↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/60

第18話 その後の夜

◯孤児院 デアリスの部屋 1902年4月


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

目が冴えて眠れずにいるデアリス


宝石箱に入っていた手紙

それを何度も読み返す

何かを決意して

デアリスは身体を起こした

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/


 デアリスはマルスとの挨拶回りを終えて、夕食も終え、身体も清め、後は寝るだけだった。

 ベッドで寝そべり、目を閉じるが、寝付けないでいた。


「……」


 デアリスは不意に身体を起こし宝石少年(ジェムズ)達が収められていたビロードの宝石箱に一緒に入っていた手紙を手に取った。


 ――この宝石少年達(ジェムズ)は|貴方自身に繋がっている《・・・・・・・・・・・》


 この一文が本当ならば、彼ら宝石少年(ジェムズ)を磨く事が、デアリス自身の生まれへのヒントへと繋がる。

 彼らを磨く為に始めた、便利屋。これからどうやっていくのかが、今日少しだけ見えた気がしたが。

 しかし、それは、自分の為に彼らを利用する事なのでは無いか、とデアリスは感じていた

 悩みが悩みを呼びモヤモヤが悶々と心に広がっていく。


(悩んでも、仕方がないか。こういう時は素直にスッキリさせた方が良いな)


 デアリスは、ビロードの宝石箱を手に取り、宝石少年達(ジェムズ)に語りかける


「ごめん皆、ちょっといいかな?」


 その声に反応して、宝石少年(ジェムズ)達の声がデアリスの頭に響く。


『主人(マスター)、何、また、夢?』

「いや、ちょっと、相談というかさ、みんなに話したい事があってさ」

『相談って、どうしたのさ、相棒(マスター)』


 言葉を出すのに、少し間が空いてしまう、どう伝えるべきか、どこかで躊躇してしまうからだ。

 あまり自分の考えを吐露する機会がデアリスには無かった、自分の望みを相手に伝えるのは、少し怖かったからだ。


「なんていうかさ、みんなと便利屋を始めるだろう?」

『ああ』

「この手紙に書いてある ――この宝石少年達(ジェムズ)は|貴方自身に繋がっている《・・・・・・・・・・・》って言うのがさ、オレ凄い気に成っててさ」


 自分の感情を、少しづつ絞り出すように、デアリスは言葉を紡ぐ。


「……もし、この手紙に書いてる事が本当で、オレの過去に繋がっているなら、みんなに協力してほしいんだ」


 伝えようとすると、鼻の奥が痛くて、少しだけ涙が滲みそうになる。

 そして言葉がデアリスの口から止め処無く溢れ出る


「オレさ、でも本当は、自分の生まれを知りたくってさ……ずっと諦めた振りしてたって気付いたんだ。今日マルスを磨がかれるのを感じて、もしかしてこれを続ければ、本当にわかるのかもって、自分勝手なことを思って。」

『なるほどねぇ……』

「……悪い、自分勝手だよな。自分の為にみんなを磨こうとするなんて、ごめん忘れてくれ」


 少し自分を落ち着かせて、デアリスは話を切り上げようとした


『理解不能、何も、問題無い。』

「へ?」

『相棒(マスター)、言ったろぉ。オイラ達を好きに使って良いってさ』


 否定されるかも知れない、と思って覚悟していたデアリスは、ふたりの発言に気が抜けた声を出してしまった。


『自分の為だと言ったが……俺達宝石少年(ジェムズ)人と関わる事で磨かれるらしいぞ、兄弟(マスター)』

「えっと、わかるけど、なんというか……利用してるみたいで、お前達嫌じゃないか?」

『問題皆無。主人(マスター)を助ける為、ここ来た。』

『そう思ってくれた優しさは受け取るよ、相棒(マスター)』


(もしかして、オレ恥掻いただけじゃ)


 自分としては一世一代の勇気を出したデアリスは、恥ずかしさから身体が熱くなった。


『だが、兄弟(マスター)が俺達を磨く理由が自分の生まれを知る為になるのは正直お互いにとって良いことだ』

「そうなのか?」

『絶対的、一石二鳥』

『そうそう、オイラ達の相棒(マスター)を助ける。それも人助けでしょ?そんなの大歓迎!大歓喜だよ!』


(なんだろう、最初のやり取りより、宝石少年(ジェムズ)達が盛り上がっているな……)


「つまり、オレの為でも、皆を磨く事になる……ってことか?」

『そういうことだねぇ』


 シュピナが応えた


『オイラ達は、相棒(マスター)の為に呼ばれた寄せ集め。気兼ね無く頼ってもらえたら嬉しいってわけ』

「でも、オレは使う使われるってのがなんだろう、嫌なんだよな」

『何故、嫌?』


 リーチアが不思議そうに問う、デアリスは、少しだけ考えて


「一緒に、がんばりたいというか。対等がいいんだよ。だからマスターって言われるのも、なんだか違和感があってさ」


 デアリスの言葉に、宝石少年達(ジェムズ)はなるほどなぁと言わんばかりに、あぁ、と呟いた。


「オレなんか変な事言ったか?」

『いんや。真っ当だ。だが、俺等にとってはデアリスは兄弟(マスター)なんだ、呼称として、馴染みがある言葉だからな』

『あ、じゃあ。こうしない? オイラのマスターってのは、相棒って意味だと思ってよ』

「相棒……か。そういう意味なら、悪くないかもしれない」


 その発言に、マルスが「おぉ」と声を上げた。


『なら、俺のマスターという呼称は……兄弟って意味で、どうだい?』

「兄弟に相棒か、なんか悪く無いな……それじゃあ、リーチアのマスターってのは、なになるんだ?」


 デアリスがリーチアに問う、一瞬、間が出来た後に、リーチアは静かに応えた


『……、マスターは主人(マスター)』

「あ、マスターか……。そうか。」

『でも』


 デアリスが諦めようとした瞬間にリーチアの声が頭に響いた


『これから、考える。駄目?』

「おう、ありがとう。いいのが思いついたら教えてくれな。」


 言葉の中にリーチアなりの心遣いを感じ、デアリスはうれしかった。


『デアリス便利会社はさ、【みんなはひとりの為に、ひとりはみんなの為に】な感じでがんばろう』

「なんか、聞いた事があるフレーズだな」

『そりゃあ、有名な物語の名言だもん、というか知性は引用がモノを言うんだぜ【相棒】』

「なんだそりゃあ」


 自然に口からでたツッコミに、皆が笑う。


(ああ、オレ、コイツらに会えてよかったなぁ)


『お互いに磨きあおう。兄弟(マスター)』


 ――お互いに、磨きあう。

 その言葉が、デアリスの中の隙間にパズルのピースの様にピッタリと嵌った


「ああ、そうだな。きっとそれがオレ達のやり方になる」

『いいねぇ、見付けていこう、オイラ達のやり方』


 頷くデアリス


「ああ、そうだな……ふぁあ。」


 今のやりとりで安心したのか、どこかに旅に出ていた睡魔が帰って来て大きなあくびが出た。


『相棒(マスター)、もう眠れそうだね』

『悪夢、見たら。リーチア侵入(インフィルト)、する。安心、安眠。』

『今日は疲れただろう、しっかり休め。これからデアリス便利会社は本番だろう?』


「おう、ありがとう」


 ――おやすみ、マスター


 三人の声が響く中、デアリスは意識を眠りに預けた――。


『ディスポーザブル・キャスト-夢を見せる宝石少年-』

原案:神田明子

作:西瓜すいか・差異等たかひ子

企画・制作:Hisshigumi Project


※本作は複数の小説投稿サイト・媒体にて同時掲載しています。



____________________


最後まで読んでくださり、ありがとうございます!


『ディスポーザブル・キャスト』を面白いと思っていただけたら、ぜひ応援していただけると嬉しいです。


ページ下部の【★評価】や【ブックマーク】をしていただけると、今後の連載の大きな励みになります!


ご感想も大歓迎です。

「このキャラクターが気になる!」など、一言でもぜひ聞かせてください。


毎日更新していきますので、これからも『ディスポーザブル・キャスト』をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。