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ヨルから生まれた物語  作者: 灯ノ森みつき
第二章《波紋》

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祈りの形

森を抜けた先で、

男はふらつくように足を止めた。


小川だった。


震える手を、

冷たい水へ差し入れる。


濁った水が、

ゆっくり赤く広がった。


「……………」


男は、

何度も顔を洗う。


乱れた髪を掻き上げ、

泥の付いた外套を整える。


指先は、

まだ震えていた。


それでも。


胸元へ触れる仕草だけは、

妙に丁寧だった。


そこにはもう、

神官章は残っていない。


けれど男は、

何かを確かめるように、

静かに指を組む。


古い祈りの形だった。


「……あと、一日……」


掠れた声が夜へ滲む。

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