第百十五話 雨天の一言
こんにちは。
三時です。
お茶の時間です。
更にベリナは続ける。
「でよぉ、ここで折れた木剣を握って、真横に薙いだんだ、こういう感じで!」
スッ、と舞うように折れた木剣を薙ぐベリナ。
「あ……はい、それで……ここで雨天君の木剣が折れます、雨天君の木剣を折るとは、相当な技です」
「で、雨天がちょこっとだけ本気を出して、いや、焦ったのかな?木剣を折りながらバンを吹飛ばしたんだ!ここでバンは腕を痛める」
「どうでぇす?バン君は転がり、雨天君は木剣を折られた反動で腕を負傷」
皆の視線がバンブと雨天に集まる。
さっ、と手を放すユトラン。
視線が集まると、恥ずかしいようである。
まぁ実際視線が集まったのはバンブと雨天なのだが。
「ほぼ、正解だ、だよな?バン?ただバンが痛めたのは腕ではなく指だ」
「……」
じっと雨天の左腕を見るバンブ。
「あ?腕か?」
「折れていたはず」
「ははっ、このクラスには優秀なヒーラーがいるんだ、我がクラス自慢の保健委員!」
背の高い男子が手を上げる。
しかしその表情は険しい。
「どうした保健委員?」
「いや、なんでもないよ」
その目はバンブに向けられ、明らかに不信の目である。
「回復ありがとなぁ、バンも回復してもらったのか?お前、指の骨、折っているだろ?」
「まぁね、でも僕の方はユートニアに回復してもらった、ありがとう、ユートニア」
「……ふふっ、どういたしまして」
(バンお兄ちゃん、あの男の子、気づいたかな?バンお兄ちゃんの魔法無効……)
(ああ、多分な、でも呪符で弾いた、ということにいておこう、その辺は打ち合わせ通りにね)
(うん、分かった)
ここで生徒達が一斉にざわめき出す!
……おいおい!……
……あの弓の腕にプラス、ヒーラー!?……
……優秀過ぎないか!?……
……いつ回復したんだ!?……
パンパン!と手を叩く先生。
「ほれ!静まれ!さて生徒諸君、これが上位戦士達の戦いだ!ギリギリの判断、日頃の鍛練、これが如何に大事か……バニッシェンくんとユートニアくんにお礼を」
一同は礼をし、拍手が始まる。
もちろん雨天も深々とバンブに頭を下げた。
これにはちょっと驚くバンブ。
もっと不遜か、と思っていたのだ。
「おい、バン!」
「なに?」
「明日からか?学校?」
「まだ決めていないよ」
「来いよ、学校!おもしれーぞ!食堂のメシは美味いし、夜更かししても怒鳴る親もいねぇ!風呂に速く入れ、とか髪切れとかうるさくないしよ!」
「来るとしても、寮には入らないよ」
「あんだよ、連れねぇなぁ、でさぁ!あのな、お前の得物、なんだよ?教えろよ!」
「ふふっ」
「ふふっ!?っんだっと!?こら!教えろよ!」
「やだね」
「なっ!?てめぇ友達なくすぞ!いや、お前いないだろ!」
「ああ、いないよ、必要ない」
その言葉にはっ、とするユトラン。
「はぁ?なんだよ!その孤独な世界は!俺がダチになってやっからよ!」
冷ややかな眼のバンブ。
「雨天君、君は稽古仲間が欲しいだけでは?」
「……そうだよ!わりぃかよ!俺と対等に稽古できるヤツ、上級生にもいないんだ!先生だってやっとだ!なぁ剣について話そうぜ!」
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第百十六話 ダチ です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




