第十一話 お仕事時々お買い物④
ルベルトが男達を地面に沈めた頃、シャーリー、クルル、涼花は買い物をしていた。
「ちょっと、ルベルト君一人にして本当に大丈夫だったの? もう知ってる人が傷つくのはいやだょ……」
シャーリーとクルルと違い、涼花は買い物どころではなかった。
「ルベルトは大丈夫よ! あの男達大したこと無さそうだったし」
カジュアルで軽そうな、見たことのない種類の服に興味を引かれながらも涼花を宥めようとしたシャーリーだったが、涼花の心は全く晴れなかった。
「だって……あの男達刃物もってたよ……やっぱり警察に連絡しようかな……でも、家の揉め事を見ても警察を呼ぶなって冴太のお父さんに言われてるし……あ――もう! こんな時に冴太は何をしてるのよ! 呼び出してやるわ!」
涼花が携帯を取り出し、冴太に電話をしようとした時、張の本人から電話がかかってきた。その電話を一瞬で出て冴太に怒鳴り付けた。
「ちょっとあんた! 今、すっごくヤバいんだから早くこっちに来て!………………銀座seven………………いいから早く!!」
一通り怒鳴り付けた後、涼花は一年分の溜め息をつくかのように深く息を吐いた。
「涼花、急に何大声出してるの。皆こっち見てるの。変じゃないの?」
涼花の異質な行動に対して注意したクルルであったが、周りの人の目はすでに涼花に集まっていた。
「今のは不可抗……」
我に返り、辺りを見回した涼花は、耳まで赤く染まり、辺りに頭を下げだした。
その甲斐あってか辺りには、また日常が戻った。
今日で何回溜め息をついたんだろうと思いながら、再び溜め息をついた。
「冴太すぐ来るって……」
すでに疲れ果てた涼花は二人に冴太が来る旨を伝え、買い物に集中しようと努力するのであった。
「あれ? 勇者くるんだ! だったらもう大丈夫ね。買い物楽しみましょ! ねぇねぇ、どんなのがいいか教えて頂戴」
普段見せないような表情で服を取っ替え引っ替えし、涼花に意見を求めるシャーリーだったが、クルルは涼花の手に持っている携帯をずっと直視するのであった。
「勇者? あ――冴太ね……」
そうそうと、適当に頷きながら二人の服選びに戻る涼花であった。
その頃冴太は専属爺が辞めてしまった事を後悔しながら家の前でタクシーを待っていた。
走って行っても良かったが、碌に運動などしてこなかった冴太はこの二択でタクシーを選んだのだ。
あの涼花の口振り、普段から喜怒楽が激しいが、今回の怒は本当の怒だと直感した。
因みに涼花の哀は見たことがない。ただ単にないだけなのか、見せないだけなのかは冴太にはわからなかった。
そうこうしている内にタクシーが到着し、急いで乗り込んだ。
ワンメーターだけの距離に嫌な顔をした運転手だったが、車を走らせた。
目的地付近に近付き、窓から外を眺めると丁度脇道にルベルトが見えた。
「止まってくれ! ここでいい!」
お金を払い、お釣りを受け取らないまま車から飛び出し、ルベルトの元へ駆けつけた。
ルベルトは辺りをキョロキョロして何かを探している様だった。そんなルベルトと目が合い、手招きで冴太の事を呼んでいる。
「冴太、来てくれたんだ。これからどうするか迷っていた所だったんだ」
冴太は訳が分からなかった。一緒に行ってなぜ一人待機させられていたのか。
「なぜ一人で居るんだ?」
冴太が疑問を口にすると、ルベルトは路地裏の方を指差した。
そこには三人の男達が地面で伸びていた。
恐らく朝までお酒を飲みまくって倒れているのだろう。こんな奴らを助けるためにルベルトはここで待っていたのかと思った冴太だった。
「こいつらは放って置いていいだろう。それより三人の元へ向かうぞ」
踵を返し歩きだした冴太の後ろを着いていくルベルトだった。
読んでくださった方、読んで頂きありがとうございます。
今回読みにくかったと思います。すみません
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