第十六話 入学待機中
クルルは考えていた。クルルの前にいる組長と言う男、冴太の口振り、他の人への対応のやり方、ここのトップに間違いない。
クルルはどうしても学校に行きたい。ここに転移して二日が経ったが魔法に関する情報が一つも入ってこなかった。
このまま今の状況を続けても一向に本来の魔法が使えるようにならないだろう。
なら、この世界の教育を受けて魔法の性質を学ぶ方が効率的だと考えていたのだ。
冴太に言っても無理ならば、トップの人に直接交渉するしかないと考えたクルルは組長の目の前まで移動して口を開いた。
「クルルも学校に行きたいの。どうすればいいの?」
気分よく笑顔も見せていた組長だったが、クルルのこの言葉で今まで笑顔だった表情がス――ッっと引き、険しい表情が浮かんできた。
「なぜ俺が上納金も納めてないお前のために動かないといけないんだ。それか何か? おめぇは女だ。手っ取り早く上納金を稼げるところを教えてやろうか?」
組長の言葉にクルルは少し考えた。上納金、所謂お金さえ払えばどうにかしてもらえると言う事だろう。
魔法をいち早く使えるようになるためには手段を選んでいられない。
そう思いクルルは組長に同意の意思を伝えようと口を開きかけた時、冴太が割って入ってきた。
「組長! それは止めてくれ! 折角、折角……俺が初めて…………」
冴太は組長の前で深々と頭を下げた。組長はクルルを風俗で働かせる気だ。
今まで知らない女が落とされる所を見てきたが、あれを俺の"友達"にやらせるのは違う。絶対に駄目だ。
組長は冴太のこの行動に内心驚いた。今までこれ程きっちりした態度を見たことがない。
いつも俺は関係ないと、他人行儀に行動していた冴太が自分の意思で動いている原動力が分からない。
組長としては関係ないとはね除けるのが筋だが、父親として考えた時、悩むところがある。
そうこう悩んでいると、刀を直し終えた清香に声をかけられた。
「あんた、冴太がこんなに頼んでるんや。少しぐらい図ってやってもええんとちゃうか?」
清香の言葉に組長は考えた。しかし、ただでやっては他の組員に示しがつかない。
「わかった。ただし……、これからお前が銀座を管理しろ。それなら学校も範囲内だから他の組員からも文句はでねぇーだろ」
組長の提案に一同の目は冴太に集まった。冴太は少し考えた後に諦めも混じった表情で頷いた。
「わかった。それでいい。それで、どうやって入学させるんだ?」
冴太の疑問は最もだった。
こんなよく分からない時期に国外の奴らを向こうの学校に連絡もしないで入学させる事など出きるのだろうか?
そんな心配をしていた冴太だったが、組長の言葉で何となく察することが出来た。
「なに、あの校長には今まで甘い汁を吸わせてやったんだ。校長に会ったら"花をやる"と、伝えろ。直ぐに対応してくれるだろう」
組長の言葉に冴太は深く詮索せず、一言 「わかった」 と言い、三人を連れて部屋を出た。
自室に戻った冴太は床に突っ伏し、ルベルトとシャーリーは疑問に思っていたことを口にした。
「なぁ―冴太。学校って俺も行くのか? 俺は……何て言うか……その……勉強って奴は好きじゃないんだが……」
ルベルトの言い分にシャーリーもコクコクと頷いた。
「そんなのお前らも一緒に行くに決まってるだろ? 俺がいない間ずっとここに居るのもあれだし、なんせクルル一人だと可哀想だろ?」
冴太がクルルの方を見るとクルルはえっ? 二人も来るの? っとでも思っていそうな表情でキョトンとしていた。
慌てて冴太は言葉を付け足した。
「と……取り敢えず三人一緒だ」
こうして異世界勇者達は別世界で学校に通うことになったのだった
まだ投稿してないですが、二十話のモブキャラに感情移入してしまいました。
二十三話にこのモブキャラを救済にかかります。
応援よろしくお願いします。




