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鈴村くんは間違えない  作者: シア
第2部 第1章 『恋のライバル』

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第13話 『気持ち』は人を大きく変える

「凛《りん》さん。徹《とおる》から手を引く気、ありませんか?」


 緑ヶ丘学園高等部生徒会副会長、綾瀬凛《あやせりん》は、青海《おうみ》学園高等部生徒会長、木下咲良《きのしたさくら》から耳を疑う提案をされていた。


 緑ヶ丘学園高等部の生徒会室には綾瀬と木下の二人きりであり、他にこの会話を聞いている者はいない。


 突然の提案に呆気に取られる綾瀬を見て、木下は再度同じ質問をする。


「聞こえませんでした? 徹から手を引く気はないですか、って聞いてるんですよ」


 二度目の提案を耳にし自分の視界に木下を捉えた綾瀬は、少し慌てる様子を見せつつも木下に答える。


「ご、ごめんなさい……。急にすごいこと言われて驚いただけです」


「すみませんね、突然変なこと言って。……でも、私にとってこれはとても重要なことなんです。いずれはっきりさせたいと思っていたんですよ」


「はっきり、ですか」


「はい」


 視線を逸らしながら綾瀬は答えるが、木下はしっかり綾瀬の顔を見て話していた。


 それほどまでに、木下にとってこの質問には意味があった。


「私の質問、ふざけてるように聞こえました?」


 視線を合わせない綾瀬の態度に少し苛立ちを覚える木下は、口調をやや強くして言った。


 ビクッと体を一瞬震えさせた綾瀬は、恐る恐る木下の顔を見た。


 その表情は、真面目のように見えて、怒りも混じっている表情であった。


「そ、そんな風には聞こえてないですよ、咲良さん。二人きりだけのこの場所でわざわざ聞くっていうことは、それなりの意味があるんですよね?」


「もちろんです。綾瀬さん、もう一度聞きますね」


 木下は、綾瀬に詰め寄り、声のトーンを少し落として言った。




「徹との婚約をなくすつもり、ないですか?」




 口調は先よりもさらに強くなっていた。


「……そんなに鈴村《すずむら》君のことを諦めてほしいんですか?」


 綾瀬は少し怯えながらも、木下に対抗するように答えた。


「諦めてほしい……、ですか。うーん、まあ簡単に言ってしまえばそういうことですね」


「一応聞いておきますけど、私と鈴村君の関係は知ってますよね?」


「はい、知ってますよ。凛さんと徹は婚約者です。……そんな関係を知っていても、私は敢えて今凛さんにこの質問をしています」


 綾瀬を威圧するかのように距離を詰める木下は、その口調を緩めることなく綾瀬に言った。


 綾瀬は距離を詰める木下の体を少し強めの力で押し戻し、距離を取って話す。


「咲良さんの質問に答えますね。答えは『NO』です」


「……まあ、ですよね」


「当然です。何の脈絡もなく私が鈴村君のことを咲良さんの一言で諦めるわけがないじゃないですか」


「脈絡なら、ちゃんとありますよ」


「…………どういうことですか?」


 木下は指を立てて言う。


「さっき徹が言ってたこと、覚えてますか?」


「言ってたこと……? 体育祭のことを話していたことくらいしか覚えてないですけど……」


「………………凛さんならわかると思うんだけどなぁ」


 木下はため息をつきながら言う。


「凛さん。徹はなんで凛さんを婚約者に選んだと思います?」


「え、なんでって、それは昔から私のことが好きだからで――」


「はい、その通りです。じゃあなんで、今の今まで徹は凛さんに告白どころか、会話すらしなかったんですか?」


「そ、それは……」


「そんな関わりを殆《ほとん》ど持たなかった徹が、凛さんが、この一年足らずでその関係をどんどん格上げしていきました。これには徹の気持ちが大きく関わっていると私は考えてます」


 木下はそう言うと、くるりと後ろを振り向き、手を後ろに組んで数歩歩いた。


 立ち止まり、その場で半回転し、綾瀬に視線を向けて木下は言う。




「徹は、『後悔のある人生』を歩みたくないから、凛さんと積極的に関わりを持つようになったんですよね」




「…………え?」


 綾瀬には木下の言う言葉が、何かに似ている感覚に襲われていた。


 綾瀬は恐る恐る木下に確認を取る。


「さ、咲良さんはさ、もし人生の大きな分岐点に遭遇したとき、その選択を強いられたときはどうします?」


「人生の大きな分岐点、ですか? うーん……、そうですねぇ……」


 木下は顎に当てて少し考え、そして答えた。


「やっぱり、私は『後悔しない人生』に繋がる選択肢を選びたいですね」


「……そうですか」


(…………これは、もう咲良さんに直接聞いちゃってもいいのかな)


 綾瀬は木下に、『人生の選択肢』のことを問おうと悩んでいた。


 鈴村はこれまでに『後悔しない人生』を求め、『人生の選択肢』と共に行動をしてきた。


 結果、鈴村は綾瀬と結ばれることに成功するが、木下の後(・)悔(・)し(・)な(・)い(・)人(・)生(・)を(・)求(・)め(・)る(・)と捉えられる発言が綾瀬にはとても引っかかっていた。


 まるで、木下が『人生の選択肢』の存在を知っているかのように聞こえていたからである。


 綾瀬は、意を決して木下に問う。


「咲良さん。知ってたらでいいです。……『人生の選択肢』って、知ってますか?」


 木下は綾瀬の質問を聞き、少し目を大きくさせて驚く表情を見せた後、顔を俯かせた。


(……一瞬驚いてた。やっぱり、『人生の選択肢』のこと知ってるんじゃ……)


 綾瀬がそう考えていた直後、木下は顔を上げて言った。




「『人生の選択肢』って…………、なんですか?」




 木下は首を傾げていた。


 頭に「?」マークを浮かべる木下の表情を見て、綾瀬はきょとんとする。


「えーっと、咲良さんはその名前に聞き覚えはない、で合ってますか?」


「聞き覚えがないどころの話じゃないですよ。それなんですか? なんかのドラマですか? それとも哲学の本か何かですか?」


 ふざけた態度を取られたと錯覚した木下は、少しばかり怒りを込めて綾瀬に言った。


「ご、ごめんなさい! 知らないならいいんです! 気にしないでください!」


 綾瀬は慌ててはぐらかした。


「……? 変なこと聞きますね……。……もう一度言いますけど、私は『後悔しない人生』を歩みたいです。さっき徹も言ってました」


「鈴村君がですか?」


「そうです。徹は『一度きりの人生、後悔しないように動くのは当然』って言ってました。だから今年の体育祭も学園《うち》と合同にするって言いだしたんです」


「あ、あー、なるほど。そういうことでしたか」


 綾瀬は自分が考えすぎていたことを恥じていた。


「徹は自分の人生をとても重要視しています。蒼碧祭《そうへきさい》のときも、後夜祭のときも、親睦会の時も。その時その時に訪れる出来事に真摯《しんし》に向き合ってきました」


「確かに、鈴村君はそういう人ですからね」


 木下は、そのまま綾瀬に自分の想いをぶつける。




「そして、私は凛さんに言いました。私は徹が好きだって」




「……確かに、それも言ってましたね。その話題を今この場で持って来たっていうことは……」


「はい、お察しの通りです。私はまだ、徹のことを諦めていません。というより、私は凛さんに嫉妬しています」


「嫉妬……?」


 綾瀬は首を傾げていた。


「私は昔からずっと徹のことが好きだったんです。前にも少し話しましたよね? 中学の時のこと」


「覚えてますよ。……中学卒業の前に告白をして……」


「そうです。フられました。徹にも当時好きな人がいました。凛さんなら私がなんで嫉妬しているか、わかりますよね?」


「………………」


 綾瀬は黙り込んでしまった。


 その様子を見ながらも、木下は構わず続ける。


「徹はあの時も、これまでも、ずーっと凛さんのことが好きでした。なのに告白の一つもしていません。そんな関係が急に進展したんです。私にはチャンスの『チャ』の字もありませんでした」


 木下が発言している間も、綾瀬は顔を俯かせて黙り込んでいた。


「そして、いざ再会して蒼碧祭の提案をしに来てみたら、なんとびっくり。徹は凛さんと付き合ってるだけでなく、琴原《ことはら》先輩とも付き合ってたじゃないですか。一体どういう風の吹き回しなんですかね?」


「…………それはっ……」


 それは、実のところ綾瀬にもよくわかっていなかった。


 綾瀬は鈴村と付き合えたことに後悔はしていない。


 むしろそれは喜ばしいことであった。


 琴原が鈴村に好意を抱き、その好意を受け止めたことにも驚いていたが、これが鈴村にとっての優しさであると捉えていた綾瀬はその現状を受け入れた。


 だからと言って、それが客観的に見て全ての人がいい印象を受けるわけではない。


 長年鈴村に思いを寄せていた木下が、その一番いい例であった。


「もちろん、凛さんたちが付き合ってるって知った後も、徹には私の気持ちを伝えました。本気で。……でも、その気持ちが伝わることはありませんでした」


「そうなんですね……」


「結果的に後夜祭で徹は凛さんを選びましたが、それでも琴原先輩は徹のことを諦めきれていません。今も現在進行形でそうです。そして、それは私も変わりません」


「……それで、トントン拍子に事がうまく進んでいる私に嫉妬している、ってことですか」


「全て簡単にまとめるとそういうことになります」


 木下はそう言って腕を組んだ。


「私は一度フられました。その先に徹との未来はないと、一時的に思い込んでいました。……でも、徹が琴原先輩を受け入れたという過去があるなら、それは話が変わってきます。私にもチャンスがあるってことです」


「そ、それは考えすぎなんじゃ――」




「考えすぎじゃありません!!!!」




 突然大きな声で叫ぶ木下に、綾瀬は唖然としていた。


「生半可な気持ちで言っているように思えるかもしれないですが、私は本気です。『本気』で徹が好きです。だから、婚約をしている凛さんにこうやって話しています」


「それはまた、度胸のある行動ですね」


「この度胸がもっと前からあれば、少しは今の現状が変わってたとは思いますけどね」


 木下は笑顔交じりに言った。


「というわけで、凛さん。私から凛さんに一つ提案があります」


「提案、ですか?」


 木下はそう言うと、先ほどまで会議していた合同体育祭『朱橙祭《しゅとうさい》』の草案が書かれた書類をカバンから取り出した。


「今回の朱橙祭の中で、『クラス別対抗レース』がありますよね」


「は、はい。ありますね」


「このレース、私と一緒に走ってくれませんか?」


 木下は草案に書かれた『クラス別対抗レース』を指さして言った。


「…………どういうことですか?」


 木下は書類をカバンにしまってから言う。


「このレースで一緒に走って、勝ったほうが徹を手に入れられる、っていうのはどうでしょう」


「このレースで負けたほうが鈴村君を諦める、ってことですか?」


「そういうことです」


 木下は真剣な面持ちで答えた。


「このレースはトーナメント式です。ルールはこのようになっています」


 そう言って、木下は草案を指さしながら説明を始めた。


 クラス別対抗レースはまず、緑ヶ丘学園、そして青海学園それぞれで予選のリレーを行う。


 このレースで勝ち上がった上位四クラス、双方のクラスを合わせた合計八クラスがトーナメントに出場することができる。


 緑ヶ丘学園と青海学園が直接対決するのは決勝戦のみであり、準決勝まではそれぞれの学園の生徒同士で対決することになる。


 そして、この決勝戦は、決勝に勝ち進んだクラスのうち一人の生徒が走者となり、クラス代表で走るルールとなっている。


「それ、大丈夫なんですか? そもそも決勝まで行かないと咲良さんの提案が実現できませんよね」


「ご心配なく。しっかり決勝に勝ち上れるよう、うちのクラスは準備をしていくつもりなので。それに、決勝で戦えればそれは一対一の勝負になりますし、私自身の気持ちの本気さを見ている皆にも知ってほしいんです」


「…………っ」


 木下の表情は真剣であった。


 真剣勝負で綾瀬と決着をつけたいと考えている木下の気持ちが、綾瀬の肌に直接伝わっているようだった。


「もちろん、この提案を受け入れないのであればそれでも構いませんよ」


「え、いいんですか?」


「はい、いいです。その代わり、その選択を取った場合、凛さんには私と戦う意思がないと見なし、私の不戦勝とさせてもらいます」


「なっ……!」


 あまり現実的ではない提案を断れると安堵する綾瀬だったが、断った場合の代償はあまりにも大きく、綾瀬はこれを受け入れるしかなかった。


「どうしますか? 私の提案、受けますか?」


「…………私はっ……」


 綾瀬は悩み、答えを口に出そうとした瞬間であった。


 突如として、綾瀬の制服のポケットに入っていた『人生の選択肢』が光り出す。


(……えっ、光った……!? ということは、今まさにここが私の人生の大きな分岐点……!?)


 少し眩しそうな表情をしながら、綾瀬は『人生の選択肢』の輝きが止まるのを待った。


 少しして、『人生の選択肢』の輝きはなくなり、綾瀬はポケットの中をこっそりと見た。


(もう大丈夫、かな……)


 綾瀬は光が収まったことを確認して、木下に言う。


「ご、ごめんなさい、咲良さん。少し考えさせてもらってもいいかな」


「どうぞ。これほど重大なことに、考える時間を与えないほど私はバカじゃないので」


 木下は煽るような口調で綾瀬に言った。


 綾瀬はその発言に少しイラっとしていたが、後ろを振り返り『人生の選択肢』を取り出した。


(選択肢は、何だろう……)


 記載された『人生の選択肢』はこうであった。




【人生の選択肢】


 A.木下咲良の提案を受ける。


 B.琴原《ことはら》みどり、七倉《ななくら》わかなも交えたうえで木下咲良の提案を受ける。


 C.木下咲良の提案を鈴村徹に相談する。




(……あっ、今回は【選択の簡易的結果】が書かれてる)


 『人生の選択肢』をよく見ると、【人生の選択肢】の続きに【選択の簡易的結果】が記載されていた。




【選択の簡易的結果】


 Aを選んだ場合、綾瀬凛はクラス別対抗レースで優勝し、鈴村徹との関係を死守する。


 Bを選んだ場合、綾瀬凛は予選で五位となりトーナメントに出場できず、木下咲良に鈴村徹を奪われる。


 Cを選んだ場合、鈴村徹に「木下咲良と関わること」を禁じられる。




 綾瀬はこの【選択の簡易的結果】を目にして目を見開き、一瞬木下を視界に入れる。


 木下は不思議そうに「どうしました?」と問うが、綾瀬はその問いに答える余裕がなかった。




(……な、なにこれ。こんなの、「A」以外に選べるわけない……)




 提示された選択肢は、綾瀬にとってはAの選択肢しか正解がなかった。


 Bはそもそもトーナメントに上がれないため、提案を受け入れたとしても事実上不戦勝扱いとなってしまい、鈴村が木下に奪われてしまう。


 Cを選ぶと、今度は「友達」と思っていた木下との関わりを鈴村に禁じられる。


 これは即《すなわ》ち、生徒会でも関わりを禁じられることを意味し、綾瀬凛が緑ヶ丘学園高等部生徒会の役員を続けられないことを意味していた。


(ここは確実に「A」を選ぶしかない。決勝まで行けるかは正直不安でしかないけど……。……それに、もし負けたら…………)


 綾瀬は想像したくない未来を思い浮かべ、恐怖で体が一瞬震えた。


(……でも、咲良さんがここまで覚悟を決めて提案してるんだもん。私もそれに応えないと……)


 綾瀬は『人生の選択肢』を閉じてポケットにしまい、小さな声で呟いた。




「……私は、『A』を選ぶよ」




 その発言と同時に、『人生の選択肢』は再び光り輝いた。


 『人生の選択肢』による【選択の結果】が記載し終わるのを待っている綾瀬だったが、後ろを振り向いたままの綾瀬を見て木下は言う。




「凛さん。人生は選択の連続です。まさに今もそう。凛さんは、後悔しない人生を選ぶことができましたか?」




「え?」


 綾瀬が木下に聞き返すと同時に、『人生の選択肢』の光が収まった。


 木下は後ろを振り返る綾瀬を見て言う。




「私の提案を受けてくれてありがとうございます。……まずは、七倉さんのクラス、琴原先輩のクラスに負けないように頑張ってくださいね」


「え? …………え!?」


 木下はニコッと綾瀬に笑顔を見せてから軽くお辞儀をし、そのまま生徒会室を出て行った。


 木下の発言の意味を理解できず動きが止まる綾瀬だったが、生徒会室の扉が閉まる音と同時に綾瀬は『人生の選択肢』を取り出し、中身を確認した。


「…………どういうこと…………!?」


 綾瀬は『人生の選択肢』を見て驚いた。




 綾瀬は「A」を選んだはずだが、【選択の結果】には「B」を選んだ結果が記載されていたのだった。




【選択の結果】


 綾瀬凛はBを選んだ。


 綾瀬凛は緑ヶ丘学園内で開催されるクラス別対抗レースの予選に参加し、予選九位という結果を得てトーナメントに出場できなくなる。


 朱橙祭終了後、木下咲良は鈴村徹と交際を始めることになる。




「な、なんで!? 私『A』を選んだよね!? なんで『B』を選んだことになってるの!?」


 突然の出来事にパニックを起こし、頭を抱えながら叫ぶ綾瀬。


 ふと、綾瀬の脳裏にある人物の顔が過った。




「…………鈴歩《すずほ》さんの仕業だ…………!」




 『人生の選択肢』の三つ目のルール。


 それは、鈴歩が提示した選択肢を綾瀬が選ぶことなく、鈴歩自身が選ぶこともできるというものである。


 これは鈴歩の言う綾瀬に対する『試練』に該当するものであり、今まさにその『試練』が課せられたことを意味していた。


「どうしよう……! どうしよう……! なんでこんな残酷な『試練』を出すの!? 鈴歩さんは私たちの味方じゃないの!?」


 綾瀬は冷静になれずにいた。


 膝から崩れ落ち、床に手をついて目を泳がせる綾瀬の息は不安定になっていた。


(『試練』……っ、『試練』……っ、でも、未来は決まってる……っ。どうすればいいの……っ!?)


 綾瀬の呼吸はどんどん不安定になり、綾瀬は苦しそうな顔をして胸に手を当て、ぎゅっと握りしめた。


(助けて……! 鈴村君……! 私、どうしたらいいかわからないよ……!)


 綾瀬がパニックに陥っている瞬間であった。


 突如として、生徒会室の扉が開いた。




「あれ……!? 凛ちゃん、まだ帰ってなかったんですか?」




「…………みどり、先輩……っ」


 綾瀬は苦しみながらも、口を開いた。


「……凛ちゃん、大丈夫ですか? 顔色悪いですよ?」




 そこには、Bの選択肢に記載のあった琴原みどりが立っていた。

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