前へ目次 次へ 134/148 2-46話 夜に沈む 第二部 撰択編 太陽が夜に沈んだ。 彼女にとっての、光は消えた。 横たわる男は、まるで眠っているようだった。 閉じられた金色の瞳。 腰にとどくほどの黒髪は 流れるように寝台からこぼれ落ちている。 死してなお、兄は変わらず美しかった。 怖いくらいに。 〈お前でいい〉 言われた娘は、自らの腹に手をやった。 もうすぐ、夜は離れてしまう。 そうなる前に、繋ぎ止めなくては。 そのための鞘は、ここにある。 ――娘は、剣を突き立てた。 愛しい兄の亡骸へ。