2-43話 劍国おじさん会議3
第二部 撰択編
女王が席を外した後。
政務室に残った数名の高官は、
誰からともなく部屋の中央へ集まり始めていた。
「午後から、次男殿が陛下の身辺警護に入られるそうです。」
若い官僚の言葉に、数人が顔を上げた。
「これは、その……次男殿が本命、ということでしょうか。」
「うむ。」
年嵩の高官が頷いた。
皆、思い思いに考えを巡らせているような面持ちだった。
王弟子息・次男。
王族である上、
実績も申し分ない。
宵の国軍部では、
若くして将官の立場にある人物だ。
正直なところ、わざわざ夏至祭へ送るには、
重過ぎる人材だった。
その彼が、女王陛下の身辺警護の任につく。
「これは、やはりそういう事かと。」
数人が頷く。
異論を唱える者はいない。
同盟国とはいえ、
祭礼期間中の補佐要員として送るには、
身分も役職も高過ぎる。
ならば考えられる理由は一つ。
隣国女王との婚約準備――
「確かに。」
「軍部が許可を出したという事は、
そういう事でしょうな。」
「なるほど、王弟家の本命はEthan殿なのか。」
そう考えるのが自然だった。
だが。
「……いや、待て。」
別の高官が首を傾げた。
「ならば昨日の陛下のご様子は、
どう説明する。」
「…………。」
官僚達は口をつぐんだ。
昨日の接見室。
女王は何度も同じ人物へ視線を向けていた。
王弟家の三男・Elliott殿下。
「あれは気になる。」
「私も見た。」
「視線を向けておられたな。」
「うむ。」
数人が頷く。
だが。
外交担当の高官が口を開いた。
「先ほども三男殿の配置について、随分と詳しくお尋ねになっていた。」
「やはり、陛下のお気持ちは三男殿にあるのでは。」
「……それはまずいな。」
「今更、やはり三男殿でとは言えますまい。」
その通りだった。
長男。
次男。
三男。
女王には選択肢があった。
それなのに、女王が示した希望は。
『こちらの方達からなら、どなたでも』
それだけだ。
あとは、そちらで調整して欲しいと。
「――やはり、意地を張られていたのでは。」
「お二人とも、お若くいらっしゃいますから……。」
「ならばどうする。」
沈黙が続く。
しばらくして。
年嵩の高官が深く息を吐いた。
「……どうもできますまい。」
「こうなった以上、我々には見守ることしか出来ませんな。」
「――切なくなりますな。」
「若い頃を思い出します。」
「いやはや。」
官僚達は皆、自分の胸を押さえていた。




