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第二章 第七十八話 木材不足

街を広げるには、人手だけでは足りません。

木も、石も、鉄も――全部どこかから運んでこなければならないのでした。

数日後。

川辺宿の周囲は、一気に騒がしくなっていた。


「こっち柱立てるぞ!」

「荷物どけろー!」

「縄持ってこい!」

職人達が慌ただしく動き回っている。


既に増築は始まっていた。

まず作るのは、

- 馬小屋

- 荷車置き場

- 倉庫兼宿泊施設

だった。


橋を越えてくる商隊は増えている。

つまり、泊まる場所だけでは足りない。


荷物を置き。

馬を休ませ。

長距離組が野営できる設備が必要だった。


「完全に街道拠点ですね……」

リナが少し呆れたように言う。


以前の実家感は、かなり薄れてきていた。

その横では、カイが荷車を使って資材を運んでいる。


新型荷車はかなり好評だった。

木材。

工具。

食料。

大量に積んでも安定している。


「これ便利だなぁ……」

職人達も普通に使い始めていた。

だが。


「……足りないですね」

カイが積まれた木材を見ながら呟く。


「全然足りねぇな」

職人の男も頷いた。


想像以上に使用量が多い。

馬小屋だけでもかなり木を使う。


さらに倉庫兼宿泊施設まで作るとなると、今ある分では到底足りなかった。

「川辺近くの木だけじゃ追いつかないな」

「切りすぎると逆に危ないしな」


職人達も少し考え込む。

その時。

「森側の村なら売ってくれるぞ」

一人の商人が口を開いた。


「村?」

レンが聞き返す。

「あぁ」

「ここから荷車なら半日くらいだ」

「往復も十分出来る」


その言葉に、カイが少し反応する。

「道は?」

「森道だが、今の荷車なら問題ないと思うぞ」

「なるほど……」


カイは少し考え込む。

輸送試験としても悪くない。


木材運搬。

悪路。

短距離大量輸送。


全部ちょうどいい。

その横で、レンが笑った。


「行ってみるか?」

「……ですね」


即答だった。

話はすぐにまとまった。

向かうのは、

- カイ

- レン

- 木材切り出し係の職人達数人

だった。


翌朝。

荷車へ最低限の荷物を積み、一行は森側へ向かう。


川辺宿から少し離れるだけで、景色は変わる。

木々が増え。


道幅が狭くなり。

空気も静かになっていく。


「この辺、魔物出るんだよな?」

職人の一人が周囲を見回す。


「たまにですね」

レンが答える。


「でも今回は人数いるし、大丈夫だろ」

その言葉通り、今回は護衛戦力も十分だった。


荷車も以前より安定している。

悪路でもかなり進みやすい。


「本当に揺れ少ねぇな」

「木材運ぶならかなり助かるぞこれ」

職人達の評価も高い。


そして昼前。

森を抜けた先に、小さな村が見えてきた。


木柵。

積まれた丸太。

木材置き場。

かなり“木”の匂いが強い村だった。


「ここか」

レンが呟く。

荷車が村へ入ると、村人達が少し警戒したようにこちらを見る。


だが。

「……商人か?」


村人の一人が近付いてきた。

レンが軽く手を上げる。


「木材の相談に来た」

その言葉で、村人達の空気が少し変わる。


やがて奥から、一人の老人が歩いてきた。

「わしが村長だ」


静かな声だった。

カイは軽く頭を下げる。


そして――

「木材を譲ってほしいんです」

交渉が始まろうとしていた。

今回は“木材不足と森村到着”回でした。

川辺宿増築に必要な資材調達が、本格的に動き始めています。

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