第百十一話 折れた木剣
今晩は。
投稿です。
サブタイトル変わりました。
すっ、と木剣を構え直す雨天。
(雨天くん眼が怖いよ?これは逃げられないな、でも一言、言っておくか)
ユトランを意識するバンブ。
(この戦い、ユトランはどう見ているのだろう?学生さんの稽古?それとも?今後のこととか心配して不安に思っているとか?)
ユトランは心配どころか、こっちもスイッチが入ったようである。
ここはもはや二人にとってオリオン・ドリオンの塔と、なんら変わらない。
(先生が止めない?まぁそれならそれでいいけど。ユトランもスイッチ入ったみたいだし)
「雨天くん、一言いいかな?」
「なんだ?」
バンブは仕掛けた。
「君は卑怯だね」
「な、なんだとっおおおおっ!」
一瞬で顔が真っ赤に染まる!
(ダメだよ雨天くん、ここで怒っちゃ相手の思うツボだよ?ふふっ)
「あと、やはり弱い」
そして今度は青くなる!
雨天の眼に明らかな殺気が宿り始める!
「雨天君は、剣を投げ寄越した時点で負けている、そんな勝ち方して勝利と言えるか?」
「勝てば良い」
「そう?振り返って恥ずかしくない?黒歴史になるよ、必ず」
(ここで雨天くん、脱力すれば凄いけど)
雨天は怒り心頭、激怒である!
(ああ、身体に力が入りすぎている。これなら僕でも勝てるかな?いや、それでも難しいや)
雨天はバンブの言葉に転がされたのだ。
バンブが木剣を構えた瞬間!
一気に間合いを詰め、雨天は仕掛ける!
バンブも間合いを詰める!
ガツッ!と木剣が激しくぶつかり合う!
この時点で雨天は勝ちを確信した!
木剣を受け止めたが、バンブは明らかに力負けしている!
(勝った!押し切れるぞ!)
嬉々とする雨天!
雨天はそのまま木剣を滑らせバンブの肩、頸を狙う。
カックン!
「え?」
(バンのヤツ!脱力しやがった!?)
ここからは一瞬だった!
バキイイイイイイッ!
次に見えたのは折れた二本の木剣!
ゴロゴロと転がりユトランの横に辿り着くバンブ。
「いてててっ」
「バ、バンお兄ちゃん!?」
片や雨天、その場に座り込み、腕を押さえている。
「いてててっ」
……え?……
……おい、見えたか!?……
……いや……
……俺、見えた、すげぇ技だった……
……どんな技だよ!……
雨天は、そのままゆっくりと立ち上がりバンブに近寄って来る。
「バン、てめぇ、汚ぇぞ!」
「あれ?勝てば良かったんじゃ?」
「チッ!もう一度勝負しろ!」
「イヤだね、雨天くんの勝ちでいいよ」
「っだとぉ、ごららぁああああ!」
「そこまでだ、雨天」
ここでやっと先生が声を上げる。
ピタリ、と止まる雨天。
どうやらこの先生の声には従うらしい。
「バニッシュン君、見事だ」
(早く止めて下さいよ)
と思いながら、出た言葉は謝罪の言葉であった。
「すみません、木剣を折ってしまいました」
「いや、こちらこそ早く止めなければいけなかったのだが、いい動きをいていたからね、ついつい次手を見たくなった」
軽く先生を睨むユトラン。
(ユトラン!?唱えちゃダメだからね!)
今にも高速詠唱を唱えだしそうなユトラン!
バンブは眼で合図を送る!
(とどいたよね?)
そう、ユトランは確かに合図を受け取っていた。
(分かったよ!バンお兄ちゃん!いつでも此奴ら、ヤレるよ!)
……合図は受け取ったが、意味がちょっと違っていた。
次回サブタイトルは 第百十二話 教えろよ! の予定です。
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