第百八話 出会い
今晩は。
投稿です。
ヒュン!
2m程の大きな弓を静かに操るベルナ。
その目は真剣そのもので、先程の人物とは到底思えない。
「ベリナってお姫様だったんですか!?」
「はい、ですがここでは市井の生徒ですよ、はははっ!」
「……ではメヘさんは?」
バンブが鋭く聞く。
「彼女は渡辺さんの剣であり盾です」
(ああ、お付きのガーディアン・ゴーレムってところか?あの二人周囲の生徒達は知っているのだろうか?)
「周りの生徒達は知っているのか?怪我とかしたらマズいだろ?国際問題にならんか?」
ギルマスのデテイが質問する。
「知っていますよ、他にも色々な地位ある者達がいます。ですがここでは皆、学生、我が校の生徒です、近くで見学しますか?」
「え?いいんですか?」
キラキラ眼のユトラン。
が、近づくにつれて段々と喋らなくなり、足取りが重くなる。
さっ、と人数を読み取るバンブ。
32名。
(ゴーレムのメヘさんはかなり強いだろう、動きが滑らかな渡辺さんも強者だ。おそらく実戦経験をかなり積んでいる)
そしてもう一人、剣を振るっている人物が眼に留まる。
(荒々しいなぁ、塔に登っているなこの学生さん。20階前後?パーティーメンバー次第ではまだ上に行きそうだ)
あとは眼に留まらなかった。
(スカウトするならこの3人だな)
しかし、バンブの直感はこの3人、200階を軽く越せると伝えてきた。
(不思議な3名だなぁ)
バンブにとって塔の攻略と借金返済が全てだ。
学校の授業風景でも、見る視点が明らかに異なる。
(でも渡辺さんは異国のお姫様で獣人族だ、塔には登れない。お付きのメヘさんもお姫様のガードなら無理だ。なぜ無理なんだろう?ルンルンは人工的に品種改良された獣人族だ……それでも登りたくないと否定している。とにかくイヤなんだ、としか言わないし)
エルフの伝承には遙か昔、妖精族もオリオン・ドリオンの塔に登っていた、と伝わっている。
北の洞窟では、塔を囲む妖精族や人族の壁画が見つかっている。
その北の洞窟で見つかった石版にも確かに登っていたと、彫り込んである。
ただこれらのことは学術的に否定されている。
壁画は囲んでいるだけ、石版は偽造品であろうと。
エルフの伝承も口伝なので、途中変わったのだろうと。
なぜなら、妖精族は登れないから、だ、そうだ。
(あの剣士、周りに合わせている?でも先生は気がついているようだけど。凄いなぁ、パーティーメンバー次第ではオリオン塔、かなり登れるのでは?)
「!」
剣士と眼が合った。
(こっちが見ているように、向こうも見ている、ということか?ああ、僕が思っている以上に強い剣士かも知れない、話しをしてみたい!)
バンブの後から、弓を引くベリナを見ているユトラン。
その手は軽くバンブの袖を握っている。
(ユトラン、大丈夫、怖くないよ)
(し、視線が……なんか怖い……)
そう、その場の学生さん、みんなチラ見しているのだ。
まぁこれは仕方ない。
みんな興味津々なのだ!
……誰?どこの人?……
……おい、三大ギルドのギルマスだぞ……
……悪徳ギルドは消えて、今は二つだ……
……え?メガネっ娘?……
……兄妹かしら……
……ほら、朝礼の……
……おーい、お前ら授業に集中しろ!怪我するぞ!……
……ムリでぇーす!……
今回はここまでです!
次回サブタイトルは未定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




