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ヨルから生まれた物語【第二部連載中】  作者: 灯ノ森みつき
【第二部】第三章《芽吹き》

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2-28話 劍国おじさん会議2


Lunariaが休憩室へ向かい、

扉が閉まる。


「………….。」


先程の書簡を持っていた官僚が、

もう一度内容を確認した。


そして、小さく呟いた。


「これは、どういう意味でしょうか。」


わらわらと、

近くにいた高官達が集まってきた。


「……なんと。」


その場にいた全員が同じことを考えていた。


机の上へ広げられた書簡。


宵の国王家からの人員派遣のための正式文書。


その中の、入国者一覧。


『王弟家次男 Ethan Ehrenberg』


『王弟家三男 Elliott Ehrenberg』


そして、その下に続く数名の名前。


「…………。」

「…………。」

「…………三男殿だけなら分かります。」


年嵩の官僚が言った。


「以前も来られておりますからな。」

「お立場も、政務官ですし。」


別の官僚も頷く。


「問題はその上です。」


全員の視線が移動する。


次男殿。


「…………。」

「…………。」

「…………いささか、豪華すぎませんか。」


次男は、宵の国軍部の要職についていたはずだ。


「夏至祭ですぞ。」


誰かが言った。


「軍は、動かしません。」

「ええ。」

「動かしませんな。」


全員頷く。


「軍議なら分かります。」

「ええ。」

「しかし、夏至祭です。」


「祭ですな。」

「……何故でしょう。」

「分かりません。」


全員頷く。


そして、再び書簡を見る。


「――正式な婚約返答は?」


「まだですな。」

「まだです。」

「届いておりません。」


また頷く。


沈黙。


若い官僚が恐る恐る口を開いた。


「では……あちらでも、まだ決まっていないのでは?」

「次男殿と、三男殿で。」


「――あり得ますな。」

「あり得ます。」


全員頷く。


そこへ、別の高官が首を傾げた。


「しかし、十年前に神殿からの候補に上がっていたのは長男殿でした。」


書簡を見る。


もう一度見る。


「……確かに。」


「長男殿の釣書も、取り下げられてはおらぬ。」


「では、順当に考えると長男殿です。」


「だが、陛下のご様子を見る限り、三男殿では。」


「三男殿が来られる理由は分かります。お立場も政務官ですし。」


「ならば、夏至祭準備に関わりのない、ご多忙の次男殿がわざわざ来られることの意味は?」


「王弟家では、次男殿を推しておられるのだろうか。」


各々、めいめい、それぞれが、思い思いの考えを述べる。


だが、答えは出なかった。


そのうち、

誰かが疲れたように椅子へもたれた。


「つまり――」


最年長の高官が口を開く。

全員が顔を上げた。


「分からん。」

「分かりませんな。」

「分かりません。」

「全く分かりません。」


満場一致だった。


しばらくして、

最年長の高官が深いため息をつく。


「まずは様子見……と、いったところでしょうか。」


結論だった。


四半刻もかけて、

最初の状態に戻っただけである。


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