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新月
りん――
静かな鈴の音。
白い石畳の道を、
彼女は静かに歩いていた。
細い背。
揺れる髪。
目深にかけられた薄布で、顔は見えない。
触れれば、
壊れてしまいそうなほど。
震えていた。
立っているのもやっとなのに。
一歩。
一歩。
前へ。
しゃん…
しゃん…
鈴の音が、それに続く。
長い回廊。
揺れる灯火。
白い衣が、
視界の端を過る。
突如。
どくん、と。
――世界が揺らぐ。
跳ね上がる鼓動。
視線の先。
彼女の隣へ、
もう一つの影が並ぶ。
胸の奥が、鈍く軋む。
嫌な音だった。
――知っている。
この音を。
この静けさを。
………夜へ近づいていく感覚を。
しゃん………
灯火が、
揺れる。
触れてはいけない。
近づいてはいけない。
けれど。
視線だけが、
離れなかった。
鼓動が鳴る。
どく、
どく、と。
それは――
ひどく、
悲しい音がした。




