色とりどりの毒-5
「警察の真似事なんて――ああ、キコのお家はそんな稼業だったっけー。」
箕輪先輩はボンヤリと呟いた。
「でも僕は別にもう……」どうやら何もかもに対するヤル気を全身から放棄した、とでも言いたげに話半ばでコテン。と横に倒れてしまった。
ブラックフォード先輩がいつの間にか消していたテレビの画面を、曇った目で見やった後に再び付けようと寝ころんだまま手でリモコンを探す姿は廃人も同然だった。
「…………どうなっちゃうんでしょう。」
私は心底不安になって、隣で正座のまま微動だにしないブラックフォード先輩を見つめる。
このままだと単純に痩せすぎて死んでしまってもおかしくないし、というか、今既に精神面でおかしくなっている雰囲気がプンプンする。
「まあ、この人はこのまま死んでも構わないと思っているのでしょう。」
「え?」私は驚き尋ねた。
「決定的行動を起こさない、自殺中です。」
「じさ、って、え……?」
「この姿を見て確信が持てました。“あの人”は、私一人で探します。」
ブラックフォード先輩は一瞬で立ち上がると、ビニール袋を履いたままだというのに優雅な立ち居振る舞いで部屋を出るドアへ進んでいく。
「あ、あの!」
私は心臓が早鐘を打つのを無視して、つっかえながらその背中に声をかけた。
今、最後の助け船になりそうな存在を取り逃せば、間違いなく目の前に横たわる人間は死んでしまうだろう。
リモコンはまだ掴めないようで、手を適当にバタつかせ続けている様に恐怖を覚える。
「その、私もお手伝いしますから!」
静かに振り返ってくれたブラックフォード先輩にそう申し出る。
「その、人を探す?の、私も手伝います!!」
私の言葉が予想外だったのか、二人の先輩が驚いた顔で動きを止めて、私の顔を見つめているのが分かった。
「その…そこまでお役に立てるか、わかんないですけど。」急に照れてきて、ほっぺたが熱くなる。
頭に血が登っていくのがまざまざと実感できた。
「だから、だからそのひと見つけて、箕輪先輩を元気にしたいです!」
一息で言い切った。
…ちょっと、良い子ぶりすぎたかな?という不安が浮かんだ。
さっきまでの会話を鑑みるに、ブラックフォード先輩はこういう私のこと、嫌いそうだなー…とも。
でもそれは杞憂だったらしく、目の前の美人な金髪美少女は唇を微笑みの形に曲げて、悲しそうに呟いた。
「お言葉、嬉しいです。けど、大丈夫ですよ。私ひとりで」
「でもそんな」
「まだ中学生でしょう?」
諭すよう優しく紡がれる言葉に、焦りが生まれる。
「何でもしますから!!」




