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ヨルから生まれた物語【第二部連載中】  作者: 灯ノ森みつき
【第二部】第三章《芽吹き》

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2-38話 綻び

第二部 撰択編


頭が割れるように痛い。


刺すような日差しに、

視界の端も少し霞んでいた。


暑さもひどい。

汗ばんだ肌に、着ている服の生地が張り付く。


……不快だ。 


非常に。


〈同じ植物でも、親株によって成長速度は……〉


神官が何か説明している。


けれど、その声はひどく遠い。


〈そして花粉を移し、別の系統を掛け合わせることで……〉


水の中から聞いているみたいに、

輪郭がぼやけていた。


〈品質、病への耐性など……

個体が生まれることがあり……〉


学生達がペンを走らせる音。

やけに大きく響いている。


〈育種とは……

長い時間を掛けた選別の積み重ね……〉


額の奥が鈍く脈打つ。


〈…………〉


目を伏せた。


――これは、僕のことだ。


〈……………〉


指先でこめかみを押さえる。


立ち上がり、手を挙げた。


「――――」


一斉に、視線がこちらに集まる。


一礼し、足早にその場所から離れた。


白い石畳。


強い日差し。


建物の影に回り込んだ。


ふらついて、壁に手をつく。


……気持ち悪い。


「――――」


肩が、震える。


呼吸を整え、後ろにある気配に気づく。


……見られてる。


女が、こちらを。


――見ている。


呼吸を止めて、じっと。


「…………。」


わかっていて、視線を上げた。


――女の奥に。


見つける。


……綻び。

  


「――――」



――――青年は、言った。


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