番外編⑤ 飯田と宮田のクリスマス
「よう、詩織。待たせたな」
「気にしないでいいわ。私も今来たところよ」
十二月二十五日、クリスマス。
飯田勝翔と宮田詩織は、青海学園生徒会長、桜庭みやび主催の『親睦会』で訪れた遊園地に来ていた。
その遊園地のエントランスにて、飯田は宮田を待ち合わせをしていた。
「あの『親睦会』に来て以来だな、ここ。そんなに遊園地に来たかったのか?」
「私は飯田君とだったらどこに行っても嬉しいわ。それに、『親睦会』の開催が決定した時に約束をしたの忘れたのかしら?」
二人は会話をしながら遊園地に入園する。
「忘れてるはずないだろ……。俺が誘わなかったらどこに行くつもりだったんだよ」
「そうね……。遊園地以外だと、水族館かしら。それか、優雅にウィンドウショッピングでもいいわね」
「一つに絞れないのかよ……」
飯田は呆れ顔であった。
しかし宮田は、そんな下を向く飯田の顔を見上げて言う。
「さっきも言ったはずよ。私は飯田君と一緒ならどこに行っても楽しいの。嬉しいのよ」
「……わかったよ、わかったからそんなに顔を近づけるな」
飯田は照れながら宮田から少し距離を取ろうとした。
「そんなに照れなくていいじゃない。久しぶりに二人きりのデートなんだから、もっとくっついてもいいと思うわ」
そう言って、宮田は飯田の腕に抱きついた。
「お、おい!」
飯田はその行動に顔を赤らめる。
「あら、照れてるのね。そんなに恥ずかしいかしら?」
「恥ずかしくないわけないだろ……。全く、お前は平然としてやがって」
「…………私だって恥ずかしいわよ」
「え?」
よく見ると、宮田の耳は赤く染まっていた。
それは寒くて赤くなっているわけではなかった。
「……素直じゃねえなぁ」
そう言って、飯田は片方の手で宮田の頭をポンポンと優しめに叩いた。
「な、何よ。からかってるつもり?」
「いいや? 詩織もかわいいところあるよなって思っただけだよ」
「…………バカ」
微笑みながら言う飯田に、宮田は少し視線を逸らして照れ隠しをしながら言った。
「それで? 何か乗りたいものでもあるのか?」
「そうね……。飯田君となら何でもいいのだけど……。飯田君は何か乗りたいものないのかしら」
「俺か? そうだなぁ……」
そう言って、飯田は顎に手を当て、周りを見渡しながら考える。
「ま、あれかな」
飯田は目の前にあるアトラクションを指さした。
「……結局最初からジェットコースターなのね」
「最初から飛ばしていかないとな! せっかく来たんだ、楽しまないと損だぞ!」
飯田は笑顔で言う。
「ええ、確かにそうね。このデート、しっかり楽しみましょう」
宮田は飯田にそう答え、ジェットコースターへと向かった。
*
「いやぁー、やっぱりジェットコースターは何回乗っても飽きないな!」
「だ、だからといって、いきなり三回もループするのは体が保たないわよ……」
飯田は気分よく笑顔で言った。
が、片や宮田は入園早々にジェットコースターを三回も休みなしでループさせられ、げっそりとした顔をしてベンチに座っていた。
申し訳なさそうに飯田は言う。
「悪いな詩織……。俺のわがままに付き合わせちゃって……」
「い、いえ、大丈夫よ。むしろこれがあったからこそジェットコースター克服できたようなものだから……」
「その様子だとあまり克服できてるようには見えないんだけど……」
元より、宮田は絶叫系のアトラクションが苦手である。
全長数千メートルはあるこのジェットコースターはもっての外、子供向けに作られた小さなジェットコースターでさえ、宮田は苦手であった。
それに対し、飯田は大の絶叫系アトラクション好きで、遊園地に行った際は欠かすことのできないほどのものであった。
では、なぜ宮田は苦手だとわかっていても飯田に付き合うのか。
その理由は至極簡単なものである。
「克服は……、正直できていないけれど……。私は飯田君との時間を大切にしたいのよ。ジェットコースターが苦手だから待っているなんて、私にはできないわ」
「別に無理しなくていいんだぞ? 詩織がジェットコースター苦手なのは知ってたし。体もきついだろ。休んでていいぞ」
「いいの、気にしないで。それより、次は何に乗りたいの? 付き合うわよ」
宮田は飯田との時間を最も重要視していた。
いつ死ぬかわからないという限られた時間の中で、いかに長く飯田と時間を共にできるか。
宮田の判断基準はそこにあった。
だからこそ、宮田は例え自分が苦手なものであっても、飯田のためならどんなものでも時間を共にすると決めていたのだった。
「…………なんか詩織、無理してないか?」
飯田は少し不満そうな顔をして宮田に言った。
「べ、別に無理はしてないわよ」
宮田は顔を逸らして飯田に言う。
しかし、飯田は宮田の顔を両手で挟み、顔を自分に無理やり向かせて言った。
「いや、無理してる。なんでそこまで苦手なのにジェットコースターに付き合うんだ? 俺の好みに付き合うんだ?」
「そ、そんなの、決まってるじゃない」
宮田は視線だけを逸らして、恥ずかしそうに言う。
「い、飯田君と、一緒にいる時間が幸せだからよ」
宮田はそう言って顔を真っ赤にした。
「……ほう。詩織は俺との時間を特別なものだと思っていると」
「え、ええ、そうよ。そう言ってるじゃない。……何度も言わせないで頂戴」
その言葉に、飯田は宮田の顔から手を離し、照れながら頭を掻いた。
その様子を見た宮田の顔からは思わず笑みがこぼれる。
「……なんだよ、笑うなよ」
「ふふっ、ごめんなさい。でもね、飯田君。やっぱり私は飯田君と一緒にいる時間が幸せだわ」
「幸せ、ねえ」
飯田は空を見上げてその言葉を噛みしめる。
「飯田君は、幸せじゃないのかしら」
ふと、宮田からはそんな言葉が零れた。
それは、宮田が一番心配している不安要素である。
宮田は飯田との時間を大事にしたいと考えている。
では逆に、飯田にとっての宮田と過ごす時間はどう映っているのか。
宮田が一方的に飯田に好意を向けているだけで、飯田からしてみればこの好意は特別なものと受け止められていないのではないか。
ただでさえ人気者の飯田である。宮田は密かに様々な不安を抱えていた。
そんな不安でいっぱいの宮田の頭を、優しくポンポンと二回叩き、飯田は言う。
「幸せに決まってんだろ。俺が世界で一番好きな人と同じ時間を過ごせてんだぞ? これ以上に幸せなことがあるなら持ってきてほしいもんだね」
飯田の表情は笑顔であった。
その表情は、単に飯田が遊園地に来れて楽しく思っているわけではない。
飯田もまた、宮田と共に過ごす時間を大事に思っているのである。
飯田のその笑顔は、宮田を心配させないための笑顔であった。
「ほ、本当に? 嘘じゃないわよね?」
宮田は信じられないような顔で言う。
「何言ってんだよ……」
飯田は未だ不安そうな顔をしている宮田を見て、微笑んで言う。
「俺は詩織と一緒にいる時間が大好きだ。生徒会の仕事をしているとき。一緒に家で遊んでいるとき。一緒に勉強しているとき。一緒に遊びに出かけているとき。どの時間も俺にとっちゃ幸せな時間だよ」
「そ、それは私も一緒よ! 私だって飯田君と一緒にいられる時間は幸せだと思っているわ!」
「なら何も心配いらないじゃんか。何をそんなに不安そうな顔をしてるんだ?」
「…………それは……っ」
宮田は少し言葉に詰まった。
少し間を空け、落ち着いた様子で宮田は言う。
「……飯田君は、桜庭生徒会長のこと、どう思ってるの?」
「なんでここで桜庭さんの名前が出てくるんだ?」
飯田は首を傾げた。
しかし、宮田は少し声を荒げて続ける。
「それよ…………! 私が不安なのはそこなの…………!」
「そこ? …………どこ?」
飯田は鈍感であった。
「ああ、もう! わかったわ。しっかり説明してあげるからしっかり聞いて頂戴」
「お、おう。わかった」
そう言って、飯田は宮田の隣に座った。
宮田は飯田が隣に座ったことを確認し、話を始めた。
「『親睦会』がどういう目的で行われたか、飯田君はわかってるわよね」
「ああ、うん、まあ。一応はな。急に詩織がキスしてきたからびっくりしたけど、その先の話を聞いてて察した」
飯田は少し照れながら言った。
「飯田君の察しの通り、あの『親睦会』の本来の目的は桜庭生徒会長と飯田君を結ばせるために、桜庭生徒会長が提案したものよ」
「だろうな」
「飯田君は桜庭生徒会長からの気持ちに対して、何も思わないのかしら」
宮田は少し怒り気味の口調で言った。
「思わない…………、こともない」
「どういう風に?」
宮田は飯田に顔を近づけて問いただそうとした。
「ち、近いぞ詩織。ちょっと離れ――」
「どういう風に思ったのか、説明して」
宮田は飯田の言葉を遮って、自分の言葉を言い切った。
「……わかった、正直に話そう」
飯田は宮田の目を見て話した。
「俺は、桜庭さんの気持ちに応えることはできない。『親睦会』は楽しかったけど、俺には詩織しかいないからな。桜庭さんにあんなことされても、逆に戸惑うだけだ」
その飯田の表情に曇りはなかった。
それは桜庭が『親睦会』を開いて飯田と距離を詰めようとしても、他の方法でアタックをしようとしても、その思いは届かないことの証明であった。
「でも、それは桜庭生徒会長と会って間もないからこそ言えることよね。もっと早いうちから……、そうね、私よりも前に出会っていたら、未来は変わったかしら――」
「いや、変わらないな」
飯田は即答した。
宮田はそれでも、飯田のさらなる本心を聞き出そうとした。
が、その問いを言い終える前に、飯田は何の迷いもなく、考える時間を持たず、すぐに宮田に答えた。
宮田は迷いなく答える飯田に驚いていたが、飯田はその顔を見てさらに続ける。
「俺がいつ桜庭さんと出会おうと、詩織への気持ちは変わらないぞ。遊びじゃないんだよ、俺の気持ちは」
「な、ならなんで、今も桜庭生徒会長のことを『桜庭さん』って呼ぶの?」
宮田からは、だんだんと演じている『宮田』が薄れてきていた。
「うーん、それに回答するとすれば……、単に生徒会長仲間だから、かな」
「せ、生徒会長仲間……?」
宮田は的外れな回答をされ、ぽかんと口を開けた。
飯田はそのまま続ける。
「ほら、うちの学園って部外者以外立ち入り禁止だろ?」
「え、ええ。そうね」
「基本的に他校の生徒会長と話す機会なんてないし、共に活動することも少ない。そんな中で『蒼碧祭』の開催が決まって、初めて他校の生徒会長と話す機会ができたんだ」
「それが嬉しかったの?」
「俺だって生徒会長っていう肩書を持つの、かなり辛かったんだぞ。この辛さを語り合いたかったんだよ」
「あ、そう、なるほどね……」
宮田は斜め上の回答をされて少し困惑していた。
「だから、俺にとって桜庭さんは『友達』としか思っていない。『親睦会』のときにいろいろされたときはかなりびっくりしたけど、だからって俺の気持ちが動くわけじゃないぞ」
「……そう。『友達』止まりだったのね。あそこまでされても」
「なんだよ、不満か?」
飯田は宮田に問う。
宮田はその問いに、笑顔で返した。
「……いいえ。逆よ。とても安心しているわ」
宮田がずっと抱いていた『不安』が『安心』に変わる瞬間であった。
桜庭がどれだけアピールをしても、気持ちを伝えようとしても、飯田の中でそのランク付けが上がることはない。
飯田の中での一番愛する女性は、紛れもなく宮田詩織なのであった。
「確かに呼び方に関して気にするのはわかるよ。でも俺も友達は失いたくないんだ。そこは許してほしい」
「…………わかったわ。呼び方に関しては許してあげる。桜庭生徒会長が好きじゃないってこともわかったことだし」
宮田は飯田の桜庭に対する呼び方に目を瞑ることにした。
そんな宮田の様子を見て、飯田はずっと気になっていたことを口にする。
「お前、この話をし始めてからずっと『桜庭生徒会長』って呼んでるよな。そんなに桜庭さんのこと気に食わないのか?」
「そういうわけじゃないわよ。私も桜庭生徒会長のことは信頼に値しているわ。色々とお世話になっているし」
「その割にはなんか、距離を感じるんだよなぁ」
飯田は少し宮田を睨みつけるような視線を向けて言った。
宮田は見透かされたような感覚に陥り、視線を逸らして言う。
「きょ、距離を感じる理由くらいわかるでしょう。こんな話をしているのよ? 察しのいい飯田君ならわかるはずよ」
「……ははーん。詩織、さては嫉妬してるな?」
「…………っ!」
飯田はニヤニヤしながら言う。
宮田は図星を突かれ、思わず顔を赤らめる。
「そ、そうよ。嫉妬よ。悪い?」
「いいや? 俺は何も悪いなんて言っちゃいないよ。むしろ嬉しいくらいだ」
「う、嬉しい?」
宮田は視線を逸らしたまま飯田に問う。
飯田は笑顔で答える。
「ああ、嬉しいよ。それだけ俺のことを思ってくれてるってことだろ?」
「…………うん」
宮田は小さく頷いた。
「初めて会った時の詩織と、緑ヶ丘学園に入学してきた時の詩織を比べたら一目瞭然だよ。それだけ俺のことを思ってくれてるってことだろ? ありがとうな、詩織」
「…………別に、お礼を言われることじゃないわよ」
宮田は照れながら言った。
「……でも、私の思いが伝わって良かったとは思っているわ」
「ははは! そうかそうか! やっぱり素直になった詩織はかわいいな!」
「か、からかうのはやめて! 私だって恥ずかしいんだから!」
宮田の顔は未だに赤かった。
「この際だからはっきり言っておくな」
「え? 何?」
飯田はそう言うと、宮田の前に立ち、片膝を立てて跪いて言う。
「俺は詩織を愛してる。他の誰かに何を言われようと、どれだけ気持ちを伝えられようと、俺は詩織しか見ていない。それだけは忘れないでくれ」
それは、飯田が常日頃抱いている宮田への本心であった。
どれだけ女子生徒から小さなアピールがあったとしても、バレンタインデーにチョコをもらったとしても、どれだけ桜庭から好意を向けられていたとしても。
飯田の気持ちは、全く揺れ動くことはなかった。
「あ、それから……。これ。俺からのクリスマスプレゼントだ」
「……プレゼント?」
飯田はそう言って、懐からクリスマスプレゼントを取り出し、宮田に手渡した。
「……随分小さいのね」
「物は小さいけどな。気持ちはそれなりに大きいぞ。開けてみてくれ」
宮田は飯田の言葉を聞き、渡された手のひらサイズのクリスマスプレゼントの箱を開けた。
「これって……」
飯田が渡したクリスマスプレゼントは、一見すると普通に見えるピアスであった。
「このピアス、赤いチューリップがついているのね」
「ああ。かわいいだろ? 詩織もたまにはそういう暖色系のアクセサリーをつけたほうがいいんじゃないかと思ってな」
飯田は立ち上がり、宮田に背を向けて言った。
「確かに私は寒色系のアクセサリーをよくつけてるけど……。……これ、別の意味が込められてるわよね」
「……やっぱバレた?」
飯田は振り返り、少し笑いながら言った。
その顔は少し赤らめていた。
「赤いチューリップの花言葉は『愛の告白』。……つまりは、そういうことよね?」
「…………はい」
飯田は少し照れ隠しをしたが、宮田の察しの良さに屈し、素直に自分のプレゼントの意図を認めた。
宮田は「ふふっ」と小さく笑い、赤いチューリップのついたピアスをその場でつけた。
「どう? 似合うかしら」
「ああ、やっぱり詩織は何をつけても似合うな。かわいいぞ、詩織」
そう言って、飯田は宮田の頭を撫でた。
心なしか、嬉しそうな顔をして微笑みが止まらない宮田であった。
「こんな回りくどいことをしなくても、十分に飯田君の気持ちは伝わっているわよ」
「そうか? むしろここまでしないと、さっきみたいに嫉妬で詩織に何されるかわからないんだけど」
「……私ってそんなに嫉妬深い女に見えるかしら」
「あ、ごめん。今のは失言」
飯田は素直に謝罪した。
「まあでも、飯田君の言うことは一理あるかもしれないわね。この先どんな女性が現れるかわからないし、ちゃんと見張っておかないといけないわ」
「心配性だなぁ。何をされても俺は詩織から離れないって」
「し、信じたいけど、そうも言ってられないのが恋なのよ。現に桜庭さんだって……」
「あ、『桜庭さん』って言った」
「…………! もう! からかうのはやめて! ほら、次行くわよ!」
そう言って、宮田は立ち上がった。
宮田は嬉しさのあまり顔が綻んでいったが、それがバレないように飯田に背を向けて顔を隠した。
「……あ、そうだわ。一つ言い忘れてたことがあるの」
「ん? なんだよ」
宮田はそう言って、飯田に顔を近づけ、耳元で囁く。
「私からのクリスマスプレゼントは婚約指輪だから、楽しみにしててね」
「なっ…………!?」
「本当は今日渡すために用意したかったのだけど、飯田君の指の太さがわからなくて……。だから、その……」
宮田は少しもじもじしながら、恥ずかしそうに飯田に言う。
「今度、一緒に婚約指輪を買いに付き合ってもらえないかしら」
「……こりゃまた新手のプロポーズだな」
飯田は笑いながら言った。
「わ、笑わないで頂戴! これでも勇気出して言ってるのよ!」
「わかってるって。俺もそのつもりだったから、ちょうどよかったわ」
「……え? そのつもりって、…………え?」
宮田は飯田がぽろっと口にした言葉を聞き逃してはいなかった。
しかし、頭が理解をするのに追い付いていなかった。
そんな宮田を気にすることなく、飯田は次の行先を決めようとしていた。
「さ、次はどこに行こうかねぇー。あ、観覧車なんていいな」
「ちょ、え、飯田君? そのつもりってどういうこと?」
「よーし、じゃあ行くかぁ!」
「あの、飯田君、聞いてる? ねえ! 飯田君! 待ってよ!」
宮田の言葉を完全に無視し、飯田はそのまま歩き出した。
宮田は頬を膨らませ、仕方なく飯田の後を追う。
ちらりと見えた飯田の顔は、恥ずかしさで顔が赤らんでいた。
(…………ふふっ。素直じゃないんだから)
宮田はそうして、飯田の腕に優しく抱きついた。
「ちょ、詩織!?」
飯田は突然の宮田の行動に驚いた。
「……飯田君」
「…………なんだよ」
宮田は笑顔で言った。
「私の気持ちに応えてくれてありがとう。……私のことを好きでいてくれて、ありがとう」
「…………どういたしまして」
飯田はそう言って、腕に抱きつく宮田の頭を優しく撫でた。




