃除の時間は掃除をしてください」


 長い竹箒で綺麗に掃く委員長。


「おいおい、委員長も出待ちか?」


 ニヤニヤしながら雨天が委員長を眺める。


「え?いえ……その……私はもともと、ここの掃除当番です……雨天君は教室では?」

「代わってもらったんだよ!」

「そうですか……その……あの……ベリナさんは、実習室だったかと……」

「代わってもらったんだよ!よく覚えてんな!」

「そうですか……メヘさんは……その……渡り廊下だったかと……」

「代わってもらったでぇす!」


 そこにやって来るバンブ御一行。

 ピタリ、と動いていた4名が止まる。


「ようバン!どうだった?我が、がっこーはよぉ?」


 雨天が叫ぶ!


 今回はここまでです!

 次回もお楽しみに。

次回サブタイトルは 第百二二話 撤収 の予定です。

毎回ご愛読ありがとうございます!

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