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ヨルから生まれた物語  作者: 灯ノ森みつき
第二章《波紋》

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新月

りん――


静かな鈴の音。


白い石畳の道を、

彼女は静かに歩いていた。


細い背。


揺れる髪。


目深にかけられた薄布で、顔は見えない。


触れれば、

壊れてしまいそうなほど。


震えていた。


立っているのもやっとなのに。


一歩。


一歩。


前へ。


しゃん…


しゃん…


鈴の音が、それに続く。


長い回廊。


揺れる灯火。


白い衣が、

視界の端を過る。


突如。


どくん、と。


――世界が揺らぐ。


跳ね上がる鼓動。


視線の先。


彼女の隣へ、

もう一つの影が並ぶ。


胸の奥が、鈍く軋む。


嫌な音だった。


――知っている。


この音を。


この静けさを。


………夜へ近づいていく感覚を。



しゃん………



灯火が、

揺れる。


触れてはいけない。


近づいてはいけない。


けれど。


視線だけが、

離れなかった。


鼓動が鳴る。


どく、


どく、と。


それは――


ひどく、

悲しい音がした。

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