2-11話 似てるけど。
昼下がりの休憩室。
窓から差し込む光が、
静かに机を照らしていた。
「お茶をお持ちしました。」
侍女が置いた茶器に、
Lunariaは手を伸ばした。
取り寄せてもらった茶葉だった。
宵の国の蜂蜜茶に似たもの。
一口飲む。
香りも、味も。
似てはいた。
けれど。
「……やっぱり、違う。」
それを聞いた侍女は、
少しだけがっかりしたようだった。
「美味しいけれど……。」
「同じ茶葉ではございませんからねぇ……。」
「そうね。」
Lunariaは頷いた。
そして。
机の上へ視線を向ける。
十通。
二十通。
三十通。
まだある。
まだまだある。
「………………。」
ぱたり。
Lunariaは机へ突っ伏した。
一向に終わる気配がない。
どれも、似たような内容だ。
「……もう嫌。」
侍女が思わず苦笑する。
「姫様。」
「ここは、休憩室でしょう?」
顔を上げないまま言った。
「休憩室でくらい、休憩させてよ……。」
侍女達は顔を見合わせる。
Lunariaは動かない。
本当に動かない。
「少し、お休みになられますか?」
心配して言う年嵩の侍女に、
Lunariaは首を振った。
「早く決めないと、
ずっとこれが続くんでしょう。」
それが一番嫌だった。
安心。
仕事。
顔。
――ときめき。
Lunariaは机に突っ伏したまま、
釣書をめくった。
顔だけを上げて、
お茶を一口飲む。
美味しい。
けど。
……やっぱり、ときめかない。




