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空の色
――賑やかな楽の音が、
頭の奥に響いていた。
騒がしい。
笑い声。
酒の匂い。
喧騒の中、
隣にいる客は飲みすぎて、
既に眠りこけている。
妙に気安く肩を叩かれる。
新しく酒を注がれる。
交わされる酒盃。
街の酒場の風景。
知らないはずの景色なのに。
ひどく、
懐かしい。
駆け寄って来る子供達。
腕へぶら下がられ、
そのまま持ち上げてやる。
きゃあきゃあと、
楽しそうな声が響く。
それを見て、
別の子供達まで集まって来る。
市場では、
女達が笑いながら話している。
押し付けるように、
赤子を渡された。
小さい。
恐る恐る抱き上げる。
柔らかい。
声をあげて笑った。
暖かい。
その全てが。
どうしようもなく、
眩しかった。
ふと。
近づいて来た影へ、
片手を挙げる。
視線の先。
ぼやけている。
顔は、
よく見えない。
ただ。
呆れたように、
こちらを見ているのだけは分かった。
頭へ手を伸ばす。
ぱしりと払われる。
ひどく嫌そうな顔。
思わず、
噴き出した。
嫌なら、
来なきゃいいのに。
けれど、こいつは。
結局いつもここへ来る。
真面目そうな眼差し。
空みたいに、
澄んだ色をしていた。
喧騒の中。
揺れる灯りの下。
どれほど騒がしい場所にいても。
変わらない。
まるで。
暗い夜へ差し込む、
光みたいに。




