第三十話 決戦 魔王討伐②
引き続き冴太視点です。
冴太side
条件は全てクリアされた。後は実行するだけ。ルベルトのあの動き、シャーリーのその回避、次に魔王は後ろに下がる……
きた!!
「ルベルト、シャーリー! クルルの所まで下がれ!」
誰がどう見ても連撃するタイミングだが、あそこで攻撃してはダメだ。あの後退は魔王のフェイク。
「何なのよもう! 今チャンスじゃない!」
「…………」
不満があるようだが、指示に従ってくれるならそれでいい。大丈夫だ。自分を信じろ! どれだけあのゲームに時間をかけてきた!! 俺なら出来る。
魔王が次に炎魔法を使うはず。
「クルル!魔王目掛けて水魔法だ」
「……わかったっの……」
戸惑って貰って構わない。少しだけ、あと少しだけ俺を信じてくれ。
魔王の炎とクルルの水魔法がぶつかり、辺り一面が白い水蒸気に飲まれた。
「何やってるのよクルル! 早く風魔法で払いなさい!」
「ダメだ!!!! シャーリー、ルベルト! 二秒後高く飛んで魔王に突っ込め!」
落ち着け、落ち着くんだ! 正確に数えろ。死んでしまう? そんなのキャラクターデリートの世界と一緒じゃないか。あの緊張感でやったら大丈夫だ!
一……二……来た! 次だ!
「ルベルト、シャーリー! 下がれ!! クルル炎魔法だ!」
「なんなのよあんた! 倒す気あるの!?」
今、他の声に構ってる暇はない。
「悠都、一分でいい。防御結界無しで戦ってくれ……頼む」
ここで断られたら、どうしようもない。
「冴太、俺があの時から剣の稽古に明け暮れたのは、この日のためだったと、今なら思えるよ。この状況、あの時と一緒だと思わないか? 俺に任せてくれ」
悠都なら、そう言うと思っていた。思っていたからこそ、敢えて聞いたのだ。
わかっていたさ。涼花を守れず二人して逃げたあの日を。確かにあの時と状況は一緒だな。
いや、違うか。
今の俺達は『逃げ』など考えていない。必ず勝利して見せる。
この様子なら悠都一人に任せて大丈夫だろう。問題は…………
「谷本、物理と魔法の防御結界同時に行使出来るか?」
「えっ……そんなのやったことないからわからないよ……」
「大丈夫だ! 自分を信じろ! 失敗したらクルルが死ぬ」
死ぬっと言った直後に、谷本の肩が震えた様に見えたが大丈夫だろうか? ゲームでも同時行使は相当難しいが……
「うん……やってみるよ……どこにやったらいいの?」
「クルルの目の前だ」
クルルが自分の事を言われてる事を察したのか、俺の方を見てくる。
「クルル! お前の教え子だろ! 信用してやれ!!」
クルルには魔法に全力を注いで貰わなければいけない。
不安で魔法が疎かになってはダメだ。
直後、魔王が炎魔法と同時にクルルに突進してきた。
「クルル! 谷本今だ!! ルベルト、シャーリー! 後ろから防御を考えず斬りかかれ!」
魔王が防御結界に衝突して、轟音が鳴り響いた。
クルルの魔法と、魔王の魔法がぶつかり合い、前方周囲が高熱に包まれた。
谷本、結界をどうにか維持してくれ! あそこでは言わなかったが、ルベルト、シャーリー以外全員焼け死ぬことになる。
熱風が弱くなるのを感じて、最大声量で叫んだ!
「ルベルト、シャーリー!! 止めを刺せ――――!!」




