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夜の終わり。-1
うちは先祖代々女が育ちにくい血筋で、鬼や悪霊に連れ去られるのを避ける為に
敢えて暗印象だったり、不吉めいた字を娘の名前に入れるという習わしがある。
お蔭で、そこをネタにしてクラスメイト達の陰口は余計に盛り上がるし
(暗い私にピッタリだって)
事情を知らない人たちからは"親は何考えてるんだ"みたいな顔を初見でされることもあるしで、
良い事なんて一つもなかった。
陰気な性格はそのせいなのかも。
「それに、子がつく名前なんて、古いんですって……。」
そんな話を出会って二回目で真昼さんにした。
"夜子、って素敵ね"
なんて褒められたのは初めてで、私はそんなのお世辞だと思って否定したのだ。
コンプレックスと謙遜が爆発して自分を貶める癖もそのころから治らない。
真昼さんは首を傾げて困ったように笑って、
「古風なのは悪くないのに。」と言った。
「それにわたし、お揃いみたいで嬉しい。」
「なにがですか?」
と意図が呑み込めず尋ねると、彼女は静かに言った。
「夜子ちゃんには、許してあげる。」
――――わたしのこと、名前で呼んで。
「真昼。」




