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ヨルから生まれた物語【第二部連載中】  作者: 灯ノ森みつき
【第二部】第四章《花冠》

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2-48話 零れ落ちたもの

第二部 撰択編


「また明日ねーー!」


黒髪の青年の脇を、

数人の子供達が元気よく走り去っていった。


「兄さん、さっきの子たち……。」


その子供達と大して変わらない年頃の少年が、

青年を見上げる。


「明日はヨルが結婚した日、って言ってたね。」


わずかに右足を庇うような歩き方。

青年の弟は、生まれつき足が強くなかった。


二人とも白い神学生服を着ている。


祭りへ向かう人々の中では少しだけ目立つ姿だった。


「言っていたね。」


「どれが本当なのかな。」

「さあ。」


少年は少しだけ頬を膨らませる。


「兄さん。」

「本当のことなんて誰も知らないよ。」


青年はそう言って、

花で飾られた柱を見上げた。


まだ青い空も、

あと僅かもすれば黄昏色に染まりだすだろう。


明日になれば、

女王は街中の柱を巡る。


そしてその後、

翌朝まで神殿へ入る。


祭り。

結婚。

子供。


人々の笑い声が聞こえる。


肩車をする父親。

手を繋ぐ夫婦。

走り回る子供達。


――それを、静かに見つめる弟。


「…………。」


夏の風が吹く。


花びらが一枚、

柱から零れ落ちた。


―― 一緒じゃないか。


「兄さん?」


青年は視線を戻した。


「なんでもない。」


そう言って小さく笑う。


「行こう。」

「うん。」


少年は素直に頷いた。


二人は祭りの人混みの中へ消えていく。


石畳へ落ちた花びらは、誰かの靴跡に傷んでいた。


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