第百二十話 明かされた物語
こんにちは、投稿です。
三時のお茶の時間には、ちょっと遅れました。
「権力を前に我々は無力でした、ここはそういう闇の一面を持つ学校だったのです」
「呪符で相手を縛るのは禁呪ですよね」
バンブは質問せずにはいられない。
「はい、忌むべき行為です」
「簡単に解呪はできないはずですが?」
「はい、ですが……そうですね、当時、今日のようにこの学校を訪れた方がいまして」
「見学ですか?」
「はい、貴族の方で将来子供が生れたら、この学校に入学させようかと下見に」
「大丈夫ですか!?やめた方がいい」
「バニッシェン」
「何です?デテイおじさん?」
「ここは闇が深いが、昔からとんでもない人物を輩出し続けている学校でもあるんだ。授業料は高いかもしれんが、オリオン・ドリオンの塔からの恩恵で、人、モノ、金が集まる。優秀な人材が集まり、更に優秀な人材を生みだすんだ」
事実、優秀な人材が多く輩出され国の内外で活躍している。
ブンドルの街は塔の恩恵で人、物、金、全てが循環しているのだ。
「犠牲者が出たら意味が無いのでは?学業の場で死者はダメでしょう?」
「クライマーズも塔で数多く死んでいる、あそこは職場だ」
「学校も塔も変わりないと?詭弁ですね」
「バン、理想と現実は違う、お前こそ詭弁だぞ」
ここでバンブはデテイを一瞥し、先生を睨む。
(ろくでもない学校だな!教師とは?先生とは?)
「そこで……その見学の方が、レインさまの状態を見抜き、解呪したのです」
「白魔道士!?しかし禁呪は簡単に解けないはず、だよな?ユートニア?」
「はい、そう聞いています」
そうは言ったモノの、白魔道士ユトランは防御力無視の超絶白魔道士、試したことはないが殆どの禁呪はユトランにとって無効になる。
そしてその力は自覚することによって更に強まり、バンブと出会ったことで覚醒を重ねている。
「凄い白魔道士ですね」
「いや、その方は白魔道士ではありません、賢者クラスの魔法使いでした」
「!」
「そして、レインさまから現状を聞き、その方は元老院、貴族会に通報」
「しかしそれは……(そいつも危なくないか?消されるぞ!)」
「はい、却下されました」
「でしょうね、相手の生徒達は全員貴族なら、相当な権力持ち」
「はい、ですのでその方はゼンリンに話しを持って行かれたのです」
「!」
「バンお兄ちゃん?ぜんりんって何?」
「……王族の定例会のことだよ」
「え!?レインお……団長助けた人って、王族だったの!?」
「話しは直ぐに通り、王族が動きました。下された裁決は決闘です」
「え?」
驚くユトラン。
バンブはそうだろうな、と予測した通りのようである。
「加害生徒は非を認めません、その親も一族も、刃向かう者を制しただけだと。これを見逃すと世が乱れるとまで言いましてね」
「……何それ……」
怒りが増し始めるユトラン。
ユトランは落ち着くために、バンブの手を握りしめた。
バンブの手は、ユトラン専用の『手』なのだ。
そしてユトランは、この安心な安らぎの手を誰にも渡すつもりはない。
「ならば、力を示せ、となり、加害生徒12名とレインさまの決闘となりました」
「え?12対1ですか!?酷くないですか!?」
手に力が籠もるユトラン。
しかしバンブの考えは違った。
「団長さまなら瞬殺では?」
当時レインが何歳でどれだけの実力かは知らないが、ある程度は予測出来る。
(レイン団長だったら余裕では?多分呪縛は人質を取られたか何かで、縛られたのだろう)
バンブそう推測する。
「瞬殺ではありませんでした」
「!……レイン団長なら、と思いましたが?」
「12名、なぶり殺しです」
「「!」」
「優しい方でしたが、呪縛で人が変わられたようです。それは今でも続いていると聞きます、敵味方問わず、弄び捨てると……お労しや……レインさま……」
その言葉は、苦渋に満ちていた。
「……その12名の家はどうなりましたか?」
「すべて取り潰し、全財産没収、国外追放です」
「そこまでしますか」
そうは言ったものの、あの国王ならやりかねん。バンブは勢いのある国王の言葉、態度を思い出す。
「さらに隠蔽を図った元老院、貴族会の一部のメンバーも同様です。今この学校があるのはレインさまと、当時のチキンキャロット家当主さまのお陰です」
「え?」
愕然とするバンブ。
「今、なんと?」
「レインさまの呪縛を解き、ゼンリンに働きかけて下さったのは、当時のチキンキャロット家の当主さまです」
「……」
言葉が出ないバンブ。
「え?」
(え?誰が……団長を?……解呪、呪いを解きゼンリン?そんなことができたのか?賢者クラスの魔法使い?……僕は……僕は知らないぞ!そんなことっ!いつの話しだ!?)
次回サブタイトルは 第百二一話 握られた手 です。
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