決意と協力
特に何も大きな出来事が無い平凡な人生である。
両親と妹の四人家族に生まれて幼稚園、小学校、中学校、高校と進学して大学を卒業し新卒で入った会社で社会の波に揉まれながら毎日毎日平凡に生きている。
一人暮らしも慣れたもので自分が選んだ物ばかりが並ぶ部屋も勿論好きだが社会人になり定期的にある贅沢をしている。
ホテルステイだ。
某動画サイトの素敵なホテルステイの動画を見てまずは手頃な値段のビジネスホテルから自分自身を癒すために始めてみたがなかなか良い。なかなかと言うよりすごく良い。
綺麗に掃除された部屋。休むのに適した優しい灯り、あなたのために用意したんですと言わんばかりのアメニティ。
ホテルによっては高くて縁が無いシャンプーやコンディショナーにドライヤー。温泉付きのビジネスホテルもあるのだ。至れり尽くせりだ。
ふかふかのベッドで休んで朝はシェフが作ってくれた最高のビュッフェを食べて元気を貰う。
それが些細な楽しみだ。
そんな最中その些細な楽しみ中に見つけたのがとあるスマホゲームだ。
何でもそれは異世界を舞台に主人公の女の子がぼろぼろの屋敷をホテルにし、経営を成功させようと言うゲームだった。
評価はついていない。ダウンロード数も殆ど無い。私のホテル調査で引っ掛かったのだろうか。
普段はやらないスマホゲームに何か惹かれるものがありダウンロードしてみるとグラフィックは綺麗で主人公の女の子はまさに女の子が想像するような可愛らしいドレスを着たお姫様と言う感じである。
「お、なるほどなるほど」
どうやってホテル経営が始まるのかと思いきや、このゲームの世界は男尊女卑なのだろうか。嫡男である主人公の兄は両親に最高の教育を受けさせてもらい自身も諸外国から王族貴族が利用する高級ホテルの御曹司として高いプライドを持っている。
そんなかわいい息子の右腕となるようにまた男の子を望んでいたが生まれたのはとても可愛らしい女の子。
両親は肩を落としたがすぐに淑女として教育させて良い家柄に嫁げるように指導していた。
「窮屈な人生…。逃げ出せないのかな?」
しかし逃げ出すのは難しいらしい。
この世界の女性は男性と結婚して一人前となる。教育を受けても仕事が無い。女は結婚して家庭に入り跡継ぎを産み育ててこそ。
僅かにでも仕事は無いのかとその世界を探るとどうも店を経営している女性もいるが、その店を建てるためには保証人として夫が必要らしい。
身内では駄目なのかと思っていたが、先述のように結婚して一人前のため結婚していない未熟な女性にはお店など与えられないらしい。
それ以外にも店に雇われて働いている女性もいるがどうも稼ぎは雀の涙程らしい。そのため生活を男に縋るしかないらしい。
女性を家庭に閉じ込めたり収入を低くしている辺りなんと言うか歪みを感じる。
「何とかしてあげたいわね」
私がここまでこの世界に詳しいのは夢を見るからだ。
このスマホゲームを始めた頃辺りだろうか。主人公な幼い頃の話などが序章として流れてどんな世界なのかをおおまかに知った夜に私はそのスマホゲームの世界の夢を見たのだ。
漫画やアニメで見るようなドレスに女性は身を包み市場に買い物をしに来たり子どもの手を引いているお母さんもいた。
可愛い。
ヒラヒラしたドレスは可愛い。私もこんなドレスを着たら背筋が伸びて裾を翻しながら歩くだろう。
市場で売られているのは新鮮な果物や野菜。これは現代と変わりが無さそうだ。ポコポコと穴が空いたチーズも並べられている。
中には首から商品を下げてコーヒーだろうか?飲み物を販売している姿もあった。
鮮やかな市場を抜けるとドレスが売っている。どうやらミシンやら便利な道具は無いらしく、手縫いで全て作っている服は新品はかなり高いらしい。そのためか、あちらこちらで古着を売る店があった。
夢の中だし私もこっそり着る事は出来ないだろうかと手を伸ばすと、その後ろを重い何かが通る音がして振り返ると…馬車だ。
何て立派な。まさに中世ヨーロッパの世界!走り行く馬車を見ているとその馬車に乗る少女が見えた。
私がよく飲むフラペチーノみたいな髪を長く伸ばして毛先はカールされている。リボンやキラキラした宝石の髪飾りを着けた深い森のような緑色の目をしたお人形さんのような女の子だ。
そこで目が覚める。
ゲームは自動でセーブしており不思議な感覚のまま身支度を始める。
(リアルな夢だったな)
あのスマホゲームの世界がそのまま夢に出てきたようだった。まあ夢中になってるものがそのまま夢に出てくるなんて事はよくあるだろうと思いながら変わらない日常を過ごしていたが、変化は少しずつ現れた。
同じ夢を見続けたのだ。
まったく同じ内容を繰り返しているわけではない。ただ以前何となくで続けているスマホゲームの夢が定期的に見続けるようになったのだ。
スマホゲームは続けたり続けなかったりしているのにおかしな話だ。序章を少し見ただけで終わったスマホゲームはその後、両親の言うことを聞いて所謂花嫁修業のようなものに勤しんだり、婚約者である男の子に手紙を書いたりと主人公の女の子の正直窮屈な人生をはい、いいえで進めているのを見るだけだった。
たまに違う選択肢が来ることもある。主人公の兄が実家の高級ホテルの経営を任されて、他国の貴族がそのホテルを利用する際にその国の宗教上の理由で食べられない物があり、それが伝わっていないと知った主人公が奔走して危機を脱出すると言う場面があった。
兄が責任者としてお客様を迎えに行っている間に本で読んだその国の宗教の事を知っていた主人公がたまたまホテルの調理場でその使ってはいけない食材が使われているのを知り、シェフにその事を伝えて他国の貴族の逆鱗に触れること無く終えられた。
後から責任者である兄もそれを知り、妹によくやった。褒美を与えてやろうと言って主人公は“私にも経営を手伝わせて下さいな”と“いいえ褒美なんて必要ありません。当然の事ですもの”と二つ出たが何故か選択肢する前に勝手に決められた。
“いいえ褒美なんて必要ありません。当然の事ですもの”
主人公は淑女の笑みでそう言った。
「あれ?何でよ」
私、こんな選択肢選ばないよ。
バグかと思いながらもストーリーの進行には問題無さそうで主人公は大きくなると自分もいつか自分が経営するようなホテルや店を構えたいと願っていたがそれは叶わない願いだと分かるようになってしまった。
平民ならば先述のように働く事もあるが、貴族の女性が働くなど考えられない世界だった。ボランティアや夫を支える役割などは出来ても表に出て働くなど考えられない。男性からしても、妻が働くなど自分の稼ぎや地位が弱いと思われるようで反対するのが当たり前だ。
それが当たり前。
まだまだ社会的地位が弱いのだから今はただただ耐えるばかりなのだと、主人公の女の子は夢の中では逃避するように自分の夢を書いていた。
女性でも一人でも、妻になっても母になっても選択肢が多い世界にしたい。
私にも誰かに素敵な時間を提供出来るようなホテルを作ってみたい。
あら素敵な夢。実現させてやらないと。
このスマホゲームはそう言うゲームのはずだ。この夢がスマホゲームと同じなら彼女にはこれから厳しい現実が待ち構えているがそれが彼女の夢の第一歩になる。
この世界にも私の世界と同じ様にホテルと言うか宿泊場はある。
ただシングルルームなどは無い。三人、四人の部屋が当たり前で家族での宿泊が基本だ。
旅行で訪れた家族が使う、一般的なホテルはベッドのみの簡素なお部屋。ランプは蝋燭の火をつけている。なかなかムーディーだ。
お風呂やトイレはどうなのかと見てみるとトイレはまあ、ある。
お風呂は無い。希望すると追加料金で手洗に入ったお湯が与えられるのでそれを洗い場で使って体を綺麗にする。
料理はどうか。これもまた追加料金で食事を提供してくれるがとてもシンプル。
パンとバター。スープに果物が少々。これが夕飯で朝にはパン、果物。以上。
シンプル過ぎる。楽しみがない。
しかも家族で一室使うならいいものの例えば四人部屋があってそこに家族三人が利用する。一つベッドが余るからとそこに一人宿泊する。
家族団欒に他人がお邪魔するような事があるため気まずい事この上ない。
一人部屋をよこせ。
お風呂を作れ、お湯だけ渡すな。
トイレも作れ、いちいち外にある公衆トイレに案内するな。
朝ごはんはビュッフェだろう?出来ないのか?あれだけ市場にあったのに。
今私が泊まっているこのホテルのようにこのホテルのように。
このホテルは全国展開している有名ホテルで大浴場が付いている。朝ごはんは無料でビュッフェが食べられて必要な分だけお取りくださいのアメニティバーもあるぞ。
スマホゲームの主人公に教えてあげたい。ゲームの世界でどこまで生産できてどこまで建築可能なのか分からないが平民が利用する宿泊場を、ホテルをこんな風におもてなしの精神で作り上げればただ泊まって寝る場所と言ったその世界のホテルよりも泊まる場所がこんな素敵な時間を過ごさせてくれたと思い出の数を増やすようなそんなホテルを作り上げる事が出来ればいいのに。
「うわぁぁ婚約破棄だ!」
出た。婚約破棄の展開が。
ストーリーで見ていたがこの世界の男女は性別で通う学校も違う。主人公の通う学校は貴族の女の子が女としての知性と教養を身に付けるための学校である。家裁や礼儀作法、言葉遣いに歩き方。華やかなパーティーでの時の振る舞いやシーンに合わせたドレスの選び方など学んでいた。
男の子も貴族としての知性と教養を学んでいるが、政治に関する事や他国との関係性を学んだり万が一戦うような事があった時のための実践的な事も学んでいた。
その最中に息抜きに行った町で出会った酒場の女の子。彼は自分の知らない世界を知るその女の子に夢中になり貴族であるにも関わらず対等に接して来る彼女にいつしか彼は主人公よりもその子と一緒になりたいと願う。
その選択が主人公や自分の家族をめちゃくちゃにするものだとしても若い二人はそれすら自分達に課せられた試練だと燃え上がり、主人公が十六歳の誕生日を迎える前日に駆け落ちした。
ここで何故、主人公が気付かなかったのか。
夫に必要以上に事を尋ねるのはよろしくない。あなたは未来の夫が信用出来ないのかと実の家族に言われた事、そのくせ婚約破棄になったらお前がきちんとしていないから悪いとめちゃくちゃだ。
手紙が返ってこない。義母から待つように告げられたのは、婚約者の彼が主人公から手紙が来ていたのは知っていたが、お互い成人迎える大事な時だからきちんと彼女を迎え入れるように精進したい。それ故学業に集中したいから手紙の返事は待つように伝えてくれと根回ししていたのだ。
こいつ、こんな事言いながら浮気してますよ。主人公。
そのため婚約者は行方不明、婚約破棄。
更に主人公は婚約者を繋ぎ止められなかったなどと責め立てられて今から新たな相手を見つけるのは無理だと言われる。そんな事無い、まだ十六歳ですよ。
しかしこの現代の訴えはスマホゲームに届くこと無く彼女は幼い頃から一緒にいてくれるメイドのミアと婚約破棄の慰謝料をほんの少し、そして国の首都から祖父母が終の棲家として住んでいた地方の屋敷に厄介払いされる。
ここからが彼女の物語が始まる。
ようやくホテルの経営に進めるなと長いストーリーを読んでさてどんな風にホテルを作るのかと思うと、フラペチーノ色の長い髪を主人公はメイドに頼んで切るように伝えた。
メイドの彼女は青ざめて首を振ったが主人公はこれから私は生まれ変わるのと言って止まらない。
そしてメイドの彼女は覚悟を決めてフラペチーノ色の長い綺麗な髪を切り落としてさっぱりとしたショートヘアーになる。
切った髪を名残惜しそうに見つめるメイドの彼女に今日はもう遅いから休むようにと伝えて一人になった主人公は古い祖父母の屋敷の一室。
舞台となる屋敷は本当に古くて部屋数だけはあるらしい。屋敷の主が十年前に亡くなってから放置されており、家具もそのまま。
大量の埃をメイドと二人で掃除するゲームが始まり何とか終えたらあの散髪イベントだ。
メイドの彼女は本当に長い髪を名残惜しそうにしていたが、私はショートヘアーになった主人公の方がなかなか良いのではと思う。
「似合ってるよ。格好良い」
そう素直に口に出す。
“ありがとう。嬉しいわ”
スマホの向こうで彼女がそう言った。
「……すごいな最近のゲームは」
こっちの言葉に反応するのか。
“ふふ。ねえこっち見て”
「…本当にすごい」
“あなたの名前を教え”
「私?私は凛々菜だよ」
“リリナ。素敵な名前ね”
「いやいやアリヤだって」
“そう?名前を褒められたの初めてだわ”
「……」
“どうしたの?”
「…これは夢ですか?」
“現実ね”
「どう言うことだってばよ」
“不思議な喋り方をするのね”
いやだって。
スマホゲームの向こうにいる主人公、アリヤちゃんがあたかも私を認識して普通に喋りかけてきたら夢か現実か疑うでしょう?
私は二十代前半のオフィスレディで趣味はホテルステイ。普通の家庭に育った平凡な女だ。
それが何故かスマホゲームのキャラクターに認識されて話しかけられるというファンタジーな展開に頭がついていかないのだ。
「最近のゲームは…」
いやあ本当にすごいなと感心して気持ちをどこかに逸らそうとしたが、そうはさせてくれない。
“あなたから見た私の世界はゲームなの?”
「……」
“不思議なものね。私、あなたの事を知ってるのよ。あなたも私を知ってるでしょう?”
「…まあ、うん」
“夢だと思ってくれて構わないから私の話を聞いてもらってもいい?”
スマホゲームではなく本当に目の前に彼女がいるかのような感覚で彼女は話し始める。
まず彼女の名前はアリヤ・アーバン。私が既に知っているように彼女はこのスマホゲームの主人公だ。
そして彼女は幼い頃から同じ世界の夢を見ると言う。その夢の世界は私が暮らす現代社会のようで自分が住んでる世界と違い、女の子が思い思いに行動して好きな服を着て仕事をして、何より一人で行動する事を何ら不自然に思われない。
それがとても魅力的だと言う。
「全員が全員そうでもないけどね。中には女一人で出掛けるのを寂しい嫌だと感じる人もいるし」
“けど指を差されたりしないでしょう?”
「指を差されるの?」
“女性が一人でいる事は殆ど無いのよ。仕事のお使いや例えばご飯を作るための買い物なんかは平気だけど…楽しむために一人で外出は無いのよ”
「え?こっちはお一人様向けの旅行や楽しみ方があるのに?」
彼女の世界だと素敵なカフェやアクセサリー店などあるのを夢の中で見ていたため楽しめそうなところはいくつもあったが。
“平民も貴族も成人する前に縁談をまとめてお互いを知るために殿方と外出するのが当たり前で…それか家族と一緒ね”
「お友達と出掛けたりは?」
“それはまあ平気。ただあまりに多いと夫や婚約者を放って置いてると噂が立つからほどほどになの”
外には出ずにお家に招いたりとかね。
「えー?面倒くさ」
“一人で出掛けると夫や婚約者、子どもを放って遊んでるのか?仕事も出来ないのに誰の稼ぎで遊ぶのか?とか言われるのよ”
「誰に?」
“お店の人や家族、知らない殿方ね”
「余計なお世話だって睨んでやりなよ」
“そしたらどこどこの家の女は失礼極まりないって噂が流れるのよ…”
「おぅ…」
華やかなドレスに素敵なお店、市場に並ぶ瑞々しい果物。中世ヨーロッパを思わせる町の作りを夢の中で観光気分に見ていたが、その中で生活をしている彼女達は不自由な問題がいくつもあるらしい。
“だから、憧れたの。素敵な世界に住んでる。知らない者がたくさんあったわ?乗るだけで上階に運んでくれる不思議な機械。動く階段。驚いたのがカップよ?陶器や木で出来たのじゃなくて紙で作ったカップにコーヒーやカフェオレを注いで飲むの。しかも歩きながら”
「上に運んでくれる機械…エレベーターの事?紙コップにコーヒーだのカフェオレ歩きながら飲むのは…確かにそっちの世界で見たこと無いか」
“お食事はきちんと座ってが当たり前だからね”
「おっしゃる通りだけど…」
“それでね?一番驚いたのがホテル”
「ホテル?」
“リリナ。あなたが泊まった場所が私には衝撃だったわ”
「あのビジホ?」
“びじほ?”
「ビジネスホテル。仕事のために遠方に訪れた人が利用したり値段が手頃だから普通に旅行に来た人も当たり前に利用するけど」
“それ!それが私には衝撃なの!一人用のお部屋が用意されたホテルなんて…貴族や地位がある人が利用するホテルにしか用意が無いの!平民が利用する宿泊先は相部屋が当たり前!”
「確かに!夢で見たのはそうだった!」
アリヤと声を上げて話す。
少しでも儲けを出すために平民が経営する宿泊施設は相部屋が当たり前だ。貴族や地位が高い人間が利用するホテルは豪華な一人部屋が用意されているが…そのお高いホテルを平民が利用する事は出来ないらしい。
きちんと泊まれるだけのお金を用意したとしても平民が利用したとなると、そこでもうそのホテルの地位は下がるらしい。
「帝国ホテルだってきちんと料金を払えば誰でも利用できるのに…」
“だからよ”
「だから?」
“あなたに教えてもらいたいの…あなたの利用するホテルのサービスや仕組みを私に教えて欲しい。私はもう、何も残っていないからここから這い上がるために…自分の夢のためにあなたに教えてもらいたい”
「こっちのホテルのあれこれを?」
“ええ”
「ど…どこまでそっちの世界で実現出来るか分からないよ?私の世界の技術とあなたの世界の技術は違うからもの」
“それでも構わないの。私…”
女としての生まれた事に後悔は無い。それでも不自由に感じたり社会的地位が低いと感じる事もある。不満を思い続けても性別は変わることが無い。無いならこの女として生まれたことを謳歌出来るように、楽しみを増やすように、堂々と生きれるようにしたい。
アリヤは真っ直ぐ私にそう伝える。
“ホテルの経営をして誰かがいないと出来ない状態から一人でも楽しめるようにしたいの。後々はホテルの従業員として女性を積極的に雇いたい”
「女性を」
“正確には…離縁された女性や夫と死別した女性。再婚が叶わないと十分な稼ぎを得られないから困窮する人が多いのよ。それに縁談がまとまらずにいると…家から追い出されて修道女になる道しかなかったりするのよ”
運良く働ける場所と住む場所を提供してくれるような事もあれば、騙されて娼婦になる事もある。
“…中には父親が娘はもう結婚出来ないと分かると娼館に売る場合もあるの”
「…最悪じゃん」
“女性だけでなくとも…孤児も可能なら雇い入れたい…”
「……なるほど」
私はスマホゲームと夢の中だけで彼女の世界を見ているだけだが、想像以上にその世界は厳しいらしい。
何故こうも不思議な繋がりが出来たのか、確かに存在しているスマホゲームの向こうの世界。私と対話しているはっきり存在しているアリヤ。
全てを失ったように見えた彼女はまだ何もかも諦めた訳ではない。むしろ、これから始めようとしている事をとことんやってやろうと言う強さを感じた。
これは運命なら私は協力しよう。
「よろしくアリヤ。私が出来る事は全力でやるわ」
“ありがとうリリナ。きっとあなたの協力無しには出来ないわ”
スマホゲームと夢を介して女二人でやってやろう。
“行く行くは自分の顔が描かれたカレーをホテルで配るの”
「この間泊まったホテル見た?」




