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第20章 支えとなる者
朝。
いつもと同じ、
宿の食堂。
パンの匂い。
スープの湯気。
変わらない。
でも。
エナの中で、
何かが変わっていた。
ガルドが、
言う。
「今日も行くぞ」
ロシュが、
笑う。
「当たり前だ」
ミレイアは、
静かに立つ。
エナは、
うなずく。
ギルド。
依頼掲示板。
中級下位向けの
討伐依頼。
四人は、
自然にその前に立つ。
エナは、
一瞬だけ
迷う。
でも、
足は止まらない。
森の奥。
魔物の群れ。
以前なら、
尻込みしていた。
今は。
深く息を吸う。
「持続回復」
「集中補助」
「軽量化」
声が、
震えない。
ガルドが、
前へ。
ロシュが、
続く。
ミレイアが、
矢を放つ。
エナは、
全体を見る。
誰が、
疲れているか。
誰が、
危ないか。
自然に、
分かる。
小治癒。
集中補助。
軽量化。
戦闘終了。
誰も、
倒れない。
ロシュが、
振り返る。
「やっぱ、
エナがいると
違うな」
エナは、
少しだけ
笑う。
帰り道。
風が、
心地いい。
エナは、
仲間の背中を見る。
守られてきた。
でも今は。
支えている。
同じ重さで。
最底辺冒険者。
そう呼ばれていた
少女は。
気づかぬうちに、
仲間の要となっていた。
――完――




