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ヨルから生まれた物語【第二部連載中】  作者: 灯ノ森みつき
【第二部】第三章《芽吹き》

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2-33話 ときめく官僚

第二部 撰択編


今日の女王も、いつも通りの様子だった。


「これ、王都衛政局に回して。」

「はい。」


「そちらの書簡は、王宮近衛局の方へ。」

「わかりました。」


夏至祭関連の申請書。

各局からの報告書。

各国から届いた書簡。


Lunariaは次々と書類を確認し、

手際よく裁可の印を押していく。


ちらり、と。


隣に控える若い高官が、

年嵩の官僚へ目配せする。


「……女王のご様子は、いつもとお変わりありませんね。」

「ええ。」


小さく返事が返る。


本日の午後に予定されている、

夏至祭準備室との顔合わせ。


そこに、二人の王配候補が名を連ねていた。


宵の国・王弟家の次男、Ethan Ehrenberg。


宵の国・王弟家の三男、Elliott Ehrenberg。


――王家も官僚達も、

長らく頭を悩ませてきた、あの案件である。


「とうとう、来られるのですね。」

「ええ、とうとうです。」


二人はそっと視線を上げる。


机に向かうLunariaは、

変わらず流れるように書類を捌いていた。


表情にも、仕草にも、

特に変わった様子はない。


「…………。」

「…………。」


「……いささか、緊張しますね。」

「ええ、どきどきします。」


若い官僚は一度瞬き、年嵩の官僚を見た。


「――どうかしましたか?」

「いえ……なんでもありません。」


Lunaria本人よりも、

高官達の方が緊張していた。


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