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祈りの形
森を抜けた先で、
男はふらつくように足を止めた。
小川だった。
震える手を、
冷たい水へ差し入れる。
濁った水が、
ゆっくり赤く広がった。
「……………」
男は、
何度も顔を洗う。
乱れた髪を掻き上げ、
泥の付いた外套を整える。
指先は、
まだ震えていた。
それでも。
胸元へ触れる仕草だけは、
妙に丁寧だった。
そこにはもう、
神官章は残っていない。
けれど男は、
何かを確かめるように、
静かに指を組む。
古い祈りの形だった。
「……あと、一日……」
掠れた声が夜へ滲む。




