第百十九話 レインの過去
今晩は。
投稿です。
朝夕、少し寒くなりました。
「レイン団長?」
(どう言うことだ!?なぜその名前がここで出てくる?)
罠か?バンブは警戒する。
(知っていて僕達を学校に送り込んだ?ああ、そうだろうな。国王が何か企んでいないか?何を僕らに知らせたいのだ?)
「ご存じですか?」
確かめるように、ゆっくりと話し掛ける先生。
「!……名前だけは……」
静かに頷くユトラン。
「彼女は半年で退学していますが、一部の生徒達が、彼女の話を後輩に伝え続けています」
(伝え続ける?余程のことではないか?)
「その、レイン団長は何を?」
「当時、我が校は親が偉いと子供も偉い、となっていました。どんなに素行、成績が悪くても親の地位が一番なのです」
「それは学校として成り立つのですか?」
「ある程度は成り立ちますよ、世の中と同じです。そしてお金です、多ければ多いほど正義、正しいのです」
(まるで僕のような貧乏貴族は、悪とでも言いたげな話しだな)
「……耳が痛い話しだ、俺らギルドもつい最近まで同じような感じだったなぁ」
そう、三大ギルドの一つ、悪名高いギルドをユトランとバンブが潰しているのだ。
「そうですか……ご苦労なされましたなぁ」
「そうでもないよ、俺は何もしていない、恥ずかしい限りだ。レインの話しは聞いているが学校側から聞くのは初めてだ、悪いな、話しを折って、続けてくれ」
「では……そんな我が校にレインさまが入学されました。初日からトラブルの連続です」
(権力と金か、レイン団長、キレたのでは?)
「そして当時の一年生、レインさまのグループ、6人が粛正されました、集団リンチですな」
「!」
驚くユトラン。
「が、学校でそんなことが?」
「はい」
(学校とは?お金払っているのに、授業料払って集団リンチ?粛正だと?)
「6名中4名は死亡、残り2名のうち、一人は事故死とされていますが自殺です」
「「!」」
絶句するバンブとユトラン。
「残ったのはレインさま一人。そのレインさまも呪術で縛られ、酷いことをされていたようです」
「酷いこと?」
「ここでは言えません」
「学校内で殺人があれば大問題でしょう?それに呪縛、元老院は?貴族会は?」
「権力と金で伏せました」
「被害者の親も周囲もねじ伏せたと?……ユートニア、抑えろ」
「……」
「ユート!」
ユトランは今にも本格高速詠唱を解き放ち、周囲を吹飛ばす寸前なのだ!
(あの無数の傷痕は……消えなかったあの意味は……ゆるさない……ゆるさん……ユトランのお姉ちゃんを……)
そっ、と手を握るバンブ。
「!……ご、ごめんなさい……バンお兄ちゃん……でも……」
「ユトラン、塔の世界だけじゃない、この世界は死が溢れているんだ。理不尽な暴力、巨大な権力、生き残るのは大変だよ」
「でもでもバンお兄ちゃん!学校はお勉強するところでしょう?死を持ち込んではダメだよ!」
涙目で訴えるユトラン。
レインの身体中に走る無数の傷痕。
今は消えたが、ユトランは見ているのだ、斬り裂かれているレインの身体を。
「その通りですな……続けますぞ。あなた方がこの学校をどう選択されるかは分かりませんが、我々教師にとっても大事な話ですので」
(デテイさんは全部知っていたのか?ああ、ギルマスという地位なら知っていて当然か?そしてこの案内役の先生だ、この人、校長とか学校の権力者ではないのか?勝手に判断して話しているし、どうだろう?)
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第百二十話 明かされた物語 です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




