第十八話 自己紹介
場の沈黙を破ったのはクルルだった。
「別に雑学でも何でもいいの。クルル達に今必要なのは情報なの。情報を集めるには学校が一番なの」
本来の魔法が使えないクルルは、出来れば魔法学校が良かったが、魔法同様に、情報も同じぐらい大切に思っているのだ。
「よりによって雑学って……まぁー仕方ないわね! 私も情報集めるわ」
転移で元の世界に戻れないし、この世界に少し興味を持ち始めたシャーリーは今の時間を楽しむことにした。
「俺は反対だ。今すぐこっちの勇者を連れて魔王と再戦すべきだ」
ルベルトは流石にこっちの世界でのんびりしすぎたと思っているのだ。
今この瞬間にも魔王が何か仕掛けてくるかもしれない。呑気に雑学を学んでいる場合ではないのだ。
「あんた今さら何言ってるのよ! クルルが魔法を使えないから困ってるんでしょうが! 転移魔法が使えたらさっさと戻ってるに決まってるでしょうが!」
シャーリーがルベルトの発言に呆れ果てた。
「クルル。本当か? 何でそんな大事なこと早く言わないんだ」
ルベルトがクルルに詰め寄る。
「言ったの。ルベルトが聞いてなかっただけなの」
ルベルトに詰め寄られるが表情一つ変えないクルル。
「今、過去の事はいいか……それでクルル、魔法は使えそうか?」
ルベルトの発言に、クルルも呆れ果てた。
「原因を探るためにここに来たの。それすら分からないからバカルトなの。クルルは魔法の情報を集めるから、二人は他に仲間を集めるの」
ここでようやく冴太が担任を連れて戻ってきた。
「お前ら待たせたな。校長は……電話中か」
校長は冴太が戻ってきたのを確認し、電話を早々に切り上げた。
「冴太君、ありがとう。佐藤くん、今日からそこの三人を君のクラスに編入させるからよろしく頼むよ」
校長の無理なお願いに佐藤くんは三人を見つめ口を開いた。
「んだよ……また無茶苦茶な……それでなくても俺のクラスは可笑しいのに……まぁーなんだ、大人しくしてるんだぞ」
そう言い、佐藤こと担任は、校長室を後にした。
冴太もその後ろを着いていったので、三人もあとに続き、校長室を退出した。
担任が教室に入ると、今まで騒がしかった教室が一気に静まりかえった。
「え――今日からこのクラスに三人編入になった。入ってこい」
担任に促されるまま、ルベルト、クルル、シャーリーの順で教室に入った。ここで冴太は自分のミスに気付いた。
それは、完全に教室に入るタイミングを間違えた事だ。
この場で一緒に入っていくわけにはいかない。ましてや、この場に居ては冴太抜きで授業が始まってしまう。
そう考えた冴太は、こそこそ後ろから教室に入るのだった。
「それでは三人自己紹介を頼む」
担任に進められるがまま、ルベルトから自己紹介に入った。
「俺はルベルト、両手剣を主に使っている。剣の打ち合いは誰にも負けない自信がある」
ルベルトの自己紹介に辺りがざわついた。
「何々? 両手剣?」
「顔はイケてるのに残念な子?」
「中二病か?」
辺りのざわつきに戸惑うルベルトだったが、構わず担任が次を進める。
「クルルなの。よろしくなの」
クルルの自己紹介にルベルトとは違うざわつきが教室に起きた。
「何、お人形さんみたい」
「俺、この後クルルちゃんに想いを伝える」
「バカかお前、お前が釣り合うわけないだろ」
ルベルトとは別のざわつきだったが、ルベルトは何故かこんなものだと安心するのだった。
「次は私ね! 私はシャーリーよ! 仲良くしてね☆」
ルベルトとクルルのざわつきの違いを察したのか、シャーリーはクルル寄りの自己紹介に少し媚び諂い、自己紹介した。
「アイドルみたい」
「俺、この後シャーリーちゃんに想いを伝える」
「おい! お前さっき俺にクルルちゃんとは釣り合わないって言ったばかりじゃないか! お前こそシャーリーちゃんとは釣り合わないぜ」
心地よいざわつきを感じながらシャーリーはうんうんと、頷くのであった。
「お前らの席だが……ルベルトは厳島の隣、シャーリーは夏風の隣、クルルは谷本の隣に座ってくれ」
担任が三人に、座席を指示していた時、クルルは膨大な魔力を感じた。
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