第十四話 報告会①
その頃冴太邸にて、若頭補佐が組長に説明を行っていた。
「組長。先程若頭に仕事内容の説明を終えました。若頭は舎弟に仕事を振り、遅れてご自身も現場に向かったと思われます」
若頭補佐の報告に組長は返事も相槌も打たず、ただただ話を聞いていた。
「新しい情報によると、東陽会の奴らは金の回収のためドスを携帯している様です。流石に若頭に戻るよう伝えましょうか?」
自分の息子の危機にも関わらず、組長の答えは簡単な物だった。
「構わねぇ、あいつにやらせろ。これで殺られたらあいつはそれまでだったってことだ」
組長は冴太の事を心配していない訳ではない。
ただ、あいつが自分から俺はトップに立てる器だ。何だのほざいていたから、この経験で自分の愚かさを経験させてやろうと考えているのだ。
少し教育が過激かと思うが、これが裏社会ならではの教育法なのかも知れない。
「それと、てめぇー今、若頭が舎弟に仕事を振ったって言ったよな? てめぇー何俺に隠し事してんだ」
組長は若頭補佐を睨んだ。
「す……すみません。昨夜ふ……不審者に、し……し侵入され……その不審者を若頭自ら舎弟にすると……」
若頭補佐は組長の顔を見ながら恐る恐る昨夜の出来事を報告した。
「ほぉー、取り敢えずてめぇー歯ぁー食いしばれ」
そう言い組長は若頭補佐の顔面に拳を叩きこんだ。
「てめぇー次はもっと早く報告しろや」
殴り終えた組長は、再び畳に腰掛けた。
「すみません……」
口から流れた血を拭い、再び片膝をついた。
「引き続き情報を探してきます……」
そう言い若頭補佐は部屋を後にした。
「あらあらまあまあ、あんた冴太は大丈夫なんやろか? 相手はドス、持っとるんやろ? 今から冴太にドス、届けた方がええやろか?」
外で二人の話を聞いていた女、もとい冴太の母は冴太を心配するあまり、物騒な事を言い出した。
「あいつにドス持たしても使えねぇーよ」
「そうやろか? ほな、冴太を刺した相手にはこの刀を血で染めてもろおか」
そう言い冴太の母は部屋に立て掛けていた刀を手に取り、感触を確かめた。
「好きにしろ」
冴太の父は冴太の母、もとい清香には目もくれず、ただただその場で座っているのであった。
その頃冴太一向はご飯を食べ終え、店を出ていた。
「ふ――美味しかった。冴太ご馳走さま」
涼花が右手を上げフランクに敬礼を決めた。
「まぁー今日は色々手伝って貰ったしな。でも、今日だけだぞ」
今日だけでかなりの金額を飛ばした冴太だったが、幼い頃から身に付いた金銭感覚だったからなのか、冴太はなんとも思わなかった。
「本当に美味しかったな……次は俺にも料理を選ばしてくれよな」
ルベルトはメニューを見れなかった事を少し残念に思いながらも次に来たときのことを考え、胸を膨らます。
「で、これからどうするのよ」
時刻は十六時を少し回っていたが、辺りは未だ賑わいを見せていた。
「そうだな、明日は学校だし今日はこの辺で解散するか」
冴太のこの言葉に日頃大人しいクルルが飛び付いた。
「ここ学校あるの? クルルも行きたいの。今すぐ行くの」
転移慣れしているクルルは知っていた。学校はここの文化を知る絶好の場所だと。
今まで何度か別の星に転移し、学校に通った事もある。
勿論、転移先の星に学校、学ぶ文化がそもそも存在しない星も沢山存在した。
ここの学校も数多く通った内の一つになるに過ぎない。今までと違う点は、転移で通う事が出来ないだけだ。
「おいおい! ちょっとまて、今日はそもそも学校は休みだし、まずお前達ここの生徒じゃ無いだろ? 学校には行けないぞ」
冴太のこの言葉にクルルは絶望したが、そんなことでは諦めない。
「クルルそこの生徒になるの。どうやったらなれるの」
クルルは冴太に真剣な表情で詰め寄った。
途中、涼花の方に目を向けると、クルルの真剣な表情に驚嘆させられたのか、半歩後ろに身を引いた。
「流石にどうしようも出来ないぞ。こればっかりは諦めてくれ」
クルルは地面を見つめ寂しい表情を見せた。
「私も学校ってとこはあんまり好きじゃないし」
「俺も学校は性に合わないし諦めようぜ、クルル」
シャーリーとルベルトの言葉にクルルは 「わかったの……」 っと弱い声で呟いた。
「それじゃ帰りましょうか」
涼花の掛け声で帰宅路につくのであった。




