第百七話 学校の
今晩は。
投稿です。
「今日はよろしくお願いします」
「お待ちしておりました、デテイさん」
初老の紳士、バンブはそう評した。
眉毛も髪も真っ白で、深い皺の刻まれた男性。
小柄で歩く姿は綺麗だ。
(弓が得意かな?)
ユトランも同じくこの先生、弓が得意では?と感じていた。
どうやらこの初老の先生が本日の担当のようだ。
校長室など一通りの挨拶を終え、バンブ達は各教室をまわり始める。
周りながらの学校説明が続く。
「二系統の学びの場があります」
「?」
「一つは年齢による教室です、赤が一年生、青が二年生、緑が三年生です、飛び級も可能ですよ」
一年生は14~16歳、二年生は15~17歳、三年生は16歳~18歳で構成されているそうだ。
もう一つの系統は、リボンやタイが白の生徒達で学力によるクラスである。
こちらは年齢はバラバラ、それこそ小さな子供からご老人まで、学びたいモノを勉強するクラスである。内容は高等魔法構築学から読み書き、幅広く学べる。
「かなりオープンな学校なんですね」
バンブが撒き餌を開始する。
「はい、気に入られましたか?」
ちらっ、とユトランを見るバンブ。
ユトランは頬を高揚させ、食い入るように歴史の授業を聞いている。
(歴史、好きなのかな?)
「気に入ったようです」
「そうですか? 3ヶ月と聞きましたが、お望みのクラスはありましたかな?」
「そうですね、赤の一年生のクラスでしょうか」
「ああ、先程のメヘさんですね、ユーモアを解し行動もユニークです。彼女がゴーレムとはとても思えません」
「そうですね」
「何か質問でも?」
「いや、思っていた学校と違うというか……王都に準ずる厳しい学校かと」
「昔は派閥があり、殺伐としていましたがこの学校は変わりました」
「派閥?今はないのですか?」
「まったく無くなったわけではありませんが、この学校は良い学びの場所、と自負しております」
何があったか喋らない初老の先生。
(昔と違うと?なにがあったんだろう?ちょっと調べてみるかな、気になってしょうがない!)
興味を抱き始めるバンブ。
学校はバンブにとってもユトランにとっても未知の場所で、それは塔の上階探査に似た感情を起させた。
ここはなんだ?どんな所だ?ベリナやメヘは何であんなに楽しそうに見えるんだ?
「あの、あの」
「はい、なんでしょう?ユートニアさん?」
「この学校の良いところと、悪いところを教えて下さい」
驚いたのはバンブ。
(ユトラン!?良いところは分かるがユトラン?悪いところも!?)
「それは……」
「それは?」
「ご自身でお確かめ下さい」
「!」
「まぁ月謝が高いところですかな、はははっ!」
朗らかに笑う老紳士。
ここでひねくれ者のバンブ、早速イジイジ発動である。
(まぁお金持ちの貴族にとっては、たいした金額ではないだろうなぁ、しかし没落貴族の僕にとっては大金なんだよなぁ……今回は全額王都から出るけどさ)
それもバンブがドリオンの塔を制覇したから出るのだ。
飛行ゴーレムや青い飛竜の鱗、その価値は計り知れない。
そう、ドリオンの塔制覇者の噂は世界に広がりつつある、制覇者達は神話級の英雄なのだ!
それから図書室、魔法実験室、食堂を見て回り、最後に実働館に到着する。
そこは広いスタジアムみたいな場所だ。
「ここは実際に魔法や武器を使い、検証、訓練する場所です」
「……ほえぇ……」
高い天井を見て驚くユトラン。
開閉式の天井は魔力と磁力で浮いている。
タンッ!
乾いた音が響いてくる。
広い実働館のすみっこで、数十人の生徒達が弓や剣の稽古をしていた。
「あの弓は……ユト……ユートの知らない弓だ!」
目がキラキラと光り出すユトラン!
「ユト、あれは和弓だよ」
バンブの眼も光り出す!
(弓使い、それも和弓使いがいる?)
バンブは和弓の恐ろしさを知っている。
傭兵にいたのだ、和弓使いが。
巨大な弓から放たれる矢、その矢は変化自在に揺らめき動き、生き物のように襲ってくるのだ!
敵にしたくないな、治癒魔法無効のバンブは心底思ったモノだ。
「え?なにそれ?わきゅう?」
「おや、和弓に興味がおありですかな、あれは東国の姫、渡辺さんが持ち込んだ弓です」
「「「え゛!?」」」
綺麗にハモるバンブ、ユトラン、デテイ!
綺麗な姿勢で弓を引いているのは、正にその人、渡辺里奈!ベリナである!
今回はここまでです。
次回サブタイトルは未定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




