↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/60

第16話 新しい役割 前編(マルス視点)

◯孤児院 教育棟 1902年4月


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

子どもたちの声が響く教育棟

少年少女に囲まれるマルスを他所に

デアリスは隣の部屋で

シスターベル達と話をしている。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/


 マルスはデアリスと部屋を出て、

 仕事をはじめるなら挨拶をした方が良いと促してくれたシスターベルの働く孤児院の教育棟へ来た。


 マルスは子どもたちの居る部屋で待つように言われ、デアリスはシスターベルと教育棟で子どもたちを教えているシスター達と話をしている


 子ども達は純真無垢な目で、こちらを見詰めている。

 孤児院にはマルス程の体躯の男は居ないため、珍しいと思っているのだろうか。

 しかもデアリスと一緒に教育棟に来ているので無害だと判断さたのだろう


「おじさん、あんちゃんとのお仕事決まったの?」


 前日に、食堂で話した少年、オレアが声を掛けてきた。

 デアリスをあんちゃんと慕って懐いている少年だ。


「ああ、お陰様でな。今日はその挨拶に来たんだ」

「そうなんだ!あんちゃがお世話になります!」


 オレアはそう言って頭を下げる


「あ、おじさんのことなんて呼べば良いかな?」

「俺は、マルスだ。よろしく」

「僕はオレア、これからよろしく」


 オレアの挨拶を皮切りに、わぁわぁと子ども達がマルスに抱きつき、ベタベタと身体を触る


「すごい、本物の筋肉だー!」

「え、あたしもあたしも触るー!」

「おいおい、お前達」


 もみくちゃにされながら、子どもたちを潰さない様にマルスは慎重に動く。

 人間は宝石少年(ジェムズ)と違って柔らかく、傷つきやすい、子どもなら尚更だ。



「おい、おまえらー。マルスが困ってるだろうが!」

「兄弟(マスター)」


 話し終えたデアリスの声で子どもたちは一度止まり、声の方向を見る。


 (助かった)


 そう思ったのもつかの間、マルスから離れた子ども達は今度はデアリスを囲み抱きつく


「あんちゃん、仕事がんばってな!」

「もう大人だね」

「おい、おまえらくすぐったいっての」

「ははは、兄弟(マスター)はモテるなぁ」

「ちょっ、助けろって、マルス!」


 マルスは冗談めかして笑う、デアリスはおい!とつっこみの声を上げながら子ども達のくすぐり地獄へと飲み込まれて行く。


「あの、すみません子どもたちが」


 か細い声の方に振り向くと、そこにはシスターベルが居た。


「気にしないで大丈夫だ、子ども達の戯れだから」

「デアリスの知人だからと、心を許したんだと思います。。」


 (兄弟(マスター)はやはり子どもに好かれているんだな……)


「あの子達にとって、デアリスは兄の様な存在です。まっすぐ、あの子達に向き合ってくれる貴重な存在なんです……」

「そうか、それは良いことを聞いた」

「あ、すみません、私ったら変なこと言って」


 いやそんな事はないとマルスは続ける。そして、ふと彼女が挨拶を促してくれた事を思い出す。


「そうだ、レディ、今回は挨拶をする様にと彼に助言をありがとう、とても助かった」

「いえ、そんな。あれはアイリーンさんの意見で……」


 シスターベルは、恥ずかしそうに視線を逸らす。年頃のレディだ、マルスと話すのに少し恥じらいがあるのだろう。


「ああ、お前ら反撃じゃー」

「わーあんちゃんがドラゴンになったー」

「にげろにげろー」

「まてー!」


 シスターベルと話していたマルスの身体に逃げて来た子ども達が飛びつき絡みつく


「おいおい……困ったな。」


 マルスは身体に絡んだ子ども達を持ち上げる


「すごいすごい!」

「俺達はもう行くから、シスター達の言う事をよく聞いて勉強するんだぞ」


 子ども達をそのまま下に降ろし、諭す様に話しかけた。


「えーもうおしまい?」

「後少しだけ!ねぇ!」

「もう、迷惑掛けちゃ駄目ですよ」


 シスターベルの声に子ども達は素直に従った。


「マルス、待たせたね。次の挨拶に行こう」


 頷きデアリスと一緒に部屋を出ようとする、後ろからシスターベルの声が響く。


「あの、マルスさん、……改めてデアリスをよろしくお願い致します。」

「こちらこそ、これからも頼みます」


 挨拶して、次の場所へと向かう主を追う


「マルスが子ども達にも好かれた様で良かったよ」


 デアリスが笑う。それを見て、安堵する。


「そうかい、そう思ってもらえたんならよかった」

「なんだよ、ニマニマして」

「そんなこと無い。気の所為じゃあないかい?」


 主にそう言ってから、足を早め、誂う様に先を歩く


「ちょっ、待てよ。先行くなよ、マルス!お前どこ行くかわかってんのか?」

「中庭だろう?兄弟(マスター)」


 クククと笑いそうな声を噛み砕きながら、早足で次の目的地へと向かう

 デアリスは懸命についていこうと文句を言いながら追ってくる。


 (兄弟(マスター)こそ、好かれていて俺は安心したよ)


 自分の主が面白みのある男で良かった、古の戦士はそんな事を思うのだった。


『ディスポーザブル・キャスト-夢を見せる宝石少年-』

原案:神田明子

作:西瓜すいか・差異等たかひ子

企画・制作:Hisshigumi Project


※本作は複数の小説投稿サイト・媒体にて同時掲載しています。



____________________


最後まで読んでくださり、ありがとうございます!


『ディスポーザブル・キャスト』を面白いと思っていただけたら、ぜひ応援していただけると嬉しいです。


ページ下部の【★評価】や【ブックマーク】をしていただけると、今後の連載の大きな励みになります!


ご感想も大歓迎です。

「このキャラクターが気になる!」など、一言でもぜひ聞かせてください。


毎日更新していきますので、これからも『ディスポーザブル・キャスト』をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。