第十話 お仕事時々お買い物③
一人で女を助けるために乗り込んだルベルトが男に声をかけた。
「女一人にそのやり方は良くないぞ」
男の睨みにも臆することなく、堂々と男の前に立ったルベルト。
「あぁ~? お前には関係ぇねぇ―だろ。それか何か、この女の代わりにてめぇーが金だすんか!あぁ~ん?」
女の髪から手を離し、ルベルトに近付いてくる男達。
「ちょちょちょっっっと!! あんたバカなの!? すみません内の者が……さっ、こっちに来て!」
涼花が男達に頭を下げ、ルベルトを引っ張るが、ルベルトはその場から全く動かなかった。
「おいおい、今さらごめんなさいで済むと思ってんのか? 見られたからにはただで帰す訳にはいかねぇーんだよ!」
男達がポケットから刃物をちらつかせながら威圧していたが、涼花がついつい思ったことを口にしてしまった。
「見える所でやってるから悪いのよ……」
慌てて口を押さえたが、言ってしまったら後の祭り。
男達はより一層睨みを利かせ涼花の方に近付こうとしたが、ルベルトが右腕を広げ涼花を守るように男達の進路を妨害した。
「んだぁてぇめ~ガキがあんま調子こくなよ!」
男達の声を無視して、ルベルトは涼花を安心させるようにただただ笑顔で頷いた。
「シャーリー、クルル。早く買い物してきたらどうだ? 終わったらここまで迎えに来てくれ」
いつの間にか近くに来ていたシャーリーとクルルに合図を出し、涼花をこの場から連れ出そうとした。
男達は見向きもされないルベルトに嫌気が差したのか、背後からルベルトを殴り付けようとした。
「あぶない!!」
涼花の警告とは関係なく、殴り付けてきた手を左手で捌き、右手で手加減しながら男の腹を殴り付けた。
男は一瞬息が出来なくなり、土を探す芋虫のように地面で蠢いた。
「てか、何で私達が迎えに来なきゃ行けないのよ! あんたがこっちに来なさいよ! さっ、行きましょ」
この状況でそんなことが言えるシャーリーに涼花は驚きながらも、なされるがままに二人に連れ出された。
「てぇめ~ヒーロー気取りか? ガキだからって甘く見てたがもう許さねぇ! 覚悟しろや!」
そう言い、男達は隠し持っていた刃物を取り出しルベルトを威嚇した。
「おぃおぃ、こんなもんで日和っちまったのか? でも謝ってもおせぇーんだよ!」
男達は手加減する訳でもなく、ルベルトを殺る勢いで襲いかかってきた。
しかし、そんな男達の斬撃も虚しく、ルベルトは一瞬にして男達を地面に沈めてしまった。
そんな様子を地面に座り込みながら見ていた女だったが、急に我に返ったのか、地面を這いつくばりながら男に近付き、ポケットから白い粉のような物を奪い取って一目散に走り去っていった。
地面で沈んでいる三人の内、一番実力がありそうな奴に近付き叩き起こした。
「お前ら、女にあれはやりすぎだ」
声を低くし、今まで見せたことがない程の殺気を放った。
殺し合い素人の男はその殺気には気付けなかった。
「てめぇ―東陽会に手ぇ―出してただで済むと思うなよ!」
ルベルトを見上げる形で脅してくるが、その程度では動じないルベルトは更に男と会話を続けた。
「東陽会か何かは知らないが、お前らは無抵抗な女に手を出した。それは罪だ。それと、俺が一人だと思うなよ。俺にも最近ゆうsy……冴太と仲間になった」
ルベルトの言葉に男は黙って思考を巡らせた。
「冴太……冴太……おめぇー厳島組の人間か! 嵌めやがったな」
再び怒りを露にして暴れだそうとした男を関節技で大人しくさせた。
「俺一人締めた所で、他の連中がやるから一緒なんだよ」
こんな状況でも減らず口を叩く男だったが、他でやっていると言う言葉にルベルトは人が変わったかのように冷酷に怒り出した。
「お前今、他でもやっていると言ったな? 今すぐ止めさせろ」
関節に力を込めたことにより、骨が軋む音が辺りに鳴り響いた。
男が再びルベルトの顔を見上げた時、今までに味わったことのない恐怖が襲った。
「返事はどうした。あと少し動かすと腕が使い物にならなくなるぞ」
刻々と腕のタイムリミットが近付いていくが、男は一向に返事をしなかった。
遂に腕のタイムリミットが迎え、男が悲鳴を上げようとした。
「ああぁ……………………」
悲鳴を上げさせる前に男の喉を掴み、悲鳴を切らさせた。
「お前が発するのは悲鳴じゃない。まだ分からないのか? 次は死ぬぞ」
普通の人が見たら目を背けたくなるような光景だが、ルベルトは構わず喉を締め上げたが、数秒もしない内に男は痛みで意識を失い、失禁した。
「お前にはまだ効きたいことがあるから殺さない」
そう言いルベルトは男を地面に放り投げた。
一人裏路地に取り残されたルベルトはようやく冷静さを取り戻し、先の戦闘を思い出し、独りでに呟いた。
「ゴブリンより弱かったな……」
ルベルトは皆を急いで追いかけるか、この場で待機しておくか迷うのであった。




